激しい雨は突然に｜リアクション

激しい雨は突然に

リリエル・エーテライトは、星幽塔から寝子島へ観光のためにやってきた。
町のなかを歩いていると、ふと周りが暗くなったように感じた。
上を見上げると、太陽が雲に覆われ始めている。
そして急速に雲が広がり、ついに雨が降り出した。

リリエルは走り出すと、適当に雨宿りできる場所を探す。
ふと目に入った軒下に飛び込むと、呼吸を落ち着ける。
雨は勢いを増し、雨音がうるさく感じるほどだった。

（雨に降られたのは困りましたが、それほど濡れる前に雨宿りできたのは幸運でした）

そう思いながら、自分の服などについた水滴を払う。
先ほどは慌てていて気づかなかったが、どうやらここは喫茶店らしい。

（お小遣いもありますし、料理の勉強をかねて入ってみましょう！）

リリエルは入り口のドアに手をかけた。

カランカランという鈴の音が店内に響く。
店員に出迎えられ、席に案内される。
席につくとリリエルはメニューを手にとる。
そこには色々な料理が並んでいて、思わず迷ってしまう。

（……あ、このワッフルって料理……ホットケーキとどう違うのかな？）

メニューに載っている写真を見ると、焼いたお菓子のようだが詳しくは分からない。

（これ、気になりますね……頼んでみましょう！）

店員を呼び、ワッフルと紅茶のセットを注文した。
待っている間に窓の外を眺める。雨はまだ収まる気配がない。

しばらく待っていると、店員が注文の品を持ってきた。

「これが、ワッフル……」

リリエルの目の前にワッフルと紅茶が並べられた。
見た目は長方形で、表面は格子状。
粉砂糖がまぶしてあり、ブルーベリーと苺が添えられている。
そして、小さな容器に入ったシロップがそばに置いてある。

さっそくリリエルはそれを口に運ぶ。
サクサクとした口当たりと、ふわふわとした食感が口のなかに広がる。

生地は甘さが控えめで、粉砂糖で少し甘く感じる程度。
これにシロップをかけると、格子の溝に浅く溜まり、少し光って見えた。
それを一口食べると、シロップの甘さと少ししっとりした味わいが楽しめる。

甘さに飽きてきたところで、添え物のブルーベリーなどを食べる。
すると、ほどよい酸味が甘さを落ち着かせる。
時折紅茶を飲みながら、初めての料理を堪能する。

ワッフルと紅茶を食べ終え、一息つくと窓から外を見る。
気づけば雨は止んでいた。

「あ！　虹がかかってます！」
「ワッフルと紅茶も美味しかったですし、偶にはこういうのもいいものですね」

リリエルは満足そうに微笑みながら、晴れた空の下へ戻っていった。

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