だんじょん＆にゃらごん　世界樹の塔｜リアクション

だんじょん＆にゃらごん　世界樹の塔

■可能性の大樹・Ｂエンド
　ジョシコーセーという単語にときめく。
　いつ聞いたのか。どこで知ったのか。前世から刻まれた記憶のごとく脳裏に焼き付いて離れない謎の単語。
　朝野未沙は、この理由を探して西へ東へ旅を続けたが、未だにそのヒントすらつかめていなかった。
　しかし。
「あたし、もしかしたら見つけちゃったかもしれない」
　未沙は木製の宝箱に手を突っ込み、わなわなと震えた。
　取り出したのは服だった。
　赤いリボンと広い襟。短い袖の先端は二本線によって整えられ、なぜかミニスカートと一緒に存在している。
「セーラー服よ」
「せーらー……水兵？」
　恵御納夏朝の言葉に、未沙はぷるぷるとかぶりを振った。
「そうじゃないの。そうかもしれないけどそうじゃなくて……ジョシコーセーへの手がかりだと思うのよ。すごく近いもの。戦士と鎧ほどに近い何かよ」
「ジョシコーセーって職業なの？」
　横から覗き込んでくる白真白。
　未沙はうなりと共に立ち上がった。
「このもやもや、耐えられないわ！　ちょっと着てみて！　ちょっとでいいから！」
　シャラーとかいいながら腕を触手にかえ、真白の服を脱がそうとする未沙。
「やめてやめて！　今着なくてもいいでしょ！？」
「さきっぽだけでいいから！」
「なんの！？　わ、わかったから、着るから！　後ろむいてて！」
　未沙への（なんかこうアレな）危機感から夏朝に援護を頼むと、真白は謎の防具セーラー服を身につけた。
　自重をめっちゃ重くされた上に羽交い締めにされた未沙が振り返ると、そこには美少女がいた。
　セーラー服の真白。という文句なしの美少女である。
　夏朝は目をこすった。
「なんだろう……見たこと無いはずなのに、すごく自然なものに思えるような」
「うん、私もなんだか、初めて着るはずなのに違和感がないというか……」
「このダンジョンに、秘密があるのかしら」
　未沙は周りを見回した。
　木製タイルの床。
　等間隔に並ぶガラスの窓。
　同じく等間隔に数十個も並んでいる一人用の机と椅子。
　それらが向いた先にある、黒くて大きな板と、そこに石膏かなにかでこすりつけるように書かれた文字のようなもの。
「次が最上階なんでしょ？　確かめる価値はあるはずだよ！」
　真白はそう言って、部屋の扉を開いた。

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