【ホワイトデー】学生達のWhite Day!｜リアクション

【ホワイトデー】学生達のWhite Day!

　本日１年５組は、家庭科の調理実習だった。
　ホワイトデーなグループ制作。あちらこちらで４、５人のグループを作り、ホワイトデーという事でそれぞれが決めたお菓子を作るのだ。
（自主性を重んじてて良いな）
　そう思いながら八神修が視線を移すと、向こうのグループでは野々ののこがあっちゃこっちゃと張り切りまくり、同じグループなのだろう、クラスメイトの佐藤英二がわたわたとフォローをしている。その楽しそうな様子に修はふふと微笑んだ。
「修君、マシュマロこれくらいでいいなかぁ？」
　横から可愛らしい声がして、修は振り向いた。修と同じグループになった七夜あおいが耐熱容器に山盛りマシュマロを入れていた。修はほんの少しだけ眉を上げたが、すぐにその目を細めて言った。
「そうだな、ちょっと多いかもしれない。半分……いや、１／４くらいでやってみたらどうだろう」
「そっか～、いっぺんに済むと思ったんだけど」
　あおいは寄り目でマシュマロの山を睨みながらも、修のアドバイス通り量を減らし始める。その姿を眺めながら、修はしみじみと思っていた。
（あおいと一緒のグループになれて、ラッキーだったな）
　……超個性的な料理の腕を持つあおいとは、実はノー倍率でグループになれた事を修は知らない。人数合わせでこのグループになった残りの生徒達は、皆修に期待を寄せていた。
（頼む、食べても倒れない物を七夜さんに作らせてくれ……！）

　そんなメンバーの期待を（本人は自覚がないが）一身に背負いながら、修は和やかにあおいと実習を進めていった。
　彼らが作っているのは、以前修があおいに話したスイーツだ。ちょうどひなまつりの時だったので、ひなあられを使ってレンジで出来る簡単なお菓子を修が教えてやったのだ。この簡単なレシピなら、あおいも破壊力満載な物は作れないだろうと、グループのメンバー達も大賛成だった。
　工程は簡単。でもとっても楽しいお菓子作り。あおいは張り切って作業を進める。
「よーし、レンジでチンだね！」
「あ、あおい、加熱は１時間もいらないぞ」
「ひなあられと好きな具をたくさん入れて混ぜるんだよね」
「全部いっぺんに入れなくてもいいんじゃないか？」
「フォーク２本ですくって丸める！」
「スプーンだ、あおい」
「キッチンペーパーにのせて冷めたら完成！」
「べったりくっついてしまうから、クッキングシートの方がいいかな」
　あおいの暴走を修が見事な手腕で止めていく。その神々しい姿をメンバーは拝みながら見つめていた。

　メンバー達には超絶感謝されていた修だったが、本人はこれ以上ないくらい楽しい時間を過ごしていた。

　あおいは何入れたい？　俺はチョコチップかなあ。
　レンチンだから寮でも作れるね。
　具も色々入れたくなるな、ふふ。
　手で丸めても良いらしいよ。ぬるま湯で手を濡らして取って……こう……。

　ワイワイ楽しく。味見なんかも一緒にしたりして。
　出来たお菓子はコロンと丸い雷おこしのよう。とてもカラフルで可愛らしかった。
　メンバー達もあおいがいるのに美味しそうなお菓子が出来たと、ほっと胸を撫で下ろす。みんなで美味しく味わった後、残りはそれぞれ包んで持って帰る事にした。