眠れぬ夜はどう過ごす？｜リアクション

眠れぬ夜はどう過ごす？

椿美咲紀は星ヶ丘寮にある自室のベッドで悶々としていた。

「さっきまでパソコンに向かっていたのが良くないですかね。なんだか眠れないのです」

太陽の匂いのする布団にもこもことくるまっても、眠気がまるで来ない。

「これは『にゃんこと遊べ』という、猫神さまからの啓示かもしれません！」

カミサマの言うとおりにするといい事があるのです、と美咲紀は思い立つとむくりと起き上がった。
すると同じベッドに潜り込んでいた愛猫スノウが「うにゃ？」と伸びをしている。

美咲紀はいそいそとねこじゃらしを持ってくると、
スノウに見えるように布団の隙間からちょこちょこと動かす。

その動きに合わせるようにスノウは最初小さく首を動かし始め、
だんだん体全体でねこじゃらしに集中すると飛びついた
お尻をフリフリしながら何度も向かってくる。

（お尻フリフリしてねこじゃらしに飛びつく姿がかわいいのです）
（ごろろんと転がってお手手でちょいちょいっと突くさまがとても愛らしいのです）
（ああん、うちの子が一番可愛いのですにゃー！！）

ねこじゃらしを相手にするスノウの、あまりにも可愛らしい姿に感激する美咲紀。
ますます目が冴えて眠るどころではない。
スマフォを取り出すとその様子を逃すまいとシャッターを切りまくる。
スノウもやる気満々で、ねこじゃらしから視線を外さない。

「やる気ですね！　私も受けて立ちますとも！　このじゃらしを君は追えるのかぁ、あはははは！！」

美咲紀とスノウはしばらくの間、思いっきりはしゃいだ。
スノウと一緒にゴロンゴロン転がったり、布団を使ってかくれんぼをしたり。
とにかく楽しさに満ちた時間が流れていった。
そしていつのまにか、ふっとした拍子に美咲紀は眠りに就いてしまった。

翌朝。
ゆっくりと体を起こす美咲紀。
周囲を見渡すと愛猫のスノウ、ねこじゃらし、少しくしゃっとなった布団など。
それらから少しずつ昨晩のことを思い出す。

「何かいつの間にか寝ちゃっていたみたい……なのです。……電池切れの子猫ですか、私達！！」

美咲紀のツッコミとともに新たな１日が始まろうとしていた。