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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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Ｓｅｅｄ～人を喰う種
【エピローグ】
その日の夕方。
天利の事務所に、今回の調査を手伝った全員が顔をそろえていた。
彼らの目の前で、天利が手提げ金庫の鍵穴に鍵を差し込み、ゆっくりと回す。
と、小さな音がして、蓋は難なく開いた。
その中に入っていたのは、古ぼけた一冊のノートだった。
天利は、中に数式などが書かれているのを確認したあと、永森に連絡を入れる。
やがてやって来た永森によって、ノートは薬の製法を書いたものであることが、判明した。
「ありがとうございます。これで、アンゲリシュの根を枯らす薬を作ることができます」
心底うれしそうに言って頭を下げる彼に、天利が言う。
「薬ができたら、俺にも一つもらえるとありがたい。……それが必要な依頼人さんがいるんでね」
「……それは、もちろんです」
永森は驚いたように目を見張ったが、すぐにうなずいた。
そして、再度礼を言うとノートを手に立ち去って行った。
その背を見送り、天利は小さく吐息をつく。
「これで、被害者たちも元気になるだろう」
安堵の笑みを浮かべて言う亮に、他の者たちもうなずいた。
数日後。
参道商店街の一画にある喫茶店で、天利と調査に協力した面々は、改めて顔を合わせていた。
「昨日、もう一人の依頼人さんから電話があった。妹さんは、すっかり元気になったそうだ」
言ったのは、天利だ。
ノート発見の二日後、彼の元に永森が訪れ、樋口 路子の分の薬をくれたのだ。
彼はそれをさっそく、依頼人の樋口 紀子に渡した。
昨日、その結果報告を彼女から受けたのだ。
天利の言葉に、一同は笑顔になった。
「よかったのです。……きっと、他の被害者の人たちも、元気になっているのです」
言ったのは、美咲紀だ。
「ああ。一応、ノートの方の依頼人さんにもこのことを知らせたら、よろこんでいた」
うなずいて、天利が告げる。
「――だが結局、三十年前の件はうやむやにされたままだ」
ボソリと言ったのは、サキリだ。
「果実は全て処分されたと永森さんは言っていたそうだが、種を盗んだ犯人が逃げた以上、それはわからない。犯人が、まだ種や実を持っている可能性もある。……そして、事実が公表されなければ、また似たような事件が起こる可能性は捨てきれない」
「デイジーカッターは、種の窃盗犯はＢ社に恨みを持つ者だと考えているんだったな。――俺も、永森氏が犯人を知っている可能性は否定しきれないと思う。また、犯人捜しをしたのが警察じゃないのも引っかかっている」
修もそれへ言う。
「種を盗んだ犯人の素性は、私も気になってたわ。たまたま種を盗んで栽培して売るなんてあり得ないし、内情を知る者と考えるのが妥当だわ」
美野梨もそれへ口を挟んだ。
「お金目当てか怨恨かって考えてたけど……助からなかった患者の関係者という線も、あり得るわ」
「なんだ。みんなけっこう犯人のことが、気になってたんじゃねえか」
三人の言い分に、楓が苦笑と共に肩をすくめた。
「俺は、犯人は種の副作用ってか、食べると危険だってことを把握してたんだと思うぜ。――種と薬、セットで売ったらけっこう儲かるんじゃねえか？」
「お金目当ての犯行もありってこと？」
美野梨が眉をひそめて問う。
「おいおい。せっかく依頼が無事に解決したっていうのに、それはないだろう」
更に白熱しそうな話題に、天利が口を挟んだ。
「種を盗んだ犯人捜しは、俺たちの仕事じゃない。薬の製法はみつかり、被害者たちは助かった。めでたしめでたしだ。違うか？」
「天利さんの言うとおりよ。依頼は完遂できたんだから、これでＯＫじゃない？」
ジュースを飲みながら明るく言ったのは、緑だ。
「俺もそう思う」
雅樹がうんうんとうなずく。
彼の方は、自分がかつて食べたキノコや山菜になんの問題もなかったらしいとわかっただけでも、ありがたいことだったのだ。
ともあれ。
こうして、天利 二十の元に持ち込まれた二つの依頼は、同時に解決を見たのだった――。
その日の夕方。
天利の事務所に、今回の調査を手伝った全員が顔をそろえていた。
彼らの目の前で、天利が手提げ金庫の鍵穴に鍵を差し込み、ゆっくりと回す。
と、小さな音がして、蓋は難なく開いた。
その中に入っていたのは、古ぼけた一冊のノートだった。
天利は、中に数式などが書かれているのを確認したあと、永森に連絡を入れる。
やがてやって来た永森によって、ノートは薬の製法を書いたものであることが、判明した。
「ありがとうございます。これで、アンゲリシュの根を枯らす薬を作ることができます」
心底うれしそうに言って頭を下げる彼に、天利が言う。
「薬ができたら、俺にも一つもらえるとありがたい。……それが必要な依頼人さんがいるんでね」
「……それは、もちろんです」
永森は驚いたように目を見張ったが、すぐにうなずいた。
そして、再度礼を言うとノートを手に立ち去って行った。
その背を見送り、天利は小さく吐息をつく。
「これで、被害者たちも元気になるだろう」
安堵の笑みを浮かべて言う亮に、他の者たちもうなずいた。
数日後。
参道商店街の一画にある喫茶店で、天利と調査に協力した面々は、改めて顔を合わせていた。
「昨日、もう一人の依頼人さんから電話があった。妹さんは、すっかり元気になったそうだ」
言ったのは、天利だ。
ノート発見の二日後、彼の元に永森が訪れ、樋口 路子の分の薬をくれたのだ。
彼はそれをさっそく、依頼人の樋口 紀子に渡した。
昨日、その結果報告を彼女から受けたのだ。
天利の言葉に、一同は笑顔になった。
「よかったのです。……きっと、他の被害者の人たちも、元気になっているのです」
言ったのは、美咲紀だ。
「ああ。一応、ノートの方の依頼人さんにもこのことを知らせたら、よろこんでいた」
うなずいて、天利が告げる。
「――だが結局、三十年前の件はうやむやにされたままだ」
ボソリと言ったのは、サキリだ。
「果実は全て処分されたと永森さんは言っていたそうだが、種を盗んだ犯人が逃げた以上、それはわからない。犯人が、まだ種や実を持っている可能性もある。……そして、事実が公表されなければ、また似たような事件が起こる可能性は捨てきれない」
「デイジーカッターは、種の窃盗犯はＢ社に恨みを持つ者だと考えているんだったな。――俺も、永森氏が犯人を知っている可能性は否定しきれないと思う。また、犯人捜しをしたのが警察じゃないのも引っかかっている」
修もそれへ言う。
「種を盗んだ犯人の素性は、私も気になってたわ。たまたま種を盗んで栽培して売るなんてあり得ないし、内情を知る者と考えるのが妥当だわ」
美野梨もそれへ口を挟んだ。
「お金目当てか怨恨かって考えてたけど……助からなかった患者の関係者という線も、あり得るわ」
「なんだ。みんなけっこう犯人のことが、気になってたんじゃねえか」
三人の言い分に、楓が苦笑と共に肩をすくめた。
「俺は、犯人は種の副作用ってか、食べると危険だってことを把握してたんだと思うぜ。――種と薬、セットで売ったらけっこう儲かるんじゃねえか？」
「お金目当ての犯行もありってこと？」
美野梨が眉をひそめて問う。
「おいおい。せっかく依頼が無事に解決したっていうのに、それはないだろう」
更に白熱しそうな話題に、天利が口を挟んだ。
「種を盗んだ犯人捜しは、俺たちの仕事じゃない。薬の製法はみつかり、被害者たちは助かった。めでたしめでたしだ。違うか？」
「天利さんの言うとおりよ。依頼は完遂できたんだから、これでＯＫじゃない？」
ジュースを飲みながら明るく言ったのは、緑だ。
「俺もそう思う」
雅樹がうんうんとうなずく。
彼の方は、自分がかつて食べたキノコや山菜になんの問題もなかったらしいとわかっただけでも、ありがたいことだったのだ。
ともあれ。
こうして、天利 二十の元に持ち込まれた二つの依頼は、同時に解決を見たのだった――。
あとがき
担当マスター：
織人文
ファンレターはマスターページから！
参加いただき、ありがとうございます。
マスターの織人文です。
みなさんの協力により、薬の製法を書いたノートは見つかり、被害者たちも助かりました。
今回は３０年前と違い、薬の摂取が早かったため、後遺症が残ったり死に至るような被害者はなかったものと思われます。
重ねて、ありがとうございました。
なお、種を盗んだ犯人に関しては、そちらを捕えるのが目的ではないため、あくまでもＰＣさまたちがさまざまに推理や考察を展開するといった形にとどめさせていただきました。
ご了承下さい。
それでは、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
マスターの織人文です。
みなさんの協力により、薬の製法を書いたノートは見つかり、被害者たちも助かりました。
今回は３０年前と違い、薬の摂取が早かったため、後遺症が残ったり死に至るような被害者はなかったものと思われます。
重ねて、ありがとうございました。
なお、種を盗んだ犯人に関しては、そちらを捕えるのが目的ではないため、あくまでもＰＣさまたちがさまざまに推理や考察を展開するといった形にとどめさせていただきました。
ご了承下さい。
それでは、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2017年03月22日
- 参加申し込みの期限
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- 2017年03月29日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2017年03月29日 11時00分
