春の！プレゼント交換会｜リアクション

春の！プレゼント交換会

■春物フェア
「素敵な催しナノ！　ワタシも参加するワ！」
　鮮やかなブルーの瞳をキラッキラに輝かせ、御薗井Ｅセレッソは一枚の張り紙に釘付けとなっていた。
　大好きなパーパに手紙を投函した帰り道、見つけたプレゼント交換会のお知らせ。
「でも……何をあげたら喜ばれるかしら……とっても悩むノ！」
　眉間に皺を寄せ、むむむむぅ～っと考え込む。
「って、ここで悩んでいても仕方ないワ！　素敵なプレゼント探すノ！」
　小さな体を弾ませながら、セレッソはショッピングモールへと向かうのだった。

「あら？」
　セレッソがショッピングモールに向かう途中。
　見覚えのある少女が、個人経営らしき佇まいの雑貨店にいるのを見かけた。
　窓から店内を覗き込めば、中には昨年同じクラスだった同級生の姿。
　ふんわりと柔らかにウェーブした明るい茶色い髪を持ち、人懐っこい雰囲気の少女。
（お買い物……ナノ？）
　声をかけたい！
　という気持ちが盛り沢山なセレッソだったが、熱心に店主と話をする少女の姿を見ると、水を差してはいけない気もしてくる。
（また、学校で会えたらお話するノ！）
　ニコッと笑みを浮かべ。
　セレッソはお目当ての洋服店へと歩みを進めるのだった。

「セレッソちゃん、いらっしゃい」
「チャオチャオ！」
　愛らしいセレッソの姿に、馴染みの洋服店の店員は目を細めた。
「今日は何を探しにきたの？　セレッソちゃんに似合いそうな春ものキュロットあるわよ～」
「そうなノ！？」
　瞳が輝くセレッソ。だが、とぶんぶんと首を振る。
「ワタシのお洋服も見たいけれど……今日は、プレゼントを買うのが目的なノ！」
「プレゼント？」
　興味を持ったショップ店員に、セレッソは身振り手振りを交えプレゼント交換会を説明すれば。
「ふふ、そんなプレゼントの購入先にうちのお店を選んでくれて嬉しいわ。ゆっくり見て行ってね」
　セレッソは満面の笑みを返し、早速店内散策を始めるのだった。
（ハンカチはどーかしラ？）
　ハンカチを広げては畳み、広げては畳み。
（もしくは、この帽子？）
　被っては戻し、被っては戻し。
（……パンツ？）
　いくらかのパンツを広げては畳み、広げては畳み。
　うろちょろと店内をめぐるセレッソの姿に、店員の目は愛らしい小動物を観察するように細められている。
「あ！」
　セレッソが一際嬉しそうな声を上げた。
「このストール、とっても素敵だワ！！」
　手には、フリンジのついたオフホワイトのストール。
　男女共に使用できそうな落ち着いた色合いで。
「可愛いし、オフホワイトだからどんな色にも合いそうナノ！」
　鏡の前で、試しにセレッソが首に巻いてみる。
「こんな風に肩にかけるのもいいし……。他にも……ほら、アフガン巻きにしてもピッタリだワ！」
　いくつかのストール巻き方バリエーションを試し、くるるんとターン。セレッソはうんうんと頷いた。
　そして意気揚々とセレッソが値札を見れば。
「……あ、金額、ちょっとオーバーしてる……ノ……」
　この世の終わりと言わんばかりに、しょんぼりと肩を落とすセレッソ。
　そんな彼女の肩を、店員はちょいちょい、と指でつついた。
「？」
　セレッソが顔を上げると、店員が笑みを浮かべたまま無言で店の中の張り紙を指差す。
　その方向を目で追うと……
「『値札より全品３０％オフ』……ナノ！？」
　大きく頷く店員。
「それなら買えるノ！」
　セレッソは今日一番の満面の笑みを見せるのだった。
「えへへー、受け取った人がどんなオシャレをするのか、楽しみナノー」
　店員が丁寧にラッピングするのを見ながら、セレッソはまだ見ぬ誰かのコーディネートを想像する。
　溢れる笑みがなかなか止まらないセレッソだった。