うみねこで春の味覚を｜リアクション

うみねこで春の味覚を

●ホッと一息

　お腹いっぱいになったので、４人は少し休んでから店を出ることに。
　シメの雑炊や鍋を水守流と本居陽毬、恵御納夏朝とシェアしたことを、八神修はあの時みたいだったなと微笑む。
（あおいとメニューシェアしたり、お弁当のことを話したのは楽しかったな）
　そのことを思い出し、鍋シェアを提案したのだった。
「この店のかき揚、美味しいよ」
　以前食べて凄く美味しかったので、皆にも薦める。
「新鮮な魚介がサクサクの衣にふんわりと包まれ、噛むと口の中で……」
　飯テロ説明で、話を聞いていた３人の食欲を直撃してしまったようだ。
　満腹感はどこへやら、食べてみたい！　と陽毬は注文しようとしたが、財布の中身が気になり躊躇する。
「そういえば……限定メニューに、桜海老の一口かき揚げがあるよ……。お持ち帰りもできるよ……」
　夏朝の提案に、流と陽毬は帰ってから食べようと買っていくことにした。
「俺も買って帰るよ」
　お土産に丁度良いと思いながら、修は綾辻綾花がいるレジへ。

「これ、卒業生を送る会でケンゾウさんが差し入れてくれましたね」
　七夜あおいと一緒に食べたことを思い出しながら、綾花が言う。
　会計は海鮮鍋２つ分、ご飯、生卵、桜海老の一口かき揚げお持ち帰り用４つ。
　相談して割り勘で支払うことに。
「鍋とかき揚げの代金は俺が払うから、本居はご飯と生卵の代金払ってくれ」
「かき揚げ、奢ってくれるの？」
　誘いに応じてくれた礼だ、と代金を支払う流。
「ありがとう、水守君。鍋、とても美味しかったわ」
　八神君がお鍋を一緒に食べてくれたから、多めに払おうかな……？　と夏朝が考えていたら、修が既に会計を済ませていた。
「いいの……？」
「美味しい鍋を教えてくれたお礼だよ」

　客がいなくなると、魚戸夫妻のアルバイト、助っ人達の遅い昼食タイム。
「ふおー、疲れたのだー」
　空腹状態で手伝った李小麗のお腹がグーっと鳴った。
「あうー……うみねこ春定食、食べたいのだ……」
　ぐったりしている小麗に、ケンゾウがうみねこ春定食を持ってきた。
「ご苦労さん。冷めないうちに食え」
「ありがとうなのだ！」
　目の前にあるのは、山菜炊き込みご飯にふきのとうの天ぷら。カブの味噌汁にサワラの照り焼き。
「いただきますなのだ」
　手を合わせてから、ふきのとうの天ぷらを塩につけて堪能。その後は天つゆに浸して。
「もぐもぐ……あー美味しいのだ！」
　炊き込みご飯、味噌汁、サワラの照り焼きも良く味わって食べる。
「ごちそうさまでしたなのだ！」
　労働の後の定食は、とても美味しかった。
　
　魚戸夫妻と綾花、鳴鏡院総悟、新田亮はハルコが作った賄いを。
「ありあわせで悪いけど食べとくれ」
　魚のアラの煮付けと味噌汁。野菜の皮のかき揚げをテーブルに並べながら苦笑するハルコ。
　忙しい合間に、皆のために作ったものだ。
「これ、ありあわせの食材で作ったんですか？」
　憧れの視線で昼食を見る綾花は、レパートリー少ないからと参考にすることに。
　昼食を摂りながら、綾花はハルコに多くの注文を聞けるコツを教えてもらう。
「夕方も忙しくなりそうですわね。皆様、頑張りましょう」
　お茶を一口飲み終えた天満七星の言葉に「もちろん！」と答える助っ人達。

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