R&R Agency：File04：ウジョニャウの怪｜リアクション

R&R Agency：File04：ウジョニャウの怪

● ２日目午後：成果報告会

　夜に行う予定だった成果報告会は、それぞれの進展を受けて午後のおやつの時間に合わせて行われることになった。廃校に残るまもる以外の全員が――日光を避けて宿に残っていた月とユリウスも加わって――この報告会に参加した。
　集落で知りえたこと、廃校の裏手の獣道の先で起こったことが報告されると、まず、『ウジャニャウ＝棲み付いている動物』の線が消えた。
「祟りと言われている内容についても、島の人の思い込みが強いような印象だったわ」
　真面目に今回の案件に取り組んでいるエヴァは、図書館で当時の新聞をあたり、塩田建設で聞いた話のウラをとった。
　さゆるも自分が調査した内容を淡々と報告する。
「エンジントラブルと社長の祖母の死は偶然みたいなもので、祟りの話が出てから結び付けられただけに思える。祟りと思えなくもないのは、窓ガラスが急に割れて従業員が怪我をしたって話だけど、廃校が歪み始めていたせいで、わずかな振動でも割れやすくなっていたのかもしれない。つまり、事故のようにも思えるってこと」
「私も、なみ江さんの遺物を視てみたけれど、祟りそうな印象じゃなかった」
　能美子が証言すれば、サキリもまた、
「遺族の方もそう言っていた」
　と報告する。
「取り壊しに反対する人もとくにはいないようでした」とアケーチ。
「気になるのは、三浦さんの『窓ガラスが割れる直前に、地面の底の方からみしっと軋むような音がした』と言う話と、三浦さんが嗅いだ匂い……だね」
　夏朝が気になる点を挙げると、梢がそれに付け加えた。
「江戸時代から伝わる、もともとのウジョニャウ伝承にある死者を葬ったという洞穴と、新田君たちが見つけた校舎裏の穴の話が繋がるのかも気になります」

「つまり、穴に下りてみなければわからない、と」
　梨香がパシンと膝を打つ。
「明日は穴に下りてみましょう。縄梯子とライトを準備して……」
　そのときだ。
　梨香の携帯が鳴った。校舎に残っているまもるからだ。
「もしもし？」
『大変だ。西の端の教室を調べてたら、床を踏み抜いちまってヘマした』
「ヘマ？　どうしたの？」
『教室の床下に空いた穴に落ちた』
「落ちたって……そこ、どこなの？」
『イヤな感じの真っ暗な場所だ。変な匂いもするし。この手に触る丸いのは……いや、見てもらう方が早い。オレ、蜘蛛に変身して待ってるから。すぐ来てくれよ』

　メモを取っていた月は、ノートを閉じ、ユリウスの背を撫でる。
「明日と言わず今すぐ行く必要がありそうだね。幸い、かなり陽も傾いた。みんなと一緒に私たちも行こう」

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