おいしい休日♪｜リアクション

おいしい休日♪

　乙女ゲームが大好きな羽生碧南は、今日もシーサイドタウンのゲームショップへ乙女ゲーのグッズを買いにきました。
　それなりの収穫があってウハウハ気分で帰宅途中。
『美味しい物フェスタ』ののぼりに遭遇したのでした。
（おいしいもの？　あ、今日は昼は何も食べてないんだっけ）
　グー、ギュルル……
　気づいた途端にお腹が鳴りました。
　なにしろ身長１８０ｃｍ、バスケ部のレギュラーとあってはどうしたって普通の女子より空腹感が大きいのです。
　碧南は頭の中で、支払いを済ませた後の財布の中身を思い返します。幸いにもまだ十分余裕があります。
「……やばっ、もう我慢できない」
　そこら中からいい匂いが漂い、目の前に並ぶ屋台がもう凶悪なまでに碧南を誘惑しています。
（こうなったらもう突撃あるのみ）
「寝子島焼きそばください！」
　しらすとサンマの身をほぐしたのを入れてソースで炒めたもので、麺がやや太め、細打ちうどんに近い焼きそばです。
　しょっぱなからガッツリ食べますが、これはほんの小手調べ。
　次に定番のしらすコロッケ。ソースをかけて千切りキャベツと一緒にコッペパンにはさんで食べます。
（もう最高）
　次は寝子島ラーメン。これも美味しい。
　目覚めてしまった碧南の食欲はとどまるところを知りません。
「さて次は……」
　適当に物色していると、見慣れたアホ毛が揺れました。
「あっ、ののこちゃん」
「碧南ちゃん！　こんにちは～」
　お菓子を手にはしゃいでいる野々ののこでした。
「「何食べた？」」　
　二人の声がハモりました。
「えーと、焼きそばにしらすコロッケにラーメンに……」
「私はマンゴープリンにケーキに、ノビネコケーキに、いもこねころころ。猫の形のお菓子で、可愛くておいしいんだよ～」
　しばし、二人はお互い食べたものの話で盛り上ったのでした。
「じゃあ、またね～」

　ののこと別れた後も碧南は会場内を歩き、恒例の乙女ゲー脳内トリップを楽しみます。
　いわゆるデートイベントの脳内再生です。
（「口の脇に、おべんとうがついてるよ」彼はそっと指で私の口の端をぬぐい、こちらを見ながらそのごはんつぶをぺろりと舌で舐め取ってにっこりしました「美味しい」
きゃああ～☆　萌え！）
　身も心もすっかり満たされた碧南でした。
　

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