ストリートファイトバトラーズ｜リアクション

ストリートファイトバトラーズ

■新田亮　ＶＳ　仙藤蒼
　往来激しいスクランブル交差点の真ん中で、亮は拳を自らの手のひらに打ち込んだ。
「覚悟しろ。勝つのは俺だ」
　グッとファイティングポーズをとる亮。
　一方で蒼はスマホをたしたししながら亮に背を向け、ハッとした様子で身体ごと振り向いた。
「残念！　私と出くわした時点であんたの負け！」
　ビッと指を突きつけ、両手と両足を肩幅くらいに開いて構える。
　体力ゲージが満タンにたまり、必殺ゲージがセットオン。
　亮の鬼ゲージも左下から突き出るように現われた。

　――ROUND ONE!
　――FIGHT!

　最初に動いたのは蒼だ。ノーマル移動における速度は蒼がトップクラス。
　それゆえに初動を制するのはやはり蒼ということになる。
「それっ！」
　蒼は亮に距離を詰めつつローキック。
　翻るスカート。
　対する亮はガード姿勢で攻撃を受け、即座に鬼モードを発動させた。
「本気で行くぞ！」
　気合いを入れてゲージをオン。ゆっくり減り行くゲージ、赤く点滅する亮のボディ。
　飛び退いた蒼だが時既に遅しである。前に飛び込んで殴りつける亮の技が空中でヒット。
　はずんだ所に突き出すような蹴りを浴びせる亮。
　蒼は思い切り画面端まで吹き飛ばされ、見えない壁にぶつかって倒れた。
　亮の猛攻は止まらない。
　どこからともなく野球のボールを取り出すと、素早い動作で投げつける。
　それをガードでしのぐ蒼。
　鬼ゲージは既に半分まで減っている。ごり押しするにも技選択を選ばねばならないというのが亮を使う上でのポイントだ。リーチが長いぶんダメージの少ないピッチングは鬼モードの時に使い続けるような技じゃない。相手がガードするなり飛ぶなりした所で突っ込むために使うのだ。
「怪我じゃすまないぞ」
　ボクシングのフォームで残像を残しながら前に突っ込む亮。
　大技だ。
　コマンド入力からの連続追加入力でラッシュの出せるボクシングラッシュ。
　三発が蒼に叩き込まれる――が、ここで蒼の見せ所である。
　亮が突っ込む寸前に挑発のポーズ。
「かよわい女子中学生に暴力なんてふるっていーのー？」
　挑発的な行動だがこれこそが蒼の真骨頂。
　ポーズ中にダメージを受けると相手を強制的に掴み、逆方向にぶん投げるのだ。
　ちなみに公式サイトには『沈黙式アイキドー』と書いてある。なんだそれは。
　反撃は追撃へ。蒼はすぐさま相手に飛び込み空中追加投げ。
　ゆっくり放物線を描いていた亮が真下の地面へ叩き付けられる。
　鬼モードを解いて起き上がるも、その隙を逃さず下段蹴り。
「ひっさーつ！」
　明るい声で唱えたかと思うと蒼のフェイスカットイン。
　輝く腕で亮を掴むと、ねじり上げるようにして亮を地面に押し倒した。
「おらおらラッシュー！」
　そして、拳にメリケンサックをはめ込むとマウントポジションからぼかすか殴りまくったのだ。
　一気に体力を削られる亮。だが反撃のチャンスはまだある。
　起き上がりざまに追撃を放ってくる蒼をガードでしのぎ、反撃とばかりに超必殺技コマンドを入力。爆発のような光とフェイスカットイン。
「六倍、フォース！」
　大技同様ファイティングポーズで走り出す亮だが、拳は真っ赤に輝いている。
　相手を殴りつけて画面端まで吹き飛ばし、画面端から跳ね返ってきたところを更に殴る。
　これを続けながらどんどん端に寄せていき、猛烈なラッシュを叩き込んでいった。
　蒼はぼーりょくはんたーいと言ってその場に倒れ、体力ゲージがゼロになった。

　――BATTLE ENDED!
　――RYO WIN!

「いい勝負だった。またやろう」
　蒼にグッと拳を突き出し、亮は真剣な顔で頷いた。

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