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寝子島高校
桜の雨が降る前に
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日が完全に落ちた頃、慶介はクラスメイトたちと別れて星ヶ丘の家に帰宅していた。
名曲喫茶を営む叔父
木戸 健夫
は、無口な人であるが、今日は慶介の晴れの日だからかいつもより積極的に話してくれて、会話が弾んだ。
慶介も1日の出来事を夢中で話し、健夫の中学生時代や卒業式の事を聞きたがった。しかしこの興奮と、溢れてくる感情は言葉には乗り切らない。
「ちょっとだけヴァイオリン弄ってくる」
慶介は叔父へ早口で言いながら、部屋へ向かった。
程なくして聞こえてきた音は、彼の気持ちを何より雄弁に語っていた。
*
卒業式の後、家族や親族たちとの謝恩会や友人同士の打ち上げで寝子島中に溢れていた胸花をつけた学生服とセーラー服の集団も、暗くなるとすっかり姿を消していた。
繁華街はまだ賑わってはいたが、今は大人の時間である。
そんな中を、天懸はぶらぶらと歩いていた。卒業後でも高校の入学式が始まるまでは、彼の身分は中学生にも関わらずだ。
厄介なのは、彼の外見が学生らしくないところである。制服を脱いでしまえば、警察官や繁華街のパトロールボランティアたちに呼び止められる事もない。
(へへっ、卒業記念だ)
どんな遊びをしてやろうかと思っていた矢先、背後から棘のある声が飛んできた。
「げっ、杉村!」
「げっとはなんざますか! それに『杉村』じゃござあません、杉村『先生』とお呼びなさいと何度も教えたでしょう」
杉村校長はぴっちりしたタイトスカートを物ともせずに、大股でぐんぐん天懸へ近づいてくる。
「もう帰宅時間ざます!」
このやり取りも何度目だろうと言うくらいなのに、卒業式を経た所為なのか、天懸には妙に懐かしく感じられた。先生有難うと感動する訳ではないが、少なくとも、うざさや面倒な気持ちだけではない。
「なんだよこれでおれは中学校から離れたんだから監視しなくてもいいだろー。
無事に寝子島高校にも受かったわけだし、これで中学とはおさらば! ってわけで」
「監視ではなく生徒指導ざます。それに」
杉村校長は赤いフレームの眼鏡を少しずらしながら、キッと上がっていた眉を下げた。
「卒業しても生徒は生徒。私たちの可愛い教え子ざますよ」
先生からの温かみを感じる笑顔を受け取り、天懸のなかに何かが生まれたのは確実だった。
「でもまあ」と言い直しつつも、照れ隠しからまた「杉村」と呼んで話し始めた。
「俺あんたの事本当に好きだったわけだったんだぜ。
いつも面白かったしからかうと予想以上に楽しかったし、何よりおれの事みてくれたし」
天懸は頰をかき、目を逸らしながらも言った。
「まああんたと出会えたことはよかったぜ」
そのままくるりと踵を返して行こうとしたが、「あなたの帰る場所は反対側でござあましょう!」と首根っこを捕まえられてしまった。
「んだよ。ったくめんどくさいな杉村は!」
天懸は笑いながら、遂に遊びを諦めて帰宅していった。
*
予約客で賑わっていたミルクホールも、彼らが帰ってからは静かな店内にBGMが響くばかりだ。
カウンター業務をしていた武道が、打ち上げの後に顔を出した誉と話していると、鈴の音が聞こえてきた。イリヤが泉を送り出してから帰ってきたのだ。
「おかえり、そして卒業おめでとう☆」
拍手をせんばかりのテンションで出迎えたが、イリヤは少しの間ぼうっと上の空のまま誉の隣に座り、思い出したように「有難うございます」とボソボソ返した。
「泉、飛行機に間に合ったよな?」
「はい、多分……」
ぶっきらぼうに視線も合わせない態度が彼らしくないと、武道と誉は顔を見合わせ、イリヤをもう一度注意深く見てみる。
頰に涙の後が見えた。背中を突き飛ばされて転がり落ちるようにここまできた彼も、節目の式と支えになる人が居なくなった事で遂に緊張の糸が切れてしまったのだ。
テーブルの角に置かれたグラスのような不安定で危ない雰囲気を纏っているが、しかしこれに優しい言葉をかけたり撫でてやるのは兄たちの役目だから、武道は年上として明るく努めた。
「いよいよ4月から高校生だな!! いやぁうれしいなぁ、たのしいなぁ!」
「武道さんが?」
「そりゃ嬉しいよ、後輩ががっつり増えるんだもの!
おにーちゃんずも一緒に登下校できるようになるんだろーいいよなぁ☆ あ、でも部活はいるなら時間帯ちがうかな?」
「部活は考えてませんでした。武道さんは水泳部なんですよね」
イリヤは学生服の肩でこっそり目尻の涙を拭くようにして、漸く赤い目を武道に向けた。
「おっ興味ある?」
「僕、きっと運動は向いてないですよ。すぐへばっちゃって」
「そっかぁそれはザンネン☆ どんな高校生活送りたいか考えてた?」
「そうですね」イリヤは両手の指をくっつけて、それを見つめながら逡巡している。
「高校は入学しないとって思ってても、大学や就職についてはまだよく考えられてないんです。僕はいつも流されるばっかりで、自分がないから。どうしたいって、ただ、……ただ皆が幸せだったらいいなってしか分からない。
でも高校生になったらこのお店の手伝いも出来るし、他にも、誰かの助けになれたらいいんですけれど」
「うん。やれることも格段に増えるが、その分責任も増えるだろう」
武道は二度頷き、芝居がかって人差し指を立てた。
「でも、俺からのアドバイスをいくつか」と、泣いた後で頼りなげなイリヤの顔をじっと見つめる。自分たちの背中を追いかけてくる後輩たちへ、共に走ろうと手を差し伸べるのが武道のやり方だ。
「まずは自分が楽しもう☆ 意外とそれで何とかなるもんだ
辛い事も増えるかもだけど……。その時は遠慮なく、俺達や先生、先輩、周りの同級生を頼ればいい」
「そうだな」
誉が笑顔で同意してくれる。武道はイリヤの肩を叩くように言った。
「きっと助けてくれるだろうからね」
「…………はい」
貰った言葉を噛み締めたイリヤが、椅子から降りて「顔洗ってきます」と階段を上っていく。武道と誉はもう一度視線を交わして微笑みあった。
中学生たちの卒業式を見守って、それでおしまいではない。これからは、彼らとの新たな日々が待っているのだ。
「後輩が増える……うん、俺達も気を引き締めていかないとな」
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あとがき
担当マスター:
東安曇
ファンレターはマスターページから!
シナリオにご参加頂き有難うございました、東安曇です。
中学三年生のPCさんたち、御卒業おめでとうございます。
後輩PCさんに門出を祝ってもらい、高校生のPCさんに見守られ、あたたかいシナリオになりましたね。
これからも皆さんが寝子島での生活を楽しんでいけますように。
私も受け取ったPLの皆様が納得がいくようなマスタリングを目指していきますので、今後ともどうぞ宜しく御願い致します。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月09日
参加申し込みの期限
2017年03月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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