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【お花見】しづ心なく花の散るらむ
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桜を楽しみながらぼちぼちと歩いて、いつしか桜川のほとりに出ている。
「違和感なく混じることができたよね」
病院中庭でのお花見、とアリス・ミーティアは言った。
星幽塔民ということを気取られず、ともに魔女と戦った仲間として、アリスとルーク・ポーラスターは楽しいひとときを過ごすことができたのだった。見知らぬ人々と手をとりあい、事件を解決に導けたことにも満足している。こんな不思議が日常なのだとすれば、寝子島での生活というのも、退屈しなくていいかもしれない。
「それにしても、あのくすぐりは半端なかった」
まだアゴの辺りが落ち着かないや、と首をすくめてからルークが言った。
「ところでアリス。あれ、なんだと思う?」
川に浮いているものを指している。アリスは、外国語で書かれた巻物を渡されたような顔をして、
「大きい鳥……のハリボテ?」
「モニュメント、ってやつか。なにかこの島の伝承に関係したものなのか? 昔この川で、巨大な怪鳥を勇者が退治した記念というような……!」
すぐ怪物とか勇者とか、そういう発想にいくあたりはルークらしい。
「にしてはあの鳥、温厚な顔してない? 多分あれ、観光客用の乗り物よ。なんとなく人力っぽいかな」
「人力……つまりトレーニング用のマシンということか? そうか、水上で怪物と戦うときの……」
「いやだから怪物退治から離れなさい、ってば! 多分ね、ボートの一種よ」
「ボート? ボートってのは」
ルークは巨大な白鳥とは離れた岸を指す。
「ああいうのを言うんじゃないのか?」
そこに停泊していたのは手こぎボートだった。
あつらえたように二艇ある。
「よーい!」
スタート、と言うが早いかアリスはオールを漕ぐ。腕だけではなく全身を使って、力の限り漕ぎまくる。ぐいぐいと舳先が川の水をかき分けていく。水面の花びらをときにオールに巻き込み、ときに水とともに跳ね上げ、ときに船縁にはりつけて、一直線に漕ぎ進む。
出遅れる格好になったルークは、慌ててバタバタと漕ぎながら声を上げた。
「アリス、さっき『船の上でビールでも楽しみたいな』とか言ってなかったか!」
陽光に照る彼の髪に、やや目を細めながらアリスは叫びかえした。
「言ったよ。ルークにこの競争で勝ってからね!」
「言ったな!」
ルークにも意地がある。瞳に真っ赤な炎を宿し、足を踏ん張り、上半身すべてがボートの一部になったように気合いを入れて漕ぎ始めた。腕の筋肉に熱が籠もるのが意識された。
「目標は上流にある桜よ!」
「もちろんわかってる! 先に付くのは俺だってこともね!」
勝ったのは、やはりアリスだった。
勝って傲らず負けて恨まず、勝負が終わればまた、楽しい花見となる。
ゴール地点だった桜の幹に二人は背を預け、途上で勝ったアルミ缶を開けた。
「寝子島のお花見って楽しいね。今日はいっぱい身体を動かせて大満足!」
「ああ」
「翼を見られなかったから戻されずに済んで良かった」
それを聞くやルークは吹きだした。
「私、なんか変なこと言った?」
「違う違う。ちょっと思い出してな、さくって妖精が、『半妖精になれば、翼がなくても飛べるようになる』とかなんとか言っていたことを」
「そうそう、私あのとき、よっぽど『実は翼あるんだけど』と言おうかと思った」
アリスはルークを見た。ルークもアリスを見た。
「また遊ぼう」
と先に言ったのはどちらだったか。
アリスとルークがボート競争をしている頃、その桜川沿いの道を、御巫時子と
五十嵐 尚輝
は並んで歩いていた。
樹の投げかける影すらも桜色、まさに春は、桜は、その最盛期にあるといっていいだろう。
昨日よりもずっと、風に舞う桜の量が多い気がする。
飛びかたを覚えたばかりのひな鳥たちのように思い思いに空をゆく花びらに、ふと時子は寂しいものをおぼえた。
――さようなら。
桜がそう言っているような気がしたのだ。一生懸命に手を振っているようにも。
いけない、と時子はその想像を振り払うように、途切れかけた会話をつなぐ言葉を探す。
「もしかして、先生、お疲れですか?」
予期せぬ質問だったのだろう。彼は少し、ためらう素振りを見せてから、
「……少し」
気恥ずかしそうに告げた。
「最近ほとんど歩いていないので。運動不足、ですかね」
「歩くのって、大事ですよ」
なんだか生徒と教師という立場が逆転したよう、そんな気持ちで時子は言う。
「普段は家と学校の往復ばかりで、外出は近くのコンビニやスーパーくらい、といった毎日では、どうしても足が弱くなってしまいますから。桜を見ながらゆっくりでも、歩くのは大事ですよ」
「お恥ずかしい。御巫さんのおっしゃる通りですね」
粗相を叱られたぶち犬のようにうなだれる尚輝を見て、いえ私も、とやや急いで時子は付け足した。
「寝子島に来た頃は体力がなくて、すぐ疲れてしまうところがありました。だからせめて、歩くくらいやってみよう、って決めたんです。最近では星ヶ丘から旧市街まで歩くこともあるので、疲れにくくなったと思います」
歩くのは楽しいから続けられました、と続ける。
「春になってからは、会える鳥さんも多くなってますます楽しくなりましたね」
「そうですか」
尚輝の口に、春風のような笑みが浮かんでいた。
「とすれば、御巫さんは成長したのですね」
「成長、ですか」
「ええ、体力こと以外でも、です。一年前の自分と比べてみて、変わったと思うことはありませんか」
「さ……さあ、どうでしょう」
時子は川に目を向けた。
「自分では、そういうこと、わかりませんから」
嘘だった。
時子は知っている。
一年前の自分と今の自分は決定的に違う。なぜなら、
一年前のこの日には、私はあなたを知らなかったから――。
まるで時子のその思いを覆い隠すかのように、あらかじめチケットを押さえていた屋形船がふたりを追い越していった。
「あ……来ましたね。あの船です」
「御巫さん、チケットの予約、ありがとうございました」
「いいんです。先生と乗りたかったので。そうそう」
時子は、荷物をそっと持ちあげる。
「お弁当、先生の分も作って来ましたから」
今日も、と付け加えて微笑んだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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