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【ホワイトデー】学生達のWhite Day!
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人気のない北校舎の屋上に続く階段の踊り場で、
高峰 一馬
は
大塚 絽紗
が来るのを待っていた。
落ち、着かない。人を待つというのはこんなに落ち着かないものだっただろうか?
一馬は自問してみるが、そんな答えなんかとっくに分かっていた。
ほんわりした雰囲気なのに、ちょこちょこと危なっかしい彼女。ついつい心配で目の端に入れてたのが、焦がれるようにその姿を探すようになったのはいつからか。
身体を鍛える事は得意だが、恋愛には不慣れな一馬は、少しずつ、少しずつ、戸惑いながらも己の気持ちを理解していった。
―――これは、もう恐らく、間違いなく。
一馬は自分の鞄に目を落とした。そこには、絽紗に渡す物が入っている。そのために今日彼女を呼び出したのだ。
そこに入っているのは一馬の太い指を不器用に動かし何とか作ったお菓子。苦労した。苦労しまくった。筋トレの方が100倍楽だと思ったくらいだ。
それでも何とか作りあげて、自分で包装して。
(大塚は、俺へのチョコをどういう気持ちで作ってくれたのかな……)
ふと一馬は先月の事を思い出す。
バレンタイン
のすぐ後に貰った手作りのチョコ。「ほんとはあの日に渡すはずだったんです……!」なんて慌ててたけど。そんなのは俺はどっちでも良かった。大塚が、俺に渡そうと思ってくれたのだから。
口どけのふんわりした優しいチョコ。大塚の雰囲気にピッタリだった。
彼女はどんな気持ちであのチョコを作ってくれたのだろう。もし、俺がこの菓子を作ったのと同じ気持ちだったら。
(そしたら、俺は)
知らず、手に力が入る。それに気付いた一馬は苦笑しながら力を抜いた。
いや、やめよう。彼女の気持ちがどうであれ、俺はもう決めたんだ。この菓子を渡して、そして。
その時、タンタンと階段を上る音がして、一馬はハッと顔を上げた。
「……高峰君?」
一馬に向かい、絽紗がほわりと微笑んだ。
「その……」
階段の踊り場で、2人は向かい合っていた。
渡す側も渡される側も、ちょっとピンと張り詰めた緊張感。お互いの言えない想い、隠せない想いが交錯する。そんな雰囲気に慣れてるはずもない一馬。もどかしさに我慢出来なくなったのであろう、ガーッと自分の頭を掻くと、鞄に手を突っ込んだ。
「今日はホワイトデーだろ? ……バレンタインの時にはチョコもらっちまっただろ。で……お返し、ってやつだ。受け取ってくれっと嬉しいんだが……」
絽紗に差し出したのは、シンプルな包み。丁寧に包装されているが、ちょっとよれていたりする辺り、一馬の苦闘の跡が伺える。絽紗の綺麗な青色の瞳が大きくなった。
「お返し、本当にいいんですか!? あ、ありがとうございます……っ」
絽紗は両手で大事に包みを受け取る。その様子にほっとしながら一馬は言った。
「あー、バレンタインで大塚からもらって、手作りってのはいいなぁって思ってさ。俺も挑戦してみたんだ」
どうにも気恥ずかしくて一馬はそっぽを向きながら頬をかく。その言葉に絽紗がパッと顔を上げた。
「手作りなんですか?! ……ここで開けてもいいですよ、ね?」
ちょっと上目遣いに可愛らしく訊いてくる絽紗。きらきらした瞳。上気した頬。その幸せそうな笑顔に、一馬は頬を赤くしながら無言でコクコクと頷く。絽紗は嬉しそうに包みを開いた。
そこに入っていたのは、マシュマロ。ちょっと不揃いだけどふわっとして美味しそうな、
中にチョコが入ったマシュマロ
だった。
「……
後輩
に
いろいろ教えてもらって
さ。練習も味見もしてっから、まぁ、悪いもんじゃねえとは思うけど……やっぱり大塚みたいにはいかなかったなぁ」
改めて自分の作った物を見てみると、アラが目立つ。絽紗から貰ったあの綺麗なチョコには遠く及ばないなと、一馬は申し訳なさそうに笑った。
けれども絽紗は一馬のマシュマロを見つめながら、何度も首を振った。
「ううん、練習までされてるなんてすごい……っ。手作り、大変だったんじゃないですか? とってもおいしそうですよ。待ちきれないから1つだけいただいちゃいますね」
そう言うと絽紗はマシュマロを1つ摘み、可愛らしく口に放り込む。その瞳が嬉しそうに細くなった。
「悪いどころか、実においしいですよこれ♪ すごいです。私なんかあの日に大失態でしたし……」
「いや! あん時は楽しかった! 蚕の話も聞けたし」
「いえ、ですからあれは間違いだったんです~っ」
バレンタインを笑いながら思い返す一馬と、ひええと必死に訂正する絽紗。2人はじゃれあう様に話していたが、ふと一馬の目が真剣なものになった。
「………ちょっと、大塚に言いたいことがあってさ」
絽紗は少し驚きの色を浮かべたが、呼び出された時点で何か思う所があったのだろう、すぐに表情を改め、一馬を真っ直ぐに見て言った。
「ええ。聞かせて、いただきます」
「あ……」
一馬は、言おうと思ったのだ。言えば、この何だか慌ただしくてふわふわして胸が痛くなる気持ちはスッキリするのだろう。これが、男らしいという事なのだろう。
(―――そうか?)
一馬は己に問い掛ける。俺の夢は、自衛官だ。もし、一旦有事が起これば彼女の傍にはいられない。そういう職業だ。しかも、俺はまだその夢すら叶えていない。ちゃんと彼女を守れる立場でもないのに、俺の気持ちだけで彼女を繋ぎ止めてしまっていいのだろうか。
彼女への焦がれる気持ちと夢への熱い気持ちがぐるぐると渦を巻いて沸騰する。
一馬は叫び出したくなる想いをグッと抑えつけながら口を開いた
「んん……でも今は、ちょっと言えねえ。……それは本当に、俺自身が未熟なせいで……」
一馬は、指先が白くなるくらいに拳を握る。そして、強い瞳で絽紗を見た。
「でも、いつか、ちゃんと伝えたいって思ってるから……それまで、出来ればなんだけど、待ってて欲しい」
結局曖昧なことしか言えない宙ぶらりんな俺。本当にごめん。君への想いと俺自身のけじめのギリギリのところなんだ。
力が、欲しい。どんな立場でも、彼女を守れるくらい。自分の未熟さがこんなに歯痒く思った事はない。
俯いて押し黙ってしまった一馬。絽紗の返事はない。
(やっぱ、あきれちまったか……)
そりゃ、そうだよなと内心で肩を落とした時、絽紗の凜とした声がした。
「……待っていますよ。幾らでも」
一馬が驚いて顔を上げる。絽紗が、静かに微笑んでいた。
「どうして驚くんですか? 高峰君が言ったんでしょう、待ってろって」
「い、いや、そうなんだが……」
呆然とする一馬に、絽紗はふふと微笑むと自分の髪につけているピンをそっと触った。
「そうだ、このヘアピンの花。ペネロペっていうんですよ」
「……すまん、俺は花はよく分からないんだ」
一馬は戸惑いながらも、眉を寄せヘアピンを見る。そこには白に近い淡いピンクの花が可憐に象られていた。
絽紗は小さく小さく首を振り、話始めた。
「……この花は、大昔のギリシャにいたペネロペという女性にちなんでいるんです……」
ペネロペの夫は遠い国に戦争に行ってしまい、15年も帰って来なかった。
途中で夫が死んだという噂もあり、その不幸を聞きペネロペに求婚してくる男性が後を絶たなかった。
求婚者達に、ペネロペは『いま織っている着物が完成したら再婚する』と告げ、昼には着物を織り、夜にはそれを解く事で再婚を拒み続けた。
「……それだけ、ペネロペは夫の帰りを信じていたんです」
絽紗は遥か遥か昔のお話を語り終え、言った。
「現実はおとぎ話じゃないですけど……でも、だからこそ」
絽紗は顔を上げ、しっかりと一馬を見る。そして穏やかだが力強く、美しく微笑んだ。
「待ってます……私もこの花と一緒に、待っています」
絽紗は、ペネロペの気持ちが分かる気がした。
疑いようもないのだ。迷いようもないのだ。だって、この人しかいないのだから。
あなたの力強い声を思えば、優しい瞳を思えば、いくらでも待てる。
ペネロペは、夜織物をほどくのが楽しみでしょうがなかったに違いない。
どんなに時が経とうとも、糸をほどく間は、彼女は愛しい人で胸をいっぱいにする事ができたのだから。
一馬は、絽紗の微笑みに心を奪われた。それはきっと、ペネロペの微笑み。一途に愛を持って待ち続けた彼女の微笑みではないだろうか。
無性に抱きしめたくなる感情を一馬は歯を食いしばって堪えた。それでも、溢れ出る想いを抑える事が出来ず、一馬は絽紗に近付くと、そっと彼女の艶やかな髪とペネロペの髪留めに触れた。
「……ありがとう」
(多分……いや、必ず。迎えに行ける俺になる)
万感の思いを込めて絽紗に言う。絽紗が花の様に微笑んだ。
(……って、俺、ガラにもない事してねえか?!)
人気のない踊り場。近い距離。見つめ合う2人。絶好のシチュエーションで一馬はハタと我に返った。……いかん、このままだと恋愛初心者の俺は何をしでかすか分からない!
一馬はパッと絽紗から手を離すと、場の雰囲気を変えるように少し大きな声で言った。
「んー、でもやっぱ、拙い手作りじゃなんか申し訳ねえな!」
「え? 全然そんな事ないですよ?」
ぱちくりと絽紗が瞬きする。一馬がいやいやと首を掻いた。
「……今日部活の後、一緒に帰らないか? 帰り道に何か奢りたいんだが」
「おごり、ですか……? いえいえ、いいですよ、そんな」
少し驚きながら絽紗が言う。そしてふと手にしている一馬のマシュマロに視線を落とすと、ニコリと微笑んだ。
「では、一緒にマシュマロ食べて帰りましょ? はい。あーん♪」
絽紗はマシュマロを1つ摘むと、可愛らしく言いながら一馬の口元に差し出した。
「……えっ!? あっ、いや、そりゃあ……」
絽紗の白い手を前に、ぼぼぼっと耳まで真っ赤になる一馬。それでも、
(ええい! 俺も男だ!)
とギュッと目をつぶると、パクン! と絽紗の手からマシュマロを食べた。けれど、絽紗の指先に唇が触れた気がして、もう味なんか分からない。
「ね? 美味しいでしょう?」
悪戯っぽく訊く絽紗に、赤くなったままコクコクと頷くしかない一馬だった。
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日常
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1000人
参加キャラクター数
44人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月05日
参加申し込みの期限
2017年03月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月12日 11時00分
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