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旧市街のレトロなカフェ『ミルクホール』では、アルバイト店員の
志波 武道
が、下宿先の米屋『美咲』からまっすぐやってきたところだった。
「おっはよーございまーっす!」
明るく挨拶しながら事務所へ入室した武道は、店長の寺島 康子のネイビーのスーツ姿を見てはっと気がついた。
「康子さんステキ! スーツってそっか、今日は中学の卒業式だったな。そゆ子もお客として来るといいなぁ!」
「予約多いわよー」
康子はにっと笑いながらホワイトボードに書かれた伝達を示した。商店街の店は地元に根付いている事もあり、謝恩会などの利用客の予約が多く入っている。
「どんな式でした? ほら中学違えば卒業式も違う!っていうし。
寝子島中学の卒業式はいったいどんなだったか、俺キニナリマス!」
「至って普通だよ」
武道の背後の扉から、双子が入ってくるなり会話に入った。二人も弟イリヤの式を見てきたのだ。
「卒業証書貰ってー」と
エリセイ・ジュラヴリョフ
が言うと、
レナート・ジュラヴリョフ
が「歌うたってー」続く。
最後は二人声を揃えて「さようならー」。
「イリヤ君どうだった?」
「良くわかんないから周りに合わせようって顔してたな、メイドエプロンがいないから張り合いないんだよ」
「リーセあんなもん好きなの?」
レナートが皮肉げに笑いながら、ロシアの卒業式ではメイド服のようなエプロンドレスを着る女生徒がいるのだと武道に話す。
「だってエロいじゃないですか! ね、ね、ブドーさん!」
「ソウネーどうだろう?」
「あんたたちそういう話しは叔母がいないところでやんなさーい、はいはい出た出たー」
康子にぴしゃりと言われて双子がゲラゲラ笑いながら事務所を追い出されると、武道はロッカーから制服を引っ張り出した。
「よっし、今日もガンバっちゃお!」
*
白がシーサイドタウンに帰宅したのは、日も傾きかけた夕方だった。
クラスメイトや先生たちに挨拶するうちにこんな時間になってしまったが、おかげで父の件で心に空いていた穴が埋まってきている。
沢山話してきた事を家で待っている母と話そうと思いながらポストを覗くと、一通の封筒が見えた。宛先の近くにAir Mailの文字を見つけた瞬間、白の表情がぱっと明るくなる。
「……あ!」お父さんだ! きっと卒業祝いの手紙を送ってくれたに違いないと、白は急いでポストから封筒を取り出し、ぎゅっと胸に抱きしめる。
彼女のろっこん『ハンドメイドサーチャー』が発動し、父のことを白へ伝えてくれる。距離が遠すぎるから鮮明には分からないが、そうだとしても白の支えになる力だ。
(有難う、お父さん)
白は暫く目を閉じたまま父の存在を近くに感じ、自分からも今日の日の事を父に伝えようと、満面の笑みで自宅の扉を開いた。
*
乾杯で合わせたグラスとカップは中身がばらばらで、誉が傾けたのはコーヒーだった。
彼らは校門前で写真を撮った後、価格と場所を重視した結果、特に歌う訳ではないがカラオケボックスにいる。
暫く写真をとっていた誉は、ひと段落して山盛りになったフレンチフライを摘みながら、自分の中学時代と卒業式のことを思い返していた。進学と言う一区切りを経た所為か、たった少し前の話なのに記憶は霧がかっている。
そんな記憶も口に出して、皆と共有しあう事で鮮明になるかもしれないと誉は考えた。
「中学での一番印象に残ってる事ってなんだ?」
「特にねーな」
「泉はそう言うと思ってたよ」イリヤは隣に座る泉の肩に自分の側頭部をごんっとぶつけてみたものの、人の事を言えない自分に気がついた。
「あれ? でも、ごめん、僕も同じかも。モスクワで暮らすのも日本で暮らすのも慣れなきゃって色々必死で、知らない街や、言葉が違ったり……勿論勉強も」
「イリヤは要領よくやるタイプに見える」
意外だ、と誉が顔に出すと、イリヤは唇の赤色が目立つくらい噛み締めた後、首を横に振った。その仕草が妙に儚く見えて、誉は嫌な違和感を覚える。
「イリヤ?」
「誉さん、違うんです。誉さんは勘違いしてる。僕は一人じゃ何も出来ない。
そう見えるのはきっと、僕の周りの人が、僕を沢山助けてくれてるからだと思います。
寝子島に来てから今日の卒業式まで少ししか時間が無かったのに、家族や先生やクラスの人たち皆が、僕が早く馴染めるように親切にしてくれましたから。
音春と、タカタカ君と、馬桐たち下の学年の子と仲良く出来て学校の一員になれた気になりましたし、誉さんたち……、高校生の先輩に出会えたのも意義深い、Счастье.僕にとっての幸せです」
「そう言われると少し照れくさいな」
誉はにやけた表情を見られないようにカメラの画面を見て、写真を一枚ずつおくっていく。
「結構撮ってたんすね」
竹高が横から画面を覗き込んで言った。
「でも誉さん写ってんのないじゃないすか。あ、俺が撮りましょうか!」
「え? ああそうか、俺一枚も写ってなかったな。……いや、タイマー機能使おう」
誉はテレビ台の上にカメラを置いて、向かい側へ皆を集めた。
今はそんなに大事に思えない出来事も、いつか大事な思い出に変わるかもしれない。そんな時には今日の日を四角い絵に収めたこの写真を見てくれたら良い。
「これ後で皆に配るからな」と言いながら、誉はボタンを押した。
*
いよいよ衿花と弦月、二人の分かれ道が見えた。
「今日約束したのは、先輩に卒業のお祝いのプレゼントを渡したかったからなんです」
改まって言う弦月に、衿花はきょとんとしながらも期待に胸を膨らませて彼を見守る。弦月が鞄から出してきたのは、白いラベルに何も書かれていないCDだった。
「これは……?」
「その……僕はまだ未熟なのでかなり悩んだんですが、
ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番『春』を、ヴァイオリンで演奏したのをCDに録音したので、時間がある時に聴いて貰えたら嬉しいです」
自分の腕で伝えきれるか分からないが、新しい道へ進む先輩へ精一杯の気持ちを込めたプレゼントだ。弦月が緊張しながら差し出したプラスチックケースに、衿花の手が伸びて、しっかりと握られる。
「ありがとう」
衿花の感謝と共にケースの上に落ちた透明の粒。雨かなと思った弦月は、それが衿花が零した涙だと気付いてぎょっとする。
(え、先輩、泣いている……!?)
弦月は知る由もなかったが、衿花は今日の朝からずっと涙を堪えてきたのだ。後輩に良いところを見せよう、一緒に帰る約束をしてるのだから泣いたらダメだと自制していた。
それが思わぬプレゼントで決壊したのだ。有難う、有難う、と衿花は大粒の涙を零しながら何度も繰り返す。
「初めて出会った時、私の悪い癖で嫌な態度をとったのに今もお話ししてるのってなんだか不思議で。
あの時に普通なら怒るのに呉井君は謝ってくれちゃったから……、
あのおかげで、私も少しずつだけど変われた気がして」
「そんな、僕の方こそ先輩が僕の演奏を褒めてくれて、それが今も励みになって感謝しているのに……」
互いに次の言葉に詰まってしまい、衿花があげる嗚咽だけになる。弦月はハッと気がついてポケットを弄った。
「ハンカチ……ハンカチ使って下さい……っ」
心遣いのお陰で衿花の涙の粒は一層増えた。
「ダメね、止まらなくなっちゃって」と泣き笑いをしながら、それでも後輩に素直な気持ちを伝えたいと、衿花は懸命に言葉を繋げる。
「今日ね、自分からクラスの人と全員話しかけようって思えたの。
そのきっかけをくれたのは貴方。だから本当に呉井君には感謝してるの」
衿花の顔は目元も鼻も赤くなってぐしゃぐしゃだったが、弦月が今まで見たことのないくらい美しい笑顔だった。これ程の感謝を貰った時に返す言葉はいらないのだと分かって、弦月は真っ直ぐ先輩を見つめながら頷いた。
こうして二人は別々の道へ進んだが、それは今生の別れではない。
電話番号やIDを交換して、また会いましょう、一緒にこの道を歩きましょうと約束をして、微笑み合いながらそれぞれの道を歩いて行ったのだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月09日
参加申し込みの期限
2017年03月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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