らっかみ桃太郎伝説２　宇宙オーガ襲来の巻｜リアクション

らっかみ桃太郎伝説２　宇宙オーガ襲来の巻

■レジェンドオブゴールド
　あるところに矢萩咲という金太郎がいました。
　急になにいってんだろうと思われるかたもおられましょうが、咲はずっと昔からこれを言って聞かないのでした。
　世間で多くの人たちが桃太郎ポジを狙う中、肩を並べるほどの存在になろうとあえて脇道を行った末に出した結論が金太郎だったのです。
　桃太郎と同じくらい伝説が深い存在なのでその辺りをじっくり語ってもいいのですが、本筋から離れるのでよしておきましょう。
　今語るべきはそう、金太郎を目指した矢萩咲のお話です。
　幼少期から身体を鍛え空手の腕を極めに極めついには拳から破壊光線が出るまでになった咲は我こそが金太郎であるぞとネットに書き込んでみたのですが、周囲の反応は冷たいものでした。
　咲はその理由を、『それっぽさ』がないことだと考えていました。
　ホントは金太郎のわんぱく相撲感と咲のクールビューティー感に差がありすぎるせいだったのですが、咲の中では例のイメージは既に古く、むしろ金髪でサングラスのライダーのほうが強いくらいでしたから、無理はないのかもしれませんね。
　さておき、咲は桃太郎のオトモよろしく自分もオトモをつけることに決めました。
　金太郎のオトモといったら熊です。
　とはいえ熊そのものはいなかったので、熊っぽい人を探すことにしました。
　まず彼女が訪れたのは鬼ヶ島宇宙開発センターでした。
　猛者はいたのですが、ビジネススーツがよく似合う男と政治家しかいなかったので、熊感は全くありませんでした。みんなどこか都会っぽく、野性味というもんが無かったのです。
　かつては蛮族として知られた鬼たちも実際見れば農民と大差ないくらいで、あえて意識高めに言うとアジェンダにフィックスできなかったのでした。
　次に目をつけたのは刀と愉快な美少女たちこと日常系チームでした。
　各キャラの魅力を掘り下げた回をやったり水着や浴衣でキャッキャしたりと、この子ら絶対出る場所を間違えてるだろと思ったものですが、設定上は一級品の才能があったようで終盤にさしかかる辺りで町に流れ着いた宇宙オーガが現われたり打ち上げた宇宙船だかがデカいトゲトゲに当て逃げアタックかまされたりとシリアスなムードになっていきました。
　とはいえメンバーはネコとネコとウサギとイヌ。そしてラノベ主人公です。
　熊っぽさはどこにもなく、咲はなかば諦めかけていました。
　そんな時、彼女の目の前に降ってきたのが、『Ｎ４Ｒ１』と刻まれたカプセル。正確には、その中から排出された人間兵器でした。

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