春休ワンデイズ｜リアクション

春休ワンデイズ

春の日差しと温もりに包まれて

■鴻上彰尋のうたたね春休み
　休日はどんな風に過ごしますか？
　学生ならアルバイトでしょうか。友達とカラオケに行ったり自転車で遠くまで繰り出したり、図書館でお勉強なんて人もいるかもしれません。
　そんな中で彰尋は、眠って過ごすことを選びました。
　なぜそんな一日を選んだのでしょうか？
　理由を知るには、ある昼のできごとまで遡らねばなりません。

　デパート勤務の母を持つ彰尋にとって、家事は子供たちで分担するものでした。
　もちろん、社会の仕組み同様に家事を十全に回すことの大変さまでは知らぬ１６歳の身ですので、それほど重く考えてのことではないのかもしれませんが、さておき。
「洗濯ひよりだなぁ」
　換気のために窓を開けてみれば、ぽかぽかした陽気とおだやかな風がありました。
　こういう日は、日頃の洗濯に加えて布団干しもやっておきたいものですね。
　日に当てたお布団の気持ちよさは、誰もが知る幸せの象徴でございます。
　彰尋は早速、布団を干すためにシーツや掛け布団を手に取りました。

　洗濯の様子をお話すべきでしょうか？
　そうですね。一旦時間を飛ばしておきましょう。
　彰尋は早い内から洗濯機を回して置いて、昼間のうちに日に当てておりました。
　花粉症のひどいご家庭なんかだとあえて部屋干しを選ぶものですが、彰尋の家族はどうやら健康体のようで、外から取り込んだ洗濯物をとりこみました。
　畳んで床に積んで、それぞれしまう。
　日常的な行動ではありますが、今日はいつもと少しだけ違いました。
　普段はそこにはない、日に当てたばかりの布団があったのです。

　日に当てた布団に寝転がるというのは、なるほど心地の良いものです。
　彰尋も例外なくその心地よさを知っていますので、ついつい畳んだタオルを抱えたまま布団にころんと寝転がってしまいました。
　なんといいましょうか。折りたたんだせいかやたらにふかふかで、日に当てたからかほんわりと暖かく、そして不思議といいにおいがしました。
　少しくらいはいいだろうか。
　そんなことを考えて、彰尋はうっとりと目を瞑りました。
　それが、休日を寝て過ごすことに決めた理由でした。

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