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桜の雨が降る前に
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いつ終わるのか分からない雰囲気だったホームルームにも、解散のチャイムが告げられた。
担任教師たちとの挨拶を終えた生徒たちがまばらに校庭に出始めて、寝子島中学校の時間はまた動いていく。
桜のクラスは生徒たちは、校庭でも教室での延長のように集まって会話を続けていたのだが、それも永遠には続かない。
「じゃあね」と、一人が輪から抜けていった折、感極まった別の生徒がわっと両手で顔を覆った。
誰かがその名前を呼んで、誰かがハンカチを差し出す場面を見ていた桜は、フォローすることも茶化すことも何も出来ずに佇む自分の頰に、伝うものに気づく。
(……泣くなんてみっともないと思ってたから、明るくしてたのに……!)
桜は手の甲で涙を拭うが、その分桜の友人が涙を零し、そして他の生徒たちも、雨が降り出した時のように次々と泣き出してしまう。
「もうっ、泣かないの!」
川村先生が涙声で言いながら最初に泣いた生徒を肩に抱き、もう片方の手で桜の頭を柔らかく撫でた。若い大人の女性の細い指は、桜にとって母親でもない、先輩でもない、特別な存在感があった。
「だって、せんせぇ……!」
「受験頑張ったねー、桜。本当に頑張った。卒業おめでとう!」
川村先生の温かさを貰った瞬間、桜は式を経ても浮遊していた卒業の文字を今度こそ受け止めて、爽やかな涙を校庭に落とした。
*
校庭に出た慶介は、校舎を見上げてぽつりと呟いた。
「卒業式……と、俺の中学生生活、終わっちゃったな……。なんだかお祭りの後みたいだ」
ふと視線を下ろしてみると、隣のクラスの女生徒たちが集まってわんわん泣いているのが見えた。
「あ、川村先生も泣いてる」
慶介は慌てて別の方を向いた。あれを見ていると、在校生の手前流すものかと堪えている涙を貰ってしまいそうだ。
(こういう時、思いっきり泣ける女の子たちが、ちょっとうらやましいな)
目を逸らした方向では別の騒ぎが見えた。在校生たちらしき黄色い声の理由が気になって様子を見ていると、慶介の友人が教えてくれた。
「ボタン貰ってるらしいよ、
日本橋 泉
の。第二ボタンは争奪戦だってさ」
イケメンは違うねえと友人は肩を竦めている。慶介が目を凝らすまでもなく、背の高い姿が複数の女生徒越しに見えた。
「あー日本橋くんって1組にいた凄い人かぁ」
慶介も噂に、すでにプロとして音楽活動をしている生徒が1組に居ると聞いたことがある。当の本人は女生徒たちに囲まれているにも関わらず、ただただその場を離れるタイミングを計っているいるようで、慶介と目があった。
「わ、こっちみた」
一瞬微笑まれた気がする。ただの挨拶なのだろうに勘違いしてしまいそうだ、イケメン怖い。女生徒たちが騒いでいるのも頷けた。
「学校にはあまり来てなかったみたいだけど……、ちょっと話してみたかったかも」
「んなことより慶介、人数集まったから。ファミレス行こうファミレス!」
「あ、うん」
慶介は仲間たちと連れ立って、打ち上げ先のファミリーレストランへ向かうべく歩き出した。
*
「ちょ、待って。予約してあるより人数増えた?」
「入れっかな。おい今なんにーん? 数えるからいっかい止まって!」
4組の打ち上げに向かうグループが立ち止まったその隣を、天懸は無言で通り過ぎていく。
その胸中には、孤独感の生む虚しさが去来していた。
(はー、これでこの学校ともおさらばって奴なのかー。
クラスでは担任にも嫌われてたっつーか、学校行ってるんだか行ってないんだか分かんなかった学生生活って奴だったよなー。
義務教育の間っていうのは保護者が見てなんぼだろうし)
結局この卒業式の日も含めて、天懸の母が寝子島を訪れることはなかった。親族たちと写真を撮影したり喋ったりしている生徒たちを見ていると、自分がこの世界から浮いた存在に感じられる。
(誰にも見られていない、いや見守られていない生活って、なんの価値があるんだろうなー)
言いようのないものが込み上げてきて、思わず立ち止まる。
たった一度振り返ると、パトリシアと目が合う。彼女は「ばいばーい」とフランクに手を振ってきた。その付近のゆりら数名のクラスメイトもまばらに挨拶してくる。
天懸は手を振り返すべきか迷い、自分の掌を見つめた。
そんな時に、校門の方へ複数のグループが移動してくる。騒がしい声と人混みに紛れて、互いの姿が見えなくなってしまった。
自分の存在価値について問う少年は、再び深いため息を吐くと、背中を丸めて中学校の校舎を去っていった。
*
「……あ」
天懸の姿を見つけたと思った
イリヤ・ジュラヴリョフ
は、人混みに阻まれて、上げていた片手を下ろした。
「誰か挨拶する人でもいたか?」
校門前で待ち合わせていた寝子島高校の生徒
市橋 誉
に声をかけられて、イリヤは「また今度にします」と曖昧に首を傾げた。
「良い式だったな」
「見てたんですか?」
「こっそり見学させてもらった」
「んんー、ちょっと恥ずかしいや。誉さんが居るって知ってたらもうちょっと格好つけたのにな」
「イリヤ先輩、緊張しました?」
「俺イーリャ先輩は泣くのかと思ってました!」
二年生の
高知 竹高
と、
幌平 馬桐
が、すぐに自分の番が回ってくる事を自覚して興味津々で聞いている。
誉はすでに帰宅したイリヤの家族たちと会って挨拶したことを話して、改まって彼を見た。
「卒業おめでとう」
「有難うございます」
はにかんだ笑みを見せたイリヤは、誉の視線に気づく。誉はイリヤの第二ボタンがない学生服を見ていた。
「いや、毟りとら……もとい、欲しがられたりしたのかなって」
「人気だったのは兄さんたちですよ。
僕はペットショップの成猫と同じ。成長したから、売れない。商品価値がない」
イリヤは自嘲しながら、制服の裾を引っ張った。
「この制服は兄さんたちのお下がりなんです。クラスメイトがね、僕が入ってくる前から予約してたそうですよ。
それにしてもなんで二番目のボタンなんでしょうね」
「俺も詳しくは知らないが、所謂、お約束的行事だからな……風物詩ともいうか。人気の先輩のボタンが争奪戦になるとかさ。
……あ、ほら。こんな感じに」
誉は二年生の
水海道 音春
に引っ張られてきた泉の学生服を指さした。金色のボタンが袖に至るまで一つも無くなっている。シャツのボタンも二つばかしないが、そんなものまでどうしたいのだろう。
誉はとりあえず、冷ややかな表情を隠せないでいるイリヤの頭を、「邪魔しなかったのは偉かった」とポンポン叩いておいた。
「例のマホラクMV効果かね。埒あかんから引き剥がしてきたわ。
滅多に顔見せないからこんなひでーことになんじゃん? 高校はまともに通えよな」
誉は愚痴りながらも先輩をフォローしてやった音春へ「お疲れ」と笑って、泉の方へ向き直る。誉はイリヤらと連絡していて式の後に出かける予定だったが、彼とだけはまだ話していなかった。
「これから飛行機で、休みの間ニューヨークに帰るんだよな。
打ち上げ、泉も少しくらいなら付き合えないかな?」
「うん夜の便だから余裕はある。どこで」
「ミルクホール……は、この時間って予約いっぱいなんだったか。近所のカフェかカラオケボックスか。
っとその前に」
誉はポケットからデジタルカメラを取り出した。
「校門前で卒業証書持って記念撮影しないか? ベタだけど、これも良い記念になる」
*
「呉井君、お待たせ」
クラスの輪から抜けてきた衿花が校門へ小走りで駆けてくるのを見ながら、
呉井 弦月
はふっと息を吐いた。
(一緒に帰れるのもこれで最後なのか)
胸の奥でそう実感しつつ、衿花に微笑んでみせる。少し前に衿花からこの校舎で会えなくなるだけだと聞いたばかりじゃないか。
気を取り直して、並んで歩き始めた。
二人の話題は勿論卒業式の事だった。
参加人数の割に暖房が効きすぎて暑かったなど他愛のない事から、式典での先生たちの様子。去年はどうだったなど細部まで話し、それが終わると衿花の進学先である寝子島高校についての話題になる。
「寝子高って制服二種類有りますよね」
「ええ、スカートがチェック柄と黒があったわ」
「先輩はどっちにしたんですか? あ、因みに僕の兄は——」
弦月は言いかけながら、そう言えば衿花の進学先に自分の兄も通っていたのだと漸く思い出した。自分が衿花と関わってきたように、兄も衿花と会って会話をしたり、同じ行事に参加したりするのだろうか。
そう考えると——兄への態度こそ緩和してきた今日この頃だが、未だ仲違い状態である事に変わりはない——複雑である。
「兄も寝子高なので、もしかしたら会うかもしれないですね」
「お兄さんってお話はきいてるけど……、会ったらわかるかしら。外見はどんな感じなの?」
「兄の外見は——」弦月は兄の姿を頭に思い浮かべる。事実を認めると微妙な気分だが、自分に似ているのだ。
「大きくなった僕を糸目にして、眼鏡をかけたら似ているかと」
「大きくなった呉井君? えっと、そうね。身長が伸びてて、骨格がはっきり分かる感じかしら。それで手足が少し大きくなっていて」
「そんな真面目に考えなくても! すぐ分かると思います」
ううーんと真面目に考え込む衿花を見て、弦月は笑い出してしまった。
衿花も頰を赤くしながら笑い出す。
春の暖かな太陽に見守られながら、二人は帰り道をゆっくり味わうように歩いていく。
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担当ゲームマスター
東安曇
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
NPC交流
定員
20人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月09日
参加申し込みの期限
2017年03月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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