せんせいといっしょ：ウォルター先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：ウォルター先生編

　射撃部である修は魔弾を見習いたいと笑う。勿論、目の当たりにした碧南も気になる。
　そこに混ざったのはジュスト・ランベール。
　射撃と言えば己も、と彼は食事を手に腰かけて『魔弾』の噂を耳にしたことを告げる。
「射撃が得意って噂を聞いたんですが、どこで射撃を習ったんですか？　やっぱり出身の関係で護身のため……とか？」
　問い掛けるジュストにウォルター先生は秘密と口元に指先を当て小さく笑う。
　謎多き人物なのには変わりがない――その言葉を耳にしながらジュストは「それじゃあ」と顔を上げた。
「今度、射撃部に腕前を見に行っても良いですか？」
「それは喜んで」
　おいでよぉ、と笑ったウォルター先生にジュストは大きく頷く。
「センセー、それでコツっていうのはどんなところでしょ？」
　射撃のウデに応用できないかと瞳を輝かせた美咲紀は例えば、と悩まし気に告げる。
「的に当てる精度が上がるとか……」
「そうだねぇ……」
　護身用になりそうだとも告げた美咲紀に悩まし気にウォルター先生は首を捻る。
　そっと手を上げ、珈琲に気を付けながらも彼は「こう……」と指先を僅かに捻った。
　その様子に「わお」と瞬いたジュスト。しっかりとした照準で敵を見定める方法やコツを彼は問い掛ける。
　照準をしっかりと定めるのは集中力と鍛錬の賜物なのだろう――何とも言えないと曖昧に濁したウォルター先生に美咲紀と修は「鍛錬」と告げる。
　集中力はどのスポーツにも通じるなぁ、と小さく頷く碧南は彼の話に聞き入っていた。
「あ、あとで練習できるように動画撮っても良いですか？」
「何だか恥ずかしいねぇ」
　くすくすと小さく笑ったウォルター先生の講義が始まり四人はうんうんと聞き入っている。
「いろんな場面で役に立つスキルだと思うよ。えいっ」
　投げる真似をする彼にウォルター先生は小さく笑みを溢した。
「今度『白い魔弾』も見せてください」
　弟子入り志願のように告げたジュストの言葉に「寝ている生徒がいればね」と茶化してウォルター先生は笑った。

　さて――射撃部の具体的な相談があるのだと修は幾つか悩まし気に考えていることを取り上げる。
　夏の全日本選手権に部としての参加がしたいことには了承を一つ。
　二泊程度の合宿という話には「そうだねぇ、また話し合わないと」と現時点での答えをウォルター先生は濁した。
「GWと夏休み……どちらがいいかも皆と話し合おうねぇ」
「はい。あと……部対抗競技で獲得した予算がかなりありますので校舎裏の手作り練習所の一部にカーポートを設置できませんでしょうか」
「私達は来年受験もありますし、２年生の今年が勝負の年なのです。大会で好成績を取りたいですし……練習ももっと頑張りたいですよ！」
　力強く告げる美咲紀に修は小さく頷いて「それで、山沿いの土地とかはどうでしょうか」と告げた。
「それは――ううん……僕だけだと何ともだねぇ。
　他の先生方と話し合ったりとかが必要になりそうだからなぁ……うん、また考えてみようかぁ」
　二人の意見は良く分かっていると頷き、今は自分なりの真摯な答えだと受け止めて欲しいとウォルター先生は美咲紀と修に向き直った。

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