せんせいといっしょ：牛瀬先生編｜リアクション

せんせいといっしょ：牛瀬先生編

「お好み焼きにたらこって案外合うんだねぇ」
「俺のはホタテだった」
　澄佳と雅樹がお互いの具を見せ、笑いあう。
「お、牛筋発見」
「こっちはエビだねぇ」
「スナック入りってすっごくいい感じ！」
「俺はきのこと玉ねぎも案外美味いと思う」
　亮とねむる、陽毬と流がならんでのんびりと食べあう。
「うん、山芋のおかげでふわふわだな」
「ネギと紅しょうがの風味も牛肉にあいます～！」
　新聞部コンビの修と美咲紀が頷きあいながら箸を進める。
「焼きそば入りというのも、いいですね」
「やはり餅を入れるとボリュームが増す……」
　綾花と月詠が交互に味見をしながら感想を述べる。
　巧も子供たちといおりにお好み焼きを分けながら、和やかにな様子に顔をほころばせる。
　もれいびである巧は、『フツウ』の裏側で寝子高の生徒たちなどが『フツウ』を死守するべく戦ったりしている事を知っている。今後は何が起こるか未知数だが、巧としてはちょっとぐらい労いたかった。
（ま、少しは気晴らしになったやろか？）
　そう思いながら自分の取り分を食べていると、綾花が道具を片付けていた。勿論、他のメンバーも、である。
「お好み焼き、美味しかったねー」
「案外沢山食べられる物なんだな」
　ねむるの呟きに、雅樹がしみじみしていると陽毬は「何かの機会にまたやってみよう」と楽しげに片付けていく。流は流で陽毬のフォローをしたり、相槌をうったりと楽しそうな様子である。
　澄佳は澄佳で丁寧に食器を洗い、傍らの綾花がほどよく水の切れた食器から拭いていく。その様子も美咲紀は写真に収め、修は修でホットプレートを洗ったりしている。
　亮と月詠もホットプレートなどを片付け、あっと言う間に時間は過ぎていった。

（もうすぐ、３年かぁ）
　ふと、澄佳が巧を見る。彼女と雅樹は巧の担当クラスに所属している。そんな彼女は３年でも巧は担任なのか、そうでないのか、ちょっと気になってはいた。
「担任、変わるのかな？」
「どうだろうねぇ」
　道具を片付けに来た雅樹が何かを察してぽつりと呟く。２人はちらり、と巧を見、少しだけそんな事を話す。
　巧自身は４月からどこのクラスを受け持つのか、知っているかもしれないし、まだ知らないかもしれない。どこか寂しい気持ちとなる２人だった。

　しばらくして、片付けと掃除も終わり解散となった。巧はいおりと共に門まで生徒達を見送る。
「ほんなら、また学校でな」
「「先生、ありがとうございます。ご馳走様でした！」」
　巧の呼びかけに、参加者全員でお礼を言う。その楽しげな笑顔に巧は幸せを感じ、よりやわらかい笑顔になる。
「気ぃつけて帰るんやで」
　そういって見送る顔は暖かく、参加者達はまたいつか、一緒にお好み焼きを食べたいな、と思うのだった。

　＊　＊　＊　＊　＊

　――後日

「これ、この間の……」
　寝子高のとある掲示板に張り出された新聞を見、ねむるが顔を輝かせる。近くを通りがかった流と陽毬、綾花も、新聞の記事に目が釘付けとなった。
「ん？　なんかこっちにあるな」
　亮が目を向けたのは、バスケットに入れられた冊子。それには『牛瀬先生直伝！　美味しいお好み焼きの焼き方』と書かれていた。
　これは美咲紀と修のアイデアで、多くの人にコツを教えられるように、と準備された物である。　月詠は自分と巧で行った講座の内容を確認し、おまけの冊子作りに協力してくれた。
「多くの人が、美味しいお好み焼きを食べられるといいねぇ」
「そうだな。あの口幸は皆で分かち合いたいよな」
　澄佳と雅樹はその冊子を手に取りながら、パーティーの事を思い出してほっこりするのだった。

　――こうして弥生は過ぎていく……。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
ファンレターはマスターページから！

菊華です。
今回はご参加ありがとうございます。

お好み焼きで幸せになっていただけたら幸いです。
実を言うと、このガイドを製作している途中、僕自身もお好み焼きを焼く機会がありました。
牛瀬先生やみなさんのように上手に焼けたかはさておき、美味しいひと時を過ごせました。
その時のことを思い出しつつ、書かせていただきました。
リアクションを読んだみなさんが「お腹が空いた……」というようなリアクションになっていれば幸いです。

それではまた、縁がありましたらよろしくお願いします。
菊華　伴

おまけ

参加者全員へ
取得：冊子『牛瀬先生直伝！　お好み焼きの焼き方！！』
　　　パーティーの写真

称号：お好み焼きはみんなで

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