ののこがふあーっとあくびした｜リアクション

ののこがふあーっとあくびした

　一件胡散臭い美青年の深縹露草は、木天蓼大学の芸術学科で学ぶ事を目標に勉強しています。
　その夜、自宅アパートの一室で露草は今日も勉学に励んでいました。
　が、突如灯りが消え、あたりが真っ暗になりました！
「Ｎｏｏｏー！？」
（……停電！？）
　差してくる薄明りに窓の外を見ると、周辺の家屋の電気は消えていない様子です。
「ブレーカーおちたデースか！？」
（必要時以外は節電を心掛けたつもりでしたが……）
　なら、ブレーカーを上げれば解決するでしょう。
「兎に角まずは灯り……って、非常用懐中電灯はこの間壊れたんデーシター！？」　
　整った顔立ちと丁寧な物腰でクール系悪役のような雰囲気を漂わせている露草ですが、素は純真で天然ボケな三枚目だったりします。
（止むを得ません、ろっこんを……幸いノートと鉛筆なら手元にあります）
　露草のろっこん『我が紋章は、光り輝く道標』は、紋章を描いた後条件を指定し念じると、指定先に同じ紋章が光り輝いて現れるという能力。
　月明りを頼りに紋章を書いていた露草は、異変に気づきました。
（おや……僅かに調子が変わった気が……？）
「体調不良ではないのデースが……」
　首をひねる露草。なんだか、ろっこんに関することのような気がしました。
（……この部屋の天井の一部よ、光れ！）　
　念じるといつも通り天井の一部に光る紋章が現れます。
「気のせいデーシタか？」
　露草は携帯電話を探しだし、ライト代わりにしてブレーカーを戻しました。
　無事停電が直った後、部屋に戻ります。
（天井の紋章は消えて……マセーン……）
「……まだ点いてマースね……」
　明るすぎてどうも落ち着きません。
（そういえば、このろっこん、紋章光らせるのはいいのですが消せるかどうかが……）
　なんだか、ろっこん解除ができそうな気がしました。
（紋章の光よ、消えろ！）
　試しに念じてみると。
　すっ、と紋章が天井から消えました。
「解除法分かりマーシタ！」
　露草は即メモに解除法を記録するのでした。
　　