【ホワイトデー】学生達のWhite Day!｜リアクション

【ホワイトデー】学生達のWhite Day!

　放課後の活動に向けパラパラと自由に動き始めた生徒達の間を縫って、八神修は七夜あおいに声をかけた。
「なあに、修君？」
　振り向いたあおいに、修はそっと包みを差し出した。
「バレンタインにチョコ貰っただろう？　感謝を込めて、プレゼント」
「え？！　でも私くま太郎もらったよ」
「まあ、開けてみてくれ」
　修にうながされ、あおいは包みを開けてみる。その目がびっくりしたように大きくなった。
「わ、くまさんだ！」
「そうなんだ、バレンタインのクマとペアになってるんだよ」
「くま太郎に友達！　……あれ、この子クッキー持ってるね」
「これは俺が作ったんだ。頑張ったつもりだけど、一寸不揃いかも」
　頭を掻きながら言う修に、あおいは貰ったクマをそっと抱きしめ言った。
「ううん、嬉しいよ。ありがとう、修君！」
　そしてあおいはふと気付くと、クマをちょこんと机に置き、自分の鞄をごそごそし始めた。
「あのね……私もお返し持ってきたの。はい、クッキー」
「え？！？」
　驚く修に、あおいは手渡しながら覗き込むように説明をした。
「これね、ののちゃんと作ったの。寮母さんに頼み込んでちょっとだけ食堂の調理場借りて。猫さんのクッキーなんだよ」
「凄いな！　チョコクッキーを作ったのか」
　感激しながら言う修に、あおいは笑顔で首を振った。
「ううん、普通のプレーンクッキーだよ」
　え。
　修は思わず手元の可愛らしい袋から覗いている猫の顔を見た。それはどう見ても焦げ茶色で。
　しかしそこで全く動揺を見せなかったのは、さ・す・が・だ！　修。
「ありがとう、あおい」
　修は心を込めて礼を言う。あおいがニコリと笑った。
「ううん、こちらこそありがとう、修君！」
　あおいのクッキーを手に、あおいの笑顔を胸に。修にとって最高のホワイトデーとなったのだった。