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文(ふみ)書かばや
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◆
寝子高の校舎内、普段の活気とは違い部活のある者や所用で訪れた者たちのみの、微かに聞こえる足音や雑音に時折耳をやりながら、
神嶋 征一郎
は正面に座っている彼女と、その手元を凝視した。
シンプルなレターセットが広げられ、薄く罫線の引かれたそこには『お母さん、お父さんへ。お元気ですか、』としかまだ書かれていない。
「だから……言ったじゃねぇか。自分じゃ大した助言できる保証はねぇと」
「ううん、そんなことないよ! 神嶋君がくれる言葉は、すごく心に響くっていうか……だから、その……」
「…………手ぇ動かせ」
「! うんっ」
切り捨てるように短く投げられた言葉を、しかし
結城 日和
はもうその声色から理解していた。彼なりの優しさを必死に押し隠した音色なのだと。
呆れるでもなく席を立つでもなく、そのまま自分が書き上げるまで居てくれるのだと暗に紡がれたのをしっかり受け取って、日和は改めて書きかけの手紙へと向き直る。
(……ちょっとだけ、神嶋君の横顔に見惚れてた、なんて言えないよね……)
こっそりと、浮上してしまった淡い想いを誤魔化しながら。
この日、たまたま星ヶ丘寮の共同スペースで出会った2人。
もうすぐ3年生になるやら、新学期の準備は出来ているのかやら、主に日和が口を開いてはその雑談に征一郎が一言二言返す。そんなやり取りをしていた中で、ふと日和から持ち掛けられた相談。
それは、実家の父への手紙。一年ぶりくらいにもなるという、その伝えるべき内容についての。
『お母さんからはお父さんにも連絡するようにって言われたけど……なんて書いたらいいのかわからない……』
そう呟いて俯いた彼女、父親との音楽の価値観の相違について悩んでいたことは、征一郎もこれまで何度か聞いていた。そして見て来た。
音楽について嘘も妥協もしない自分からの、ともすれば刃になりかねない鋭すぎる言葉を受けてもなお、彼女はそれを彼女なりの解釈へと昇華して、会うたびに輝きを増していくのを。
だからだろうか。眩しくて目を逸らしたくなるのに、どこまでその輝きは昇っていくのか見届けたくもなったのは。
征一郎は気付けば、『この時期の図書室なら、静かなんじゃねぇの』と提案していたのである。
「……お母さんにはメールや電話だってしてるけどお父さんには何も……」
ぽつり。シャーペンを握ったまま呟かれた言葉。
日和の父にとっては、音楽とは賞を取る為の物。栄誉を得る為の道具とすら聞こえる言葉が、過去日和に向かって放たれた。
その事が脳裏を過れば、征一郎の口は自然と開かれる。
「結果だけが全てじゃねぇ」
―― 結果こそ全てだと、以前なら間髪入れず答えてたのは自分(てめぇ)だろうに。
まだ終着点を掴めていない、征一郎の中での相反する音楽への姿勢だが、日和を前にして無意識に抑制していた気持ちが吐露されたのかもしれない。自身に少々の動揺と自嘲を感じたものの、表情は仮面を纏ったように動かさないままで征一郎は続けた。
「お前の音楽を一度きちんと聴いてもらう機会があればまた変わると思う。人の心を動かす音は持ってるだろ」
自分程じゃねぇが、と彼らしく付け足されたのを最後まで聞いては、心が喜びで満ちていくのを日和は感じた。
―― 今なら、書けるかもしれない。ううん、伝えたいことがいっぱい浮かんでくる。
表情綻ばせた彼女に気付けば、これ以上紡ぎ出すものは無いと踏んで深海色の視線を落とすと、横に置かれている残りの便箋たちが目に留まった。
「自分も、か……暫く話してねぇな」
「え? 神嶋君の、家族の話?」
「結城、使わねえ分があるならもらうぜ。後で買って返す」
「そんなのいいよ! 好きなだけ使って?」
「借りは極力作らねえ主義だ」
日和が必死に己の父へと言葉を探すのを見ている内に、自分もそういえば母からの手紙には一度も返していないことを思い出した征一郎、今しか書く気にならないかもしれないという勢いに乗って、真っ白な紙へと向き合った。
「神嶋くんもご家族にお手紙出す? そっかぁ。神嶋君のご家族ってどんな感じなのか興味あるなぁ……」
「……」
「あ、はい、話逸らしました」
射るような視線から意図を読み取って、日和はそれ以上征一郎の手紙の送り先については口をつぐんだ。
―― うん、そうだね一度お父さんには私の音楽聞いてもらいたいな。
彼が認めてくれた、私の音色を。お父さんにだけじゃなく、もっともっと多くの人にも聞いてもらいたい。
そう思えた彼の言葉から、これまでの充実した1年が思い出の奔流のように押し寄せて。
『とりあえず2年生の時の出来事とか私の決意とか……やりたいことをいっぱいやった、よね……』などペンを走らせながら無自覚に口にしている日和のその耳、桃色と白のアネモネが髪の隙間からチラリと覗いたのを征一郎は黙って視界に捉える。
図書室に、カリカリと心地よい文字の音が奏でられていた。
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担当ゲームマスター
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月22日
参加申し込みの期限
2017年05月29日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月29日 11時00分
参加キャラクター一覧
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