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弁当は多めに作った。水筒にお茶を詰め、紙コップも持参した。
そうして独りぶらぶらと、
市橋 誉
は落神神社の階段をゆく。春の休日にふさわしく、風は暖かく天気は上々、山道は花の香りに満ちていた。
桜……は少し早い。
けれど梅の白い花は見ごろであり、目を落とせば福寿草、たんぽぽが黄色い笑顔をむけてくれる。
誉はリュックを背負っている。他の荷物はスケッチブックとペンだ。
誉は思う。去年の今ごろは高校進学を控え、ひとり暮らしの準備に追われていたと。
あの当時抱いていた期待と不安、いずれが的中しいずれが外れただろうか。
不安についてはその多くが外れ、期待についてはその多くが期待通りか、それ以上の結果をもたらしたような気がする。なかでも喜びの最たるものは、寝子島の生活がもたらしてくれた新しい友人たちだ。
それだけではない。一年前には想像もつかなかったような、思いがけない出会いもあった。
石段を昇りきった先は落神神社だ。鳥居をくぐる。
無人の境内で誉は彼女の姿を探す。いるような気がしていたのだ。
けれども辺りは寂として物音一つ聞こえない。
致し方ないところだ。何の約束もしていなかったし、そもそも誉は彼女と連絡を取る方法を知らない。ここにいそうだという勘で来たに過ぎないのだから。
――それならそれで、だ。
誉は荷を下ろしベンチに腰掛けると、スケッチブックにペンで鍵盤を描いたのである。慣れたもので、あっという間にできあがる。
軽く息を吸うと、誉はスケッチブック上の『鍵盤』に指を置いた。
ぽん、とドの音がする。
隣はレの音だ。
ちゃんと黒鍵も音が立つ。調律師が手を入れたばかりのように澄んだ音色が。
誉は膝に置いたスケッチブックを奏ではじめた。もうこれは七色の音を紡ぐピアノだ。強弱だって付けられる。もちろんジャズも演奏できる。
少し冷えた指を温めるため、最初はミドルテンポ・アップテンポの曲をゆっくりと弾いた。ウォーミングアップが終わったら本番だ。
冬、謎の格闘大会で奏でた即興曲、ちょっと懐かしいソロ充の歌をひとしきり弾く。続いては咲き始めた春の花、それに囲まれた彼女の姿を想像しながら、春の曲を思うさま奏で……。
「おい」
一息ついたところで誉は声をかけられていた。
隣を見るといつの間にか、同じベンチに詠寛美の姿があった。
「詠……か?」
もちろん彼女だとわかったのだが、それでも誉は問わずにはおれない。
「そーだよ」
悪ぃか、とでも言うように、寛美は脚を組んだ。腕組みまでしている。
彼女は鮮やかな青いデニムシャツを着て、レース飾りの白いスカートを履いているのだった。サンダルはヒールのあるもので、ややあみだに被った麦わら帽も涼やかだ。活動的であり、お嬢さん風でもある。
「見違えたな。よく似合うよ……本当に」
ありがとうとも何もいわずに、寛美は片眉を上げた。
「この服な。上から下まで」
「ああ」
彼女は横を向いて言う。
「男に買ってもらった」
「そう……」
誉はそれ以上、どう返せばいいのかわからない。
寛美なら……そういう相手がいてもおかしくないとは思う。先日、お気に入りのジャズ喫茶に連れていったときも、彼女は気になることを口にしていた。
誉の心に生じたさざ波を知ってか知らずか、寛美は言う。
「バーカ、そんなんじゃねーよ。喧嘩友達みてぇなやつだ」
彼女は横を向いたままだった。誉と反対側を。
「そいつに言われたぜ。『その格好、見せたいやつがいるだろ』とかなんとか」
それで、と先をうながす誉に応じて、あいかわらず伝法な口調で、けれどもどこか、気恥ずかしげに寛美は告げたのである。
「……市橋に見せたい、って思った」
誉の口元は綻んだ。
「嬉しいよ。もう一度言うけど、とてもよく似合ってる」
寛美は誉と反対側に顔を向けたまましばらく黙っていたが、やがて、
「……ん」
合点したようにうなずいて、ひょいとベンチから立ったのである。伸びをした寛美は、ひなたぼっこを終えたばかりの猫のように晴れ晴れとしていた。
「これで今日の目標は達成だ! 制服んときも思うがやっぱスカートってのは動きにくくていけねぇ。帰って着替えるとするぜ。じゃあな」
と今にも階段を駆け下りそうな勢いなので、
「待って!」
誉も立ち上がっていた。持参のリュックを示し、
「今日は俺、花見に来てるんだ」
「花? 見たじゃん」
ああ見たよ、寛美、君という美しい花をね――などという台詞がてらいもなく口から出てくるような誉ではない。だからちがうと手を振って、
「花見ってのは弁当がつきものだろ? 俺も用意している。でも作りすぎてしまって……なんなら付き合わないか?」
「そうか?」
というそばからもう寛美は目が笑っている。
「余らせてももったいないからなあ。減らすの付き合ってやるよ」
憎まれ口を叩いてはいるものの、寛美は誉がレジャーシートを広げるのを手伝うのだった。
誉が開けた重箱を見て、寛美はあっけにとられたような声を出した。
「お前コレ本当に一人分か」
その反応も無理からぬところだ。あまりにも豪勢で多様なラインナップだったから。
メインは山菜がたっぷり入ったいなりずし。わらびやゼンマイの若草色が、酢飯の白、人参の赤、油揚げの薄茶色とやさしいコントラストを成している。桜漬け入り卵焼きはふわふわとやわらかそうで目にも優しい。
さらに焼きトマトと豚肉、チーズのピンチョス、マヨナゲットが主演級の共演者として彩りを添え、切り干し大根の煮物が重箱の和風テイストをしっかりと締めている。さらには三色団子が、目にも楽しいスイーツとして控えているのだった。
「花を見ながら食べる弁当は美味いから、気合が入ったんだ」
誉は、これが言い訳にしか聞こえないことを自覚している。
けれども、
「もう食べていいよな?」
割り箸を持つ寛美は、まるでそんなこと意識していないようだ。
せっかくのレーススカートだというのに、寛美はあぐらをかいている。(丈が長いので見た目的にはなんとかセーフ)
そんな彼女を見ながらつい、
「……綺麗だな」
と誉は呟いていた。
今はこれが、彼の精一杯だ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月27日
参加申し込みの期限
2017年03月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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