ストリートファイトバトラーズ｜リアクション

ストリートファイトバトラーズ

■御剣刀　ＶＳ　七峯亨
　夜の静かな森。大きな赤い鳥居の前に立ち、刀は赤いコートをわずかになびかせている。
　対して。
　空から飛び降り、地面を破壊しながら着地する亨。
「俺に喧嘩を売った奴ってのは、テメェか」
　そして後から落ちてきた大太刀が地面に刺さり、それを強引にひっこ抜く。
「鬼が出るか蛇が出るか……なるほど、鬼か」
　刀のこの戦闘開始台詞は亨と亮、二人に対してのみ適用される台詞である。
　これは遠回しに二人が同種の力を持っていることを示しているのだが、ストーリーモードを進めないとその辺りは分からないのだ。
　すらりとエモノを抜く刀。

　――第一試合！
　――はじめ！

　スピード特化型の刀。技の出も移動も非常に早いがなにより恐ろしいのは瞬間移動による間合い詰めである。
　一瞬で亨の眼前に現われ、刀を切り上げてくる。
「遅い」
　亨はガードが遅れて切りつけられ、返す刀で二撃、三撃目まで叩き込まれる。
　刀は持ち技の種類こそ少ないが、瞬間移動する方向と移動直後からの追加入力で発生するコンボ技が強力なのだ。
　しかしコンボを長く続けるキャラでもない。三撃目が入った所でわずかな硬直。
　お返しとばかりに亨は大太刀を叩き込んで刀を吹き飛ばしにかかった。
　亨の攻撃はとにかく大ぶりでダメージが大きく、ノックバック性能も高い。
　刀がガードしても軽く押されるくらいである。
　が、そのぶん隙が大きく普通なら次の手に移るのは難しい。そこを補うように存在しているのが一寸システムだ。
　スペシャルコマンド入力で亨は画面で見えないくらい小さなサイズに変身。
　激しい身体能力をもって刀の身体を素早く駆け上がると、首や顔に攻撃を加え始めた。
　サイズは豆粒だがパワーは最初のままである。縮めば縮むほど力が増すという亨の特殊能力なのだ。
　抵抗する刀。ボタン連打による対抗ロールの末、勝ったのは亨の方だった。
「よおく見とけよ。見えれば話だけどな！」
　クローズアップカットイン。
　腹、首、顔と一瞬だけランダム表示されるボタンをその通りに押していくことで三発の攻撃がヒット、ラストショットで刀は大きく吹き飛ばされ、亨は元のサイズに戻ってずしんと着地した。
　だが攻撃はまだ続く。亨はダッシュで距離を詰めると一寸型へチェンジ。
　彼を見つける刀のあおり構図がカットインで入り、再び対抗ロールが始まった。
　亨が踏みつけられるか逆に相手を転倒させるかだ。
「おっと、あぶねえじゃねえか！」
　今度もロールに勝利したのは亨だった。
　刀を転倒させ、元のサイズに戻った亨が強烈に踏みつける。
　スピードで相手を翻弄するはずの刀が特殊技に翻弄される図となってしまった。
　そして翻弄は死を招く。起き上がりざまに刀で切りつけ、通常攻撃によるコンボからの必殺技追加入力三連コンボで亨の体力を削りにかかる……が、亨はそれによってたまった超必殺技ゲージを爆発させたのだ。
「そろそろ死んどけ！」
　刀を掴み、振り上げ、地面に叩き付けてはまた振り上げ、何度も地面に叩き付けまくったあとで相手に噛みつき、噛み砕く。
　更に空中へ放り投げ、まるで野球のノック練習のごとく大太刀の一閃。雷撃の如く放たれた斬撃で血しぶきがあがり、刀の体力が限界まで削られた。
　圧倒的な猛攻の前に屈してしまうのか。と思われたその時、刀の超必殺ゲージが爆発。
「ついてこれるか、俺の世界に」
　周囲の時間がスローになり、瞬間的に発動するはずの亨のガードすらゆっくりになる。
　一方で刀は通常速度で鞘に刀を収め、引き絞ってからの抜刀術を仕掛けた。
　通常速度に戻った世界で亨は血しぶきと共に吹き飛び、バウンド。
　起き上がった亨に再びの瞬間移動で間合いを詰めて三連撃。
　着実に体力ゲージを削っていく。
　しかし一発でも当たれば終わりだ。慎重に緊急離脱を――と思った矢先に亨が一寸型による足下トラップを発動。
　一瞬だけ姿をけしたかと思うと刀の足から血が噴き出し……。
「ちっ……まだまだ、か……」
　崩れ落ちるようにその場に倒れた。

　――勝者、亨！

　大太刀を担ぐ亨。
「まだだ、まだ満たされねえ」
　熱い吐息を吐いて、そう言った。

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