眠れぬ夜はどう過ごす？｜リアクション

眠れぬ夜はどう過ごす？

シーサイドタウンの住宅地。
そこに椎井莉鳥の自宅がある。
彼女はいつものようにベッドに横になった。
しかし一向に眠れる気配がない。何度か目をつぶり、布団をかぶっても、まるで寝付けない。

「……諦めよう」

少なくとも、今無理矢理に眠ろうとしても、かえって神経が尖るばかり。
莉鳥はそう判断するとショートの髪をくしゃくしゃとかきむしりながら、ベッドから起き上がった。

迷彩柄のタンクトップと下着を乱暴に脱ぎ散らかし、改めて下着を替え、服を着た。
家族を起こさないように、気配を消して音を立てずに１階へ。
そして、裏口から家の外へと出かけた。

春が近いとはいえ、３月下旬の真夜中はまだ空気が幾分か冷たかった。
星明りはまばらな、月が綺麗な夜。
それを少しだけ見上げたあと、スマートフォンにイヤフォンを装着し、音楽を流しながら夜の住宅地を歩く。

歩き始めて５分くらい経っただろうか。煌々と輝くコンビニが見えた。
コンビを組んで踊っている、ネコの看板が目印のローカルコンビニ「ネコンビ」だ。
莉鳥はこのまま外をうろついていても仕方がないと思い、ネコンビへと入っていった。

店内はこの時間だと流石に客も少ないようだ。
莉鳥は雑誌コーナーに向かうと適当に雑誌を１つ手にとる。

それは週刊少年にゃんぷだった。
最初からペラペラとめくりながら読み始める。

「そういえば『抹殺教室』とか他にも連載がいくつか終わったんだっけ」

ページを進めると別の連載が始まっているのが分かるが、莉鳥の興味を惹くタイプの漫画は見あたらず。
物足りなさを感じつつ、途中まで読んで棚に戻してしまった。
他の本も適当に手にとっては棚に戻すというのを何度も繰り返すうちに、だんだんと眠気がやってきた。
頃合だと思い、最後に手にした本を棚に戻すと店を後にする。

その後、来た道を戻るように自宅へと帰った。
そして出たときと同じく、裏口から物音を立てないように自室へ戻ると眠りに就いた。

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