ラッカミ村の人狼｜リアクション

ラッカミ村の人狼

【２日目】
　コケコッコー！！！！！！！！！！！！！！！
「２日目の朝だぜ！　トワくん、起きてるか！？」
　小脇にニワトリを抱えた少年・マモルがトワの家のドアをバンバンと叩く。
「朝早くからうるさいデス……。せめて呼び鈴を使ってクダサイ……」
「そんな細かいことはどうでもいいんだよ！　ブドーさんの死体が見つかったんだ！」
「なっ……」
「今、ペルラくんに見てもらっているけど人狼の仕業でほぼ確定だぜ。ブドーさんには昨日の話の続き、聞きたかったんだけどな……。話聞きたいやつからガンガン死んでいくなぁ」
「……全くその通りなのデス」
　コケー……。と、小脇のニワトリもトサカを縦に振って同意した。

　検死の結果、ブドーの死は人狼によるものと確認が取れた。
　状況上、真占い濃厚なトワの占い結果は【ブドーが人間】。ブドーが襲撃されたため、状況整理の一助にはならなかった。
「うう、申し訳ないデス」
「いや、しょーがねえよ。トワくんのせいじゃねーし。ブドーさんは明らかに怪しかったから襲撃はねーと思ってたんだけどな。
　もーっ。秘密持ってる人は死ぬ前に話してくれよーっ」
　ニワトリをブン回しながらマモルが天に叫ぶと、ペルラが控えめに手を挙げた。
「よろしいでしょうか」
「おっ。ペルラくん、いいよいいよ！」

「告白します。【私、ペルラは狩人】です。本日はトワさんを護衛します」
　ふんわりとした笑みを浮かべるペルラ。
　対照的にサキリの顔は白くなった。一番避けたかった展開である。
（女狼の花言葉の意味はこれなのか……？）
　チナミの独房にはアザミの花が残されていた。花に詳しい人に尋ねたところ、花言葉は復讐とのこと。

（……僕の使命を思い出すんだ）
　チナミのメッセージに意味があるのかはわからない。
（僕の使命は、狼から人々を守ること）
　相手がだれであれ、どんな事情であれ、己がやることに変わりはない。
（狼はブドーさんを狩人と決め打ちして襲撃し、狩人乗っ取りができる考えているのか？　……とにかく、現状ペルラさんが偽と知っているのは僕だけ。彼女を確実に殺すには……）
「ペルラくんが狩人か。ほかに名乗り出る人がいなければ議論を――」
「待ってくれ、マモル。【僕が狩人】だ」
　名乗り出たサキリの声は氷のように冷ややかだった。
「僕とペルラさんを吊って村を平和にしよう」
「え……？あ、待って。待ってください。私は……」

　私、ペルラは狩人ではなく。狼でもないのです。
　私は自分を殺してもらうことで、狩人や占い師を助けたかったのです。

　喉元まで出かかった言葉をペルラは飲み込む。
　もう、何を信じればいいのかわからなかった。
　少しでも村の助けになりたいと願った行いが、サキリを死に追いやっていく様をペルラは茫然とした表情で眺めていた。現実味の無い展開ばかり続く。
　
＜投票＞
・ペルラ・サナーレ⇒サキリ・デイジーカッター
・サキリ・デイジーカッター⇒ペルラ・サナーレ
・卯木衛⇒水守流
・トワ・E・ライトフェロゥ⇒サキリ・デイジーカッター
・水守流⇒トワ・E・ライトフェロゥ

【本日の処刑者はサキリ】に決まった。
「サキリくんは人殺しなんてしねーのに……」
　独房の番をするマモルが鼻声でつぶやく。
「信じてくれて嬉しいよ。僕は村にとっての最善を尽くした。後悔はしていない……とは言っても、可能なら苦しくない方法で死にたい。
　ねえ、マモル。最期に頼みたいことがあるんだ」
　サキリの願いはマモルにとって耐えがたいものであった。
　しかし、マモルは何も言わずにサキリの願いを叶えてやった。
　この日、サキリはペルラに特別に調合させた劇薬で命の火を消した。
　死に顔は非常に穏やかだった。