ののこがふあーっとあくびした｜リアクション

ののこがふあーっとあくびした

　俺の名前は水守流、ちょっと変わった能力（ろっこん）を持つ高校生だ。
　ろっこんは、対象の肩を揉むことで対象の気持ちをリラックスさせて落ち着かせる『リラクゼーション』。
　変わった能力を持ってるとはいうが、意図しないと発動しない上、日常生活ではそれほどする事のないトリガーなため普通の高校生となんらかわりはなかった……

「……なんてことはともかく。うー、腹減ったー。腹が減って死にそうだぜぇ」
　なんとなくモノローグを内心つぶやいた後、ぼさぼさ髪で何時も眠たそうな目つきの流は言いました。
　食べても太りにくい体質のためそれなりに食べても体型があまり変化しないのはうらやましい体質です。
　流はあたりを見回します。
「ちょいとそこのラーメン屋でラーメンでも食ってくか」
　行列もなく、空席もあるようです。
（空いてるからすぐ食べれそうなのがグッドだぜ）
「さーせーん、ラーメン一つたのんます」
　周りを見ると、チャーシューメンや五目ラーメンなど食欲をそそるラーメンを食べている客が目に付きましたが。
　今はとにかく腹の虫を押さえたいので、すぐにできそうなラーメンを頼むことにしました。
「お、きたきた」
　思ったとおり、ちょっと待つとすぐにラーメンはやってきました。さっそく食べ始める流。
「んー、うめぇうめぇ、空腹にラーメン、サイコーだな！」
　ふと流は、あたりの様子に気づきました。
（……ん？　気のせいか急に混んできたな）
　それはともかく。
「何か周りも同じラーメン頼んでるような？」
　さっきまではチャーハンや餃子などいろいろなメニューを頼んでいる客がいたのに。
「バランスよく野菜も食べる主義なんだけど……今日はどうしてもラーメンが食べたい！」
　近くでお姉さんがつぶやくのが聞こえました。
　流はなんとなく感じたのでした。
（あれ？　なんかろっこんが変わったような気がするぜ？）

　新ろっこん名：メシテロジツ　
　発動条件：空腹時に食べ物を食べて美味いと思う
　能力内容：周辺の人が食べた物と同じ物を猛烈に食べたくなる