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星の降る夜<ディナータイム>
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「おお……ひゃっほう!!」
北里 雅樹
は一枚の細長い紙切れを手に、感嘆の一言だけでは足りることなく、感動を文字通り飛び上がることで表現した。
シーサイドタウンの大きな通り道。人の目が無くもなかったが、それ以上に雅樹には喜びが先立った。
『まずこれで何をしよう?』真っ先に浮かんだ問題に、雅樹は考える。そして何度か思考を逡巡して、一つの結論に行き着いた。
「節約ばかりじゃつまらないしな。幾らかは自分の為に……!」
雅樹は、その紙切れを凝視して強く思う。
ふとその時、視線の先にあった公園入り口の小さな看板に目に入った。
レストラン【星を見る猫】──そういえば、不思議と猫鳴館の自分宛に封筒が入っていた。その時は金がないという現実問題から、雅樹の意識からは存在が完全にログアウトしていたが──
「(むしろ今なら……今しか!)」
『今しかない』雅樹の心が告げる。
彼は改めて、夕刻過ぎから開かれるレストランの存在を凝視してから、一刻を争うように側の銀行へと飛び込んだ。
「場所は──ここよ、ね……」
夜、高校生が出歩くには少し遅い時間。
椎井 莉鳥
は指定された待ち合わせ場所から誘いの場所を見て、その驚きに瞬きを一つした。
開かれた空間に、一定の距離を保ちつつも、配置の見目にかなり気が遣われていることが分かる、テーブルと椅子。背景の濃紺の夜空は、星をシックにも華やかにきらめかせている。
誘ってきた元の別れた彼氏──雅樹は、今は実家にいない為、金銭面では日々の生活も楽ではないはずだ。
「(奢る、と言っていたけれども……)」
『そんな金が、どこにあるというのか』──莉鳥の心が、疑問で正直胸一杯になる。
誘ってきた相手は元彼であるから、この場所であっても、今更『二人でロマンティックな場所でのデートが嬉しい』という可愛い感想も出てこない。
そこにあるのは、ただただ腐れ縁となった友人として、相手の財布の心配。それだけである。
家でその話をメールで目にしたとき、そう言えばと、何気なく届けられていた封筒を確認し直した。
一応ドレスコードの確認の為だったが、それらしきものが見受けられなかった為、今の莉鳥は、少し色味が深い赤のフード付きブルゾンと、ボートネックのボーダーTシャツ。そして、タイトな黒のボトムに、飾り気のない黒のパンプスと、かなりカジュアルなスタイルだ。気が楽な姿ではあるが、今にして追い出されてしまわないかと心配になってくる。
そんな莉鳥に声が掛かった。
「──見つけた見つけた!」
遠くから、雅樹が走ってくる。白のラフに着こなしたワイシャツにシンプルな黒のスラックス。あちらもフォーマルな姿ではないことに、莉鳥も少し安堵した。
「悪い、待たせた待たせた」
全く悪気の無さそうな様子で告げる雅樹に、
「……いつものこと。
今日は、何?」
莉鳥は、慣れているとはいえ、いつも通りの少しあきれた様子で端的な言葉を置く。
対して、雅樹はその問いにこの上なく嬉しそうな顔で答えた。
「今日は先月のチョコケーキのお礼に、レストランに誘ってみた。全額、俺が負担──!」
自信満々、意気揚々とそこまで高らかに謳い上げた雅樹が言葉途中に莉鳥を見た……瞬間、
──雅樹の自信は、思い切り地面に叩き付けられた。
その時見ていた莉鳥の視線は、喜びでも感謝でもなかった。
『……あんた、何か悪いことした?』
その視線は、全力で、犯罪者扱いであった。
彼にはお金がない。元カノは、ほぼ確定で自分を犯罪者扱いしていた。
──ついにお金欲しさに犯罪に手を染めてしまったのか……ただひたすらに、こちらに受けられるその視線。
「いやっ、違うって! これ、これ」
つい『その反応が堪らない』と思うのを我慢して。元カノの誤解を解くべく、雅樹はズボンのポケットから、しわくちゃになった『宝くじ三十万円』の当選証明書を取り出した。
日常生活ではあまり目に入る機会のない銀行の公的書類に莉鳥はしばらくそれを凝視していたが、一言。
「……なるほどね」
幼馴染みの元恋人、ただ一言であってもその彼女の言葉は理解と納得だと雅樹は知っている。
そうして雅樹は、ようやく満天の星の下に晴れて身の潔白を証明してレストランへと入ることが叶ったのだった。
テラス席の夜空中央から少し離れた席。しかし、それでも星が瞬くのがよく見える。
「お待たせ致しました」
席に落ち着き注文をしてしばらく。ウェイターが料理を運んできた。
莉鳥の前には、一人分の星形の小皿に盛られた玉子が乗ったサラダと、ミルクのリゾット。雅樹の前には──日常、一般市民では口にする機会のない、鉄板が星形の高級フィレステーキが置かれた。
「高級料理!! いただきまーすっ!!」
あまりの高級肉を前にして目の色が変わった雅樹が、叫ぶと同時に
『取り皿の存在意義』
を越え、フォークで肉を一刺しにして口に運ぼうと『ナイフの存在意義』まで失いかけた瞬間──向かいに座って、その一部始終を目にしていた莉鳥の絶対零度の瞳が、向けられた雅樹を直撃して凍り付いた。
フォーク一本でフィレ肉をそのまま囓り付こうとしていた雅樹が完全停止してからしばらく。
何とか復活して、すごすごとナイフも使用して食事を切り分けて口に運ぶのを見て、静かに莉鳥も自分の料理を食べ始めた。
「これうまいな」
「……」
「あ、椎井のヤツ一個もらいっ」
「……」
「………………」
「………………」
沈黙の時間。
普通ならかなり気まずい時間であろうが、莉鳥は嫌な事は徹底的なまでに拒否拒絶をすることを雅樹は知っている。この沈黙が、実は照れ隠しであり言葉が出ない状況であることは、関係は変われど、長く一緒に居続けてきた雅樹には明確に実感するところであった。
──そんな沈黙も、楽しい。
雅樹は内心、その時間をもこっそり共に堪能した。
メインの食器が下げられ、食後のデザートが二人の前に置かれる。
雅樹のデザートは、星形の色違いアイスクリーム二種。莉鳥のは、やはり星形をしたコーヒーゼリーがそれぞれの目の前に置かれた。
居慣れない場所にも慣れたのか、雅樹の言葉にも莉鳥が少しずつ応え始める。
「綺麗だな」
「……そうね」
莉鳥はじっと空を見ていた。
しかし、雅樹はずっと莉鳥を見ていた。
一見、人から愛想が足りなく思われても、光る美しい星を瞳に映す彼女の表情には年相応の心が浮かんでいたから。
莉鳥が、ハッと正面を向いてようやくそこで互いの視線が合う。
動揺に莉鳥の唇が動いた。しかし、その反応に声無く笑う雅樹に対し、恥ずかしさからか莉鳥の声は全く付いてこない。
そうかと思えば、不意に学業へと話題が零れる。
「追試あるよな、かなり厳しい」
雅樹が、あまりに莉鳥をじっと見つめていうものだから、莉鳥も普通に自分のことだと疑わず。
「無いわよ」
「体育」
「……? 体育で追試なんてあるわけないじゃない」
「──俺が。あと一点足りなかった」
「……ああ」
妙に真摯に莉鳥を見つめあった雅樹の眼差しを、莉鳥は言外に『ご愁傷様』という意味を残し、容赦無く目蓋を伏せて手元の飲み物の方へと向けた。
先程から、ずっと。行動がかみ合わなかったり、行動が伴わずに、後から分かるようなそんな会話を、おかしなくらいに繰り返しながら、時を過ごす。
そんな軽い齟齬を伴ったかみ合わない言葉がこそが、今の自分たちの関係には丁度良いのだろうと、心のどこかで二人はその時間を楽しんだ──
「追試……か」
最中、ふと雅樹が呟いた。
「……何よ?」
莉鳥の言葉を置いて、雅樹は考える。
「(追試。ここでサボって留年したら──)」
彼女が期末試験を放棄して……自然に離れた、あの時間を取り戻せたのかも知れなかったけれども。
「これでさ、追試──」
「……。……何?」
「何でもない」
それは……雅樹が口にしたら、もう二度と、元恋人は自分の誘いに乗ってくれなさそうだと思ったから。
適当に、他と同様の『噛み合わない話』としてはぐらかそうとした言葉は、上手く言えずに、彼らしくもなくその喉元で押し潰した。
帰り道、いつも通り雅樹は家まで莉鳥を送り返すことにした。
今日は、彼女の家には暖かそうな電気が付いていて。
この間のように
それが目に映る薄暗い家ではないことに。
雅樹は、じわりと滲む安心感と、全面的には肯定しがたいほんの少しの切なさをもって、一度開いたそのドアが閉まるのを、ただ見つめていた──
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担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月05日
参加申し込みの期限
2017年02月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年02月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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