春の！プレゼント交換会｜リアクション

春の！プレゼント交換会

■縁起物と花言葉
「よし、プレゼント購入のためにキャットロードで店巡りをするのです！」
　椿美咲紀が声高らかに宣言したのは、一枚の張り紙の前。
　教会が主催するプレゼント交換会に美咲紀も参加を決めたのだ。
　自作する案も浮かんでは来たものの、今回は雑貨屋さんをいくつか巡ろう、と思い至る美咲紀。
　善は急げ、と黒髪のサラサラポニーテールを揺らしながら、美咲紀は道を急ぐのだった。
　
（教会のイベントだけど、この手のイベントに参加するのは女性が多いですよね）
　アクセサリやインテリア系が思い浮かぶも、そのデザインや種類は様々。
　その種類の数だけ好みがあり、難しい。
　ならば他のアイテムを、と思うものの店を巡れば巡る程、目移りしてしまう美咲紀。
（ああん、色々と迷ってしまうのですよ）
　気付けば、愛らしい和雑貨の店に足を踏み入れていた。
　春らしいディスプレイが満載の中で、一匹の猫と美咲紀の目が合った。
　でっぷりとした太っちょ体型に、目はニッコリとした楽しそうな笑顔。
　愛らしい招き猫……の、置き物だ。
（これなら小ぶりだし、気分で置いておけそうです。男女も問わないし、出し入れもできますし！）
　美咲紀は手のひらにその猫の置き物を乗せるとうんうんと頷いた。
（招き猫は縁起もいいですし。こういうおまじないテイスト、好きなのです）
　自分の好きなものをプレゼントし、それを相手も気に入ってくれたら幸せだろう、と美咲紀は笑みが零れる。
（およ？）
　よく見れば、同じ招き猫の置き物でも色や柄に種類があることに気付いた。
　いくつかの招き猫を取り出し、横一列に並べ、比べる。
（こっちの三毛猫は愛らしい笑顔ですし……こっちの白猫は上品さがあってキュートなのです……！）
　たくさんの猫達の出現に美咲紀は頭を抱えつつ。
　どの猫も『お家に連れ帰ってほしいにゃー』と美咲紀に訴えかけるようで。
　……だが、今回は予算がある。
　一匹に決めねばならんのだ。
「それでは……この子にしましょう」
　そう言い、美咲紀が手に取ったのは……一番最初に手に取った子猫の置き物。
「白茶な感じの毛並みで、しかも茶色い部分が黄色に近いので金運があがりそうなのです」
　幸せを呼びこみそうな感じと、何より赤い座布団が似合いそうなことから、その置き物を選んだ。
　……猫の置き物はどこか、選ばれて嬉しそうな表情を見せているように感じられた。
　
　丁寧かつ愛らしい包装をしてもらうと、美咲紀はウッキウキで自宅へと歩いた。
　帰り路、やはり美咲紀が見た張り紙をジッと眺める少女の姿を見つけた。
　以前、お化け屋敷で一緒にお化けをやったこともある、美咲紀同じくポニーテールの女の子の姿。
　声をかけようかしら、と美咲紀が思った瞬間……少女がほくそ笑んでいるように見えた。
（きょ、今日の所はまたにするですよー。思考の邪魔をしちゃ悪いですし！）
　美咲紀は星ヶ丘寮へと向かうのだった。

　星ヶ丘寮にある、美咲紀専用の庭。
　花が大好きな美咲紀は様々な種類の花や野菜を育てている。
（ピッタリの花！　これにしましょう）　
　ウキウキと、美咲紀は鮮やかな青の花を数本選定し、鋏を入れる。
　それを黄色いリボンで纏めあげれば、美しいブルーデイジーの花束が完成！
（ブレ―デイジーの花言葉は、幸福とか、協力）
　今回の企画にピッタリだ、と美咲紀は頷き。
（この猫さんを貰った人の所へ、沢山の幸せが舞い込みますように！）
　美咲紀は願いを込めて、猫の置き物が入った包装にブルーデイジーの花束を添えるのだった。

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