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星の降る夜<ディナータイム>
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「……期間限定のレストラン、ですか?」
閉店間際の午後8時45分。
樹雨 蓮太朗
の経営している『Pioggia d'aprile』──通称『四月の雨』と呼ばれるCDショップで、手伝いとして本日の閉店準備をしていた
神嶋 綾瀬
は、不思議そうに尋ね返した。
「うん。昨日から3日間。寝子ヶ浜海浜公園で星空をテーマにしたレストランがオープンしているらしくてね。
もし良ければ、綾お嬢さんも一緒にどうかなと思ってね」
一緒に商品の陳列を整えながら、蓮太朗は告げる。
「え? ……店長と?」
綾瀬の心に動揺が走る。
灯籠流し
の時にも抱いた蓮太朗への恋心は、今、当時よりも遙かに複雑な状態で綾瀬の心に存在している──綾瀬が手から商品を取り零しかけたのを見て、蓮太朗は申し訳なさそうに告げた。
「……やっぱり迷惑だったかな?」
「──あ、いえ……!」
驚きすぎて、返事が遅れた。
「……はい。ご一緒させていただきます。予定は空けておきますね」
その誘いが迷惑であろうはずがない。
ただ……心に抱く諦め混じりのその想いが、喜びと同時にしくりと痛んだ──
ちょうど店が休みであった翌日。綾瀬は取り決めた時間の20分前に、待ち合わせ場所へと到着をしていた。
身に纏っているのは、黒を基調とした落ち着いた風合いのドレスワンピース。
「待ち合わせにはまだ早かったかしら……?」
昨日、帰ってから綾瀬は話に覚えのある封筒を、一度落としたちり箱から拾い上げて、改めてその内容を読み返した。
『カップルさんの素敵な思い出や、人間関係的に心の距離を近づけたい方同士の切っ掛けに如何でしょうか』
──彼も……あの人も、自分との距離を近づけたい、そう思ってくれて──
「(……そんなわけは、ないか)」
心の中で否定する。綾瀬が想いを寄せている相手は、父の昔馴染みで友人でもある。実際に、その縁で世話になったことは一度や二度ではない。
それ故に、実感している……この想いに対して、彼が自分を異性として目にしてくれる事は無いのだ、と。
……ため息が、一つ零れた。
「綾お嬢さん」
不意に掛けられた声に、いつの間にか俯いていた顔をはたと上げる。
目の前に、ちょうど今の瞬間まで想いを向けていた人物──蓮太朗がいた。
開かれた焦げ茶色のコートを引き締める、黒のベストと手袋がよく似合う。
手に持つ荷物はサックスのケースだろうか──何故この場にあるのかは綾瀬も気になるところだったが、せっかくの頂いた誘いに水を差す気もない。
「こんばんは、待ったかな……?」
蓮太朗が時計を見るのに合わせて、綾瀬も一緒に時計を目に留めた。時間は待ち合わせの10分前。改めて綾瀬は自分が早くに来すぎてしまった事を知る。
それでも綾瀬は答えた。
「──いえ、私も今来たところです」
最終日で人も多い中、偶然近くに確保できた、星がよく見えるテラス席の隅へ腰を下ろす。
「今日はお誘い、ありがとうございます」
促され先に座り、それから蓮太朗が椅子に腰掛けるのを目にしながら、綾瀬は改めて蓮太朗に感謝を伝えた。
「ううん、僕の方こそ付き合ってもらっちゃって悪いね。
綾お嬢さんは静かな所が好きでしょう。
あと今夜は星が特に綺麗みたいだから──
一緒に見れたらなと思って」
がらにもない、と。そして、誘いに応えてくれて嬉しいと、蓮太朗は恥ずかしそうに小さく微笑んだ。
──しかし、綾瀬は知っている。
その言葉も、その微笑みも、
何一つ『今まで世話をしてきた、昔馴染みの友人の娘』の領域から出ていないのだということを。
「……」
それでも、綾瀬は傍にいたいと願った。傍にいられることが嬉しいのだと、綾瀬は思った。
だが、そう理解しているのに……今もこうして胸がジリと痛むのが、ただ辛かった。
「(──この人と、あとどれだけこんな時間が過ごせるだろう)」
思う。
きっと私の想いは実らない……けど、願うことは許されるのなら……
綾瀬の視線が、置かれているメニューではなくじっとこちらへ向けられている事に、しばしの間から蓮太朗も気がついていた。
……その瞳の意志に気付かない程、蓮太朗も人の機微に鈍いわけではない。
ただ、彼女とは年齢が一回りも違う。故にその感情は自分ではない、もっと若い人に向けられるべきだと思われるし──何より、
『彼女は、自分の友人の娘さんなのだから──その思いは、決して自分が受け止めて良いものではない』
その思いを胸に置いて。メニューへ伏せていた目を、改めて正面へと向けた。
「綾お嬢さん、飲み物は決まったかな?」
二人の目の前に、透き通ったカクテルグラスが届けられる。
綾瀬の目の前には『雪国』という爽やかなスノースタイルのカクテルが。蓮太朗の手元には、深く濃いベルベッドを思わせる赤いシャンパンベースの『キール・ロワイヤル』が置かれた。
「乾杯」
二人で、日常を労る言葉を、微笑みと共に添えてグラスを軽く鳴らし合う。
「これは、ずいぶん可愛らしいね」
同時に、併せて注文していたシーザーサラダにトッピングされた小さな星形のクルトンに、蓮太朗が目を細めた。
そして、静かだが途切れることのない会話も楽しく、時間も程々に過ぎた頃合いで。
「少し待っていてもらえるかな」
蓮太朗はそう告げると、一度席を立ち店員に何か数言のやりとりをして、直ぐに戻ってきた。
「どうかしたんですか?」
「……今日は、君へ届けたい曲があって呼んだのもあるんだ。プレゼント──という程でもないかもしれないんだけどね」
そう告げると、蓮太朗はサックスケースの中から、夜の光にすら輝いて見える金色のサックスを取り出した。
そして、椅子を引き……僅かな呼気と共にそのサックスが音を奏で始める。
軽やかに思わせつつも、尊厳のある華やかなサックスの音色。音の一つ一つが弾けて星の光のように瞬き零れる。
それは即興曲を思わせるほど自然に。旋律はシンプルながらも、蓮太朗の演奏により一際迷いもなく、一縷の曇りもない希望を指し示すような曲調で紡ぎ上げられた。
なぞり辿るように、まるで大切な存在に触れるように奏でられた音と──夜という見えない未来に、希望だけを照らしているかのような、今見えるこの星を思わせる光を散らす旋律。
「プレゼント……
この曲、って」
──綾瀬は聞き覚えがあった。
これは即興曲などではない。この曲は。
綾瀬が幼い頃……中学に上がる時に作った、生まれて初めて作った曲──
演奏が終了すると同時に、パフォーマンスと認識されたレストランの各所から拍手が届いた。
「そう、君の卒業祝いに吹いた君の曲だよ」
「覚えていてくれたんですね」
その事実は嬉しくもあり──同時に、綾瀬の心を深く軋ませる。
「……。前にも言ったけれど、お嬢さんにはまたフルートやって欲しいんだ」
「え……?」
不意の蓮太朗の言葉に、綾瀬が動きを止める。
「──弟の方が才能があるから、じゃなくて。
フルート、まだ好きだろう」
「……」
蓮太朗は、綾瀬が高校の時よりフルートをやめた経緯をよく知っている。
──しかし、同時に人がいないのを確認して、彼女がそっと愛おしそうにそれを奏でていたことも──
「自分の感情に嘘をつき続けたらそれが真実になるかもしれない。
けど──きっとそれは、辛いよ。
見えない傷ほど……癒えるのは時間がかかるけれどね」
蓮太朗から告げられる、それは恐らく事実であろう本当の言葉。
しかし……綾瀬は俯いたまま、心から引きずり出すかのように告げた。
「……ごめんなさい、フルートはもう……」
綾瀬は──相手がこんなにも望んでくれているのに。恋心を寄せながらも、その相手に応えられない自分に、苛立ちを覚えずにはいられなかった。
フルートは、挫折した。それは昔、心が折れた高校の時のこと。
しかし『夢を託す』──そう決めた弟が、今現在も才能を花開かせればさせる程……その胸の傷は癒えないままに、綾瀬の心を抉っていく。
長い沈黙を受け入れて。蓮太朗は、それに責めることなく、むしろ申し訳なさすら滲ませて。
「うん……結論が変わらなくても言っておきたくて。
ごめんね、急に」
「……いえ」
──もし。
自分があの時、夢を諦めずにいれば、今、彼が望む輝いていたあの頃の、自分の音が出せただろうか。
彼の願いは、叶えられただろうか。喜ぶ大好きなこの人の顔が見られただろうか。
そう思えば、綾瀬は自然と瞳が潤みそうになるのを必死になって我慢する。
優しく諭してくれたこの人の目の前で、泣く訳にはいかない、と。
そうして、零れる事のなかった涙の代わりに、
空から一つ、瞬く星が滑り落ちた──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月05日
参加申し込みの期限
2017年02月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年02月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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