うみねこで春の味覚を｜リアクション

うみねこで春の味覚を

●限定メニューの要望

　羽生碧南は練習帰りに『うみねこ』へ。
　ストレッチやランニングで身体をならしてからドリブル、パス、シュート等、ハードなメニューを。
　激しい練習でおもいっきり汗をかいたのでシャワー浴び、心身ともにさっぱりしたところで学校から直行。
　練習で疲れていたが「限定メニューを食べないと！」とダッシュ。
「ここが大衆食堂『うみねこ』じゃな」
　鬼河内巌は、究極のカレー作りの参考として『うみねこ』へ。
　巌が店の戸を開けるのと同時に、碧南が「こんばんわー！」と元気良く挨拶して店の中へ。
　さっそく席について、と思った２人だが客の多さに唖然。どの席も埋まっていた。

　席が空いたのは、着いてから１０分ほど経った頃。
「相席で良ければ、あっちのテーブルに座れるよ」
　魚戸ハルコにそう言われた２人は良いと即答。特に、碧南は強烈な空腹状態だったので待ちきれなかった。
　席に着くと、巌はうみねこシーフードカレーと俺のシーフードカレーを迷うことなく注文。
　碧南は、うみねこ春定食と桜海老かき揚げ丼の並を。
「カレー食わんのかい」
「後で食べようかな？」
　可愛らしい長身の少女の食欲に、すごいのぅと思う巌だったが言葉にせず。

「うみねこシーフードカレー、お待たせしました」
「俺のシーフードカレーお待ちどうなのだ」
　天満七星と李小麗が運んできてくれたカレーに目を輝かせる巌。
　合掌し、まずはうみねこシーフードカレーを一口。
「美味いが、辛みが足らんのぅ」
　辛いのが苦手、子供向けだからこんなもんか、と巌は納得する。
「春定食、お待ちどうさま」
「桜海老かき揚げ丼の並、お待たせしました」
　鳴鏡院総悟と綾辻綾花が運んできた注文の品に碧南が喜ぶ。
「俺の辛さは丁度ええ。量が多いのもええ。魚介類の量もええ！」
「美味しそうに食べるわね。私も食べたくなっちゃった」
　おお、食え！　と巌はカレーを薦める。
「いただきます」
　手を合わせると、まずはサワラの照り焼きを一口。
「この照り焼き、本当に最高！」
　その後は天ぷら、味噌汁、炊き込みご飯をしっかり噛んで味わい美味しそうに食べた。
　うみねこ春定食を食べ終えると、次は桜海老かき揚げ丼を。
　口の中に広がる美味しさを噛みしめ、これも美味しそうに食べる。
　定食とかき揚げ丼は、あっという間に平らげられた。
「俺のシーフードカレーお願いしまーす！」
　これも食べよう、と追加注文。

「ふぅ……食った食った。美味かったのぅ」
　手を合わせ、作ってくれたケンゾウに感謝。
　美味しいカレーを食べることができた満足だったが、気になることが。
「３月の限定メニューあるじゃろ？　旬の食材を使った季節限定カレーは無いんかのぅ？」
　勘定の際、ダメ元でハルコに聞いてみた。
「限定カレーは無いのかって？　そういうのは父ちゃんに聞いとくれ」
　厨房で洗い物をしている新田亮に、ハルコは限定カレー作れるか聞いてほしいと頼む。
　調理の手を休め、カウンター越しに「どういうカレーが食いたいんだ？」とケンゾウが聞き返す。
「桜海老かき揚げカレー食ってみたいのぅ」
「それなら、一口かき揚げを買ってカレーに乗せて食え」
　その手があったか！　と驚く。
「限定メニューの海鮮鍋をカレー味にしてもらえないかのぅ？」
「カレー鍋、美味しいわよね。シメのうどんにも合いそう」
　カレーうどんやカレーライスがあるんだから、カレー鍋があってもいいか、とケンゾウは一瞬考える。
「カレー鍋は考えさせてくれ。実際に食ってみないと」
　魚戸夫妻、カレー鍋というものを食べたことがない。
　なので、実際に食べてみてメニュー化するかどうか決めることに。

　勘定を済ませた巌は、次に来た時は俺のシーフードカレーと一口桜海老かき揚げを頼み、春の旬カレーを堪能しようと決めたのだった。

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