仲良くなりたい、その４｜リアクション

仲良くなりたい、その４

○今年も同じクラスで

　青木学は、教室に東門巧の姿を見つけて近づいた。
「お、おはよー！」　
「……おはよう」
　ひょろりとのっぽの学は笑顔だ。一緒にいると大分小柄に見える巧は、学のテンションの高さにちょっと驚いた。
「へっへ、いや、また同じクラスになれてよかったなーと思ってさー」
「……うん」
「まぁ同クラなら今まで通りビデオ渡せるってのもあるけど」
　苛められた末に転校してきた巧は、最初はなかなか学校に来ることができなかった。
　休んだときは、学が授業のビデオを渡している。ろっこんを使ってこっそり撮影したものだ。
「去年はお前転校生だったじゃん？　今年は一年フルで楽しめるからね！」
「うん……」
　学の言葉に巧は頷いた。
「いや～でも今日は東門いるなら俺授業で寝られるわ～」
　あははは、と笑う学にえ？　と巧がけげんそうな顔になる。
「実は昨日ホラー映画見ちゃって眠れなくてさ！」　
　ちょっと考えて、巧は理解した。
　普段眠いときも学は、自分のために頑張って授業を撮影してくれているのだと。
（……いつもありがとう）
　巧にはその言葉は、口に出すにはまだハードルが高かったけれど。

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