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後ろポケットのスマホがブルルと振動するのを感じて、喬は歩くのをやめた。
それを見て、紫と虹子も足を止める。
「どうかしたの? あんみつ屋はすぐそこよ」
「……いや。今は別の店に移動して、パフェを食べているそうだ」
「今度はパフェ? すごい食欲ね」
紫は驚きのようなあきれのような感想を口にする。
移動先を知らされるたびにそこへ向かっているのだが、どうにも後手後手に回っているというか、移動に追いつけないでいた。
「もう彼女に話して、その場から動かないで待っててもらうようにする?」
紫の言葉はもっともだ。それが一番正しいのだろう。だが。
「……いや。いい」
喬は断った。
「何か不都合があるんですの?」
それまで黙って喬の動向を観察し、彼の言うとおりに一緒に動いていた虹子が、ついに口を開いた。
「中山さまが向かっていることを知られると、妹さまは何をされると考えていらっしゃるんですか?」
「……べつに、そんなんじゃねえよ。……ただ」
「ただ? 何ですの?」
「……あいつ、おれの電話に出ないだろ。店に行こうともしてないし。こうやって店回ってるのは、やっぱ、おれと会うのをできるだけ遅らせようとしてるんじゃないかな、と……」
いつになく歯切れの悪い言葉で自嘲の笑みのようなものまで浮かべている喬を見て、虹子はふいと顔をそらした。そちらにあるコンビニへ無言で入り、出てくる。
「電話に出ないのは、バッテリーが切れているだけとは考えませんの?
はい、これ。中山さまからお渡しくださいな」
手に押しつけられたのは、買ったばかりと分かるスマホの急速充填機だった。
「……あ……。
………………
あり、
……
ありが
……」
「何ですの? よく聞こえませんわ」
「……これ、いくらだ? 代金」
少しふてくされた声で財布を取り出す喬に、虹子は横の髪を払うと颯爽と歩き出した。
「さあ、急がないとまた別のお店に行かれてしまいますわよ。
それから。お礼にはおよびませんわ。そういうものは心からの言葉でないと、意味はありませんもの」
挑発的に、肩越しにちらりと見てくる。
「……っ」
(――――こいつッ、ハードル上げやがった!!)
くそっ、と最高にイライラしながら充填機を上着のポケットに突っ込み、無言で歩き出す。
ふたりのやりとりを見て、紫はやれやれと言うようにそっと息をつくと後ろについて歩き出した。
「見て、あの人。まだ食べる気よ。すごいと思わない?」
椎井 莉鳥
は持ち上げたストローで、対角にあるテーブル席の林檎を指した。
北里 雅樹
は言われるままにそちらを見て、テーブルの上の空のパフェの容器を数える。
「……15。16杯目か。すごいな」
そう応じたものの、言葉の半分も関心を持てなくて、すぐに視線を前に戻した。莉鳥はまだ向こうを向いている。でもその横顔は雅樹と同じで、特に興味があるようには見えなかった。
さっきの声も、言葉のわりに平坦なものだ。
(こいつはそういうやつだよな、昔から)
ぶっきらぼうで無愛想。声や表情に感情が出ることがほとんどなく、何を考えているか分からない。
自分たちの関係が、大げんかの果てだの価値観の相違だの、そういうことでなく、単なる自然消滅だというのも、この莉鳥が相手だと当然に思えた。
ふたりの間にそれだけの情熱がなかった、ということもあるが、隙のなさも間違いなく要因の1つだ。
1時間ほど前、偶然前を歩いていた莉鳥を見つけて、ついいたずら心から近づいた。といってもたわいのない、後ろからいきなり声をかけてびっくりさせよう、という程度のものだったから、バレてもどうってことなかった。ただ、そのあと、莉鳥が言った言葉が。
「……何か用?」
冷たい声で、射すくめるような視線で。一文字に結ばれた口にはかすかな笑いも浮かんでいなかった。
まあ、冷笑が浮かんでいたら、それはそれでダメージだったけど。
さすがにこれはない。
「……おまえさあ、たまには驚いてみようって思わんの?」
「どうして?」
雅樹が何について言っているか、莉鳥はすぐにぴんときた。幼なじみだのくされ縁だのという言葉では表しきれないものが、依然としてふたりの間には存在している。それは、彼氏彼女という関係が消滅しても、消え去ることはなかった。
「だって、すぐに気付けたし、雅樹だって分かったもの」
というか、莉鳥に対し雅樹以外であんなことをし続ける者はいない。
「それでもさあ」
「それに、いつものことでしょ」
言葉の先を、ぴしゃりと封じる。
「……もういい」
目線を下げ、ストローを吸ってジュースを飲む莉鳥の姿に、雅樹はこの話題を投げてしまった。
ほおづえをついて、あさっての方角を見ている雅樹を下から盗み見る。
彼が何を言わんとしたか、莉鳥はちゃんと理解しているのだと、たぶん雅樹も気付いているに違いない。
自分でも、かわいげのないことをしている自覚はある。
(でも……しかたがない。それが私だもの)
そして、そこから先を追及してこないからこそ、このわけの分からない関係が続いているのだと思う。
うやむやなままにするのを許してくれている。
去年、彼女が留年した理由も。全部がそのせいではないにせよ、1つの関係がそれをきっかけに消滅したのに……。
それからは、例によって噛み合わない会話をした。
友達にこういうことがあったとか、こういうことを話したとか、毒にも薬にもならない、どうでもいい日々の話題を、あの眠そうで気だるげな表情と声で雅樹がしゃべり、莉鳥は食べることに集中して聞き流しているようで、彼がのどを潤すときなど言葉をとぎれさせたときに何気なく突っ込みを入れる。
「手厳しいなあ、莉鳥は」
冷淡な、容赦ない言葉をはははと笑って聞き流す。
向かい合わせに座るふたりの姿は、傍から見れば恋人同士にしか見えないだろうし、恋人同士とすれば奇妙な会話だと思われるかもしれない。
でもたぶん、自分たちにはこの距離感が一番合っているのだろう。
「……どうかした?」
あるとき、雅樹がまたもや例のテーブルを気にしていることに気付いた。
「ん。今度はあの女の子が挑戦するみたいだな、って」
視線を追うと、林檎の前の席に、ショートカットの中学生くらいの女の子が座ろうとしているのが見えた。
「決めた。俺もチャレンジしてみる」
「……えっ?」
何をいきなり、と莉鳥が驚いているうちに、雅樹は店員を呼び寄せて、「絶品玉子プリンパフェ、10杯完食したらタダ!」に申し込んでしまった。
「一体どうしたの? いきなり」
「いいからいいから」
自分は来年本土の大学へ進学し、寝子島を離れると決めている。あと1年がふたりに残された時間だと思ったら、急に何かを残したくなったのだ。それがばかな事でも、何でも。
(――なんて言ったら、感傷的になりすぎ、って言いそうだからな)
「よーし! 食べるぞ!」
運ばれてきた最初の玉子プリンカフェを前に、雅樹は少し大げさなほど意気込んで食べ始める。
「向こうの人は、何杯ですか?」
雅樹は紗那について訊いたのだが。
「向こうのお客さまですか? 20杯です」
あやめは林檎と勘違いして答えた。
「あ。じゃあ俺も20杯で」
「ええっ……!? あ、す、すみません……。
か、かしこまりました、20杯ですね……ううっ……」
必死に笑顔をつくって、あやめはよろけながら調理場へ戻っていく。
「……あんなこと言って、いいの?」
「あの子にできて、俺にできないわけないだろ」
雅樹は食べきる気満々だ。
この元気がいつまで続くだろう?
(……たぶんチャレンジ失敗の料金は、私が立て替える羽目になりそうね)
莉鳥はため息をつく。
(それにしても、あの店員さんはどうしてあんな涙目になっていたのかしら)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月29日
参加申し込みの期限
2017年06月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年06月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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