ラッカミ村の人狼｜リアクション

ラッカミ村の人狼

「はーっ。これでようやく村が平和になった。じゃ、俺はお前たちの世話に――」
　晴れやかな顔でニワトリに話しかけるマモルの肩をナガレはポンと叩いた。
「人狼は俺」
「……マジで？」
「マジ」
「えええええー」
　小脇に抱えていたニワトリがボトリと落ちた。
「遺言はあるか」
　がっくりとうな垂れるマモルを見下ろしながらナガレが問うと、
「……るか」
　と、マモルが答える。
「すまん、もう１回言って……」
「死んで、たまるかぁぁぁぁ！！！！！！！！！！！」
　マモルはつま先で地面を軽く蹴って後方に大きく跳躍し、その勢いのまま３度バク転して間合いを取った。右足を高く持ち上げ、威嚇するように両の手首を頭より高く持ち上げる。
　その姿はまさに闘鶏！！！
　鋭い爪で敵を仕留めんとする憤怒の塊！！
「返り討ちにしてやるわー！！」
「え。えええー……。いや、こういう展開違くない？　ブドーやトワは運命を受け入れ――」
「うるせーうるせー！！　こちとらニワトリたちの命、預かっとんじゃい！！　牧場〇語キーック！！　かーらーのー、ハーベス〇ムーンサルトー！！　おらおらおらー！！」
「ぐヴぉっ、うヴぇっ、がヴぁぁあっ、ぴぎゃー！！」

　1Hit!⇒2Hit!⇒3HiT!⇒(ここから空中コンボ)⇒16Hit!

　ハイキックで浮かせたところからの対空ガード無視攻撃でコンボを繋ぎ、つま先を的確にみぞおちに叩き込む。マモルの猛攻に運動音痴のナガレはなすすべもなく、よだれを垂らしながら白目をむいて、受け身もとれぬまま固い地面に体を叩きつけた。
（俺の体力がピッコンピッコン言ってるぜ……。起死回生の策を何か、何か……）
　肋骨が２本折れているナガレの前を、能天気な顔をしたニワトリがトコトコ通り過ぎようとしていた。マモルのニワトリである。これはチャンスとナガレはニワトリを捕獲した。
「うぉぉぉおいチビッコォ、このニワトリさんがどうなってもいいのかぁ？　ん～～～？（ゲス顔）」
「ああっ。ピヨヌンティウス！！　後生だ、ピヨヌンティウスだけは！！」
「隙ありだ。ごっつぁんです！」
「ぐあー！」
　こうして、ラッカミ村から人間が消えた。