this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
星の降る夜<ディナータイム>
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
7
つぎへ >>
午後10時。一台の黒塗りの車が、寝子ヶ浜海浜公園を取り巻く落ち着いた雰囲気を壊すことなく、その入り口へと停車した。
私用の車から降りてきたのは
八神 修
と
椿 美咲紀
、そして
常闇 月
の三人。
それぞれが日常では見受けられないフォーマルな衣装に身を包んだ様子は、その光景を見た人間に少なからず驚きを与えた。
三人は、今日開かれていたクラシックコンサートの帰り道。
本土に拠点のある有名な交響楽団が、寝子島で演奏会を開くという稀な機会のチケットを入手したのだが、受け取った修が、それに一人で向かうには若干寂しいと、身近な存在に声をかけた。
レストランにドレスコードはないが、格式あるクラシックコンサートでは、客も会場の一部である。星ヶ丘の住民にチケットが回る客層の公演であると分かれば、必然的に服装の選択肢も各々日常とは離れたフォーマルなものが選択された。
レストランの存在は、三人の元へ届いた白封筒について話している内に興味が湧き、コンサートの帰りにそこで夕食を──と今に至る。
「三月の夜だが寒くないか?」
レストランへと足を向けながら、修が女性二人に声をかける。
「問題ないのです。カクテルドレスを着て気温に負けるような女の子は、覚悟が足りていないのです」
「……私も、別に問題ありません」
修は、僅かな冷たさを伴う風を感じ、二人から『寒くない』という言葉が出ている訳ではないことを理解して。
レストラン席から一番星が美しく見えそうな場所を把握し、女性二人をエスコートすると、修はさっそく温かな紅茶を三つ頼んだ。
「……これは、温かくて良いですね」
「シュー君、ありがとうですよ」
届けられた紅茶の温かさに、美咲紀と月は改めてその気遣いを感じながら、受けた言葉に謙遜する修と共に紅茶をゆっくり口に含む。
一息つけば、皆が学校などではあまり見る機会のない服装であることが珍しく。修は、新鮮さからその感想を素直に述べた。
「皆、日常では見ない姿で目新しいな」
「……椿さんは、とても似合っていると思います」
月が実際に感じる事実と共に『己には決して手に入らないもの』という、ほんの僅かな憧れを残して美咲紀の姿を目に留めた。
美咲紀の姿は、膝が隠れる程度のスカート丈を持った、パステルオレンジのカクテルドレス。
ふわりとした柔らかめなシルエットのアクセントに、24金のチェーンで、美咲紀の好みでもある仄かなピンクパールをトップにしたネックレスを身につけている。派手すぎない洗練さが、コーディネートを選んだ美咲紀のセンスを伺わせた。
その様子を見ながら、修が告げる。
「美咲紀は春めいてて軽やかだな。花のようだ」
「春だし新しいドレス仕立てて来たのですよ。とってもお嬢様な雰囲気になっちゃいました」
その言葉に、小さく微笑みながら美咲紀が返す。
「でも、月ちゃんもとても素敵だと思うのですよ」
同時に美咲紀から見た月の姿は、同じフォーマルの中でも対極にあるようだった。
月の姿は、手首が丁度きわで隠れるほどの、袖口にゆったりと布を取り、広がりを見せるブラウス。正面には無粋なボタンを隠すように、可愛らしさよりの優雅さを感じさせる、ブラウス生地と同じ物が使用された大人びたフリルがあつらえられていた。
それに合わせ、首には白の色目を締めるように黒のスカーフがネクタイ調に巻かれ、下には同色のスラックスとシンプルなパンプスで整えられた姿は、まるで男装の麗人を思わせた。
「常闇も大人っぽいね。その服初めて見たよ」
「……そう、でしょうか。
似合って、いれば良いのですが」
「ああ、似合ってる」
笑顔で断言する修に、月が自分の服装をまじまじと見やる。
そして、二人の様子を満足げに目にしていた修へ美咲紀が嬉しそうに声をかけた。
「シュー君、両手に花ですね」
着ている服装以上に、花が綻ぶように美咲紀が微笑む。
「ああ、まったくだ」
修は、それに躊躇うことなく即答した。それは偽ることない事実であったから。
「シュー君のスーツも素敵なのです」
美咲紀が一つ頷いて、修の服をじっと見つめる。
修の今日の装いは、胸前できっちりと締められた純白のスーツ。薄い青灰色のワイシャツが、ジャケットと同じく白の一色のネクタイを一際にバランス良く引き立たせている。
「制服とはやっぱり違うのです。
デザイン的な部分もありますですね。ぐっと大人びた印象になりますですよ」
「確かに。いつもより年齢より落ち着いた印象になるな」
確認するようにスーツ姿の修を見る美咲紀に、修も軽く頷いた。
「その姿ならワイングラスが似合っちゃいますね」
「実践には、後四年は待たないとな」
そのような軽い冗談を交わしつつ、三人はそれぞれの前に置かれた、ランプに照らされたメニューを手に取った。
「二人は何か頼みたいものはあるか?」
メニューは多く、写真こそあるものの、後半には一部日本語で読み仮名が振られるような外国の郷土料理まで存在している。
「では……この生ハムと温野菜のサラダの盛り合わせと、ポタージュスープを頼んでみましょう。
デザートには果物の盛り合わせをお願いします」
月は、それらの本来の味を全く知らない料理にチャレンジするのもどうかと思い、メニューの前半部分に並ぶ王道なものから選択する。
それでもチェーン店のレストランよりも遙かに大人びて繊細な写真に、僅かに届く料理が楽しみになった。
「それでは俺は……ウィーン料理を」
「ウィーン料理、ですか」
日常ではあまり耳に馴染む事のない『ウィーン料理』という修の発言に、月が不思議そうに首を傾げる。
「本当です、メニューにあるのです。
なるほど、本日演奏された作曲者のマーラーに因んだのですね。
ここにも細かく説明が書いてあるです。このお店も色々と研究していてとても好感が持てます」
傍らでは、修の意図を即理解して汲んだ美咲紀が、彼と同じページを開く。
「ウィーン料理とはどのようなものなのでしょう?」
不思議そうにほんの僅か小首を傾げて尋ねる月に、美咲紀は応えるように小さく頷く。
「ウィーン料理は、一大帝国を築いたオーストリアの各州にある食事文化が、首都のウィーンに集まって更にその様式に合うように磨かれて変化していった味なのです。
なので、その数も多彩で──決めました。これにしましょうなのです」
そして、修と美咲紀がほぼ同時に料理を決めて、ウェイターを呼ぶ。
「ブルートヴルストスッペ」
「シュタイリッシェス・ヴルツェルフライシュ」
自分の注文の後に続いた言葉に、月は馴染みどころではない言葉に、極めて珍しく、心なし目を大きく見開く。
ウェイターが平然と去った後、月が思わず呟いた。
「……呪文、のようですね……」
「ああ、確かに呪文のような料理名かもしれないな。
だけど、美咲紀が頼んだものみたいに、野菜も多く馴染める味だよ」
「椿さんは何を?」
「そうですね。豚肉と山ほどのお野菜を、発祥の州独特に味付けして煮込んだポトフなのですよ。美味しいのです。
シュー君のは」
「ミルクやチーズをベースに香り付けをしたスープに、ブラッディーソーセージを煮込んだ料理だな」
「ブラッディー……血が素材のソーセージですか」
「ああ。普段は食べないけど、きちんとした店で出してくれるソーセージは美味しくてね」
受けた二人の説明に、月は新しい食の世界の存在を感じつつ、納得した様子で頷いた。
夜の闇と星空が、温かい料理の湯気を際立たせる。最初は味を楽しみ言葉少なかった三人だが、だんだんと寛ぎと共に会話も弾んでいった。
「今更ですが……このナイフやフォークの使い方は合っているでしょうか……?」
「ああ、合っている。今まで気付かなかったくらいだから問題ないだろう。強いて言うなら」
他の二人に比べナイフとフォークに慣れない月に、修がせっかくだからとより細やかなところまでアドバイスをしていく。
「ありがとうございます。
ところで、今日は本格的なクラシックコンサートでしたね。然程詳しくはないのですが……」
「──素敵でした。まさか寝子島でマーラーの交響曲が聴けるとは思わなかったのです」
美咲紀の出身である椿家は歴史格式の高い家。上流階級に相応しいものとして、最低限のクラシックも知識の内に備わっている。
「流石に美咲紀は知っていたか。
マーラーの『復活』──主題は常闇もどこかで聞いたことあったかも知れないな」
修の言葉に月が記憶を逡巡させてから、心当たりが無くかすかに俯く。
「どうでしょう……教養には、あまり。
ですが、コーラスがとても綺麗だと思いました」
その感想に、修が納得したように頷いた。
「それなら、交響曲第8番変ホ長調──『千人交響曲』もお勧めだな」
「千人で演奏するのでしょうか?」
「流石に千人で演奏する訳ではないけれども、それに近い人数が必要で規模も大きいから、上演は大変そうだけどね」
改めて月が頷いた中で、デザートがテーブルの上に置かれ始める。
修はウィーン料理に因んで、ザッハー・トルテを。
月の前には、春の新鮮さにあふれるカットフルーツ。
美咲紀の前には、イチゴ風味のするほんわりピンク色をしたショートケーキが置かれた。
「食も一息つくと、やはり空の美しさに目を奪われるのです」
小さな感嘆と共に、美咲紀が濃紺の空にある輝く星へと目を向ける。
「ああ、こういう眩しい星の下での食事も悪くないな」
つられるように修も夜空を見上げた。修はその星の並び一つ一つに付いた名前も知っているが、今は一つ一つの輝き煌めく星が無数に鏤められている様が良いと、それらの話題は敢えて伏せた。
月は視力が良いのもあって、先程から一際美しい星空を、無言でじっと見つめている──
そうして三人の間に沈黙が訪れたが、それだけの魅力が今の星空には存在していた。そして、時折思いついたかのように、お菓子やカットフルーツを口に運べば、味覚と視覚を通して、一気に心が満たされた。
デザートの皿は片付けられ、代わりに三人の前に温かな飲み物が運ばれる。
「お客さんが少なくなりました。時間が経つのはあっという間なのです」
美咲紀の言葉に修が辺りを見渡せば、レストランに来たときよりも人のいる席は大分少なくなっていた。時計を確認し、相応の時間が経過しているのを確認する。
もうすぐこの落ち着いた時間も終わりなのだと思うと、満足感と同時にほんの僅かに勿体ないと思う気持ちが心に浮かび。修は、飲み物を運び終えて一礼と共にテーブルを去ろうとしたウェイターに声をかけた。
「このレストランはどうして三日間限定に?」
店員が整った佇まいで、軽い会釈と共に修の言葉に耳を傾ける。
「何かの企画か、テスト営業か。
三日間とするには、少し勿体ないかと」
「──そうでございますね。そう仰っていただけましたら、我々と致しましても大変嬉しく思われます」
ウェイターが修へ、そして三人へと、小さな微笑みと共に感謝を述べる。
「敢えて『空が綺麗な時の三日間だけ』と思うと──この島だと、異世界からの出店でも驚かないけどね」
修が、美咲紀と月へ「もしそうであったら浪漫があるな」と、冗談めいた笑みと共に言葉を告げた瞬間、
「ああ、お気づきになられてしまいましたか」
「──!?」
本当に予想外の内容に、三人が一斉にウェイターの姿を目にする。
「──冗談でございます。それでは、ごゆっくりどうぞ」
一斉に視線を集めたウェイターは、何事もなかったかのように深く一礼して、テーブルを後にした。
「……驚きました」
ポツリと月が、瞬きを一つして受けた衝撃を形にする。
「おそらく、何度か聞かれた質問なのかも知れないな。余りに自然で冗談に聞こえなかった」
修も『そうだったら素敵であろう』そんな思いで戯れにもにた内容が呼吸するように返され、驚きの余韻と共に呟く。
「……はっ、飲み物が冷めてしまうのですっ」
美咲紀の言葉に、テーブルの上に置かれていた飲み物の存在を忘れていた事に気づく。
飲み物に口をつける前に、誰からともなく三人で見上げた空には──本当に美しい星空が広がっていた。
「今日は、ありがとうございました」
夜も更けたレストランからの帰りは、修が呼び付けたレストランへ到着した時と同じ車で、女性二人を送ることとなった。
「こうして落ち着いて皆さんと食事をしながらの会話はあるようでありませんでしたね」
月の住まいの玄関に乗り付けて、車を降りた月が名残を惜しむように空を見上げる。
「本日のクラシックコンサートといい……私は恵まれていますね」
「また一緒に行きましょうなのですよ」
「ああ、今日はとても楽しかった。付き合ってくれて感謝だ」
笑顔で受け答える美咲紀と、同意し頷く修。
「──はい。
椿さん、八神さん。これからもよろしくお願いしますね」
月の言葉は、今、それを口にした彼女だけのものではない。
それは確かに──この場にいる、三人の友情を約束する言葉として、その場に存在していた──
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
7
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
星の降る夜<ディナータイム>
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月05日
参加申し込みの期限
2017年02月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年02月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!