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汝の足が示す先は
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●
普段なら、星ヶ丘寮内のアトリエに籠っているであろう筈のこの時間。
三宅 葉月
を動かしたのは、陽射しに垣間見えた不思議な色だった。
春風に彩を添えたらもしかしたらこんな色かもしれない、そんな曖昧でしかしそこには無いはずの色が、キャンバスの向こう、窓の外に見えた気がしたのだ。
考えるよりももはや本能で、スケッチブックと七十二色の色鉛筆を持った葉月は寮の外へと足を向ける。
まだ肌寒さ感じさせる初春の風も、太陽の温もりを吸収する黒のストールをなびかせるだけで彼女の肌までは届かない。
(……?)
風の源。その先の風景。どうしてだろう、見慣れているはずなのに今日はいつもより鮮やかに見えるような。
濃淡揺らめく翡翠の瞳は、これから訪れる葉月自身の変化を予感させ景色を捉えたのかもしれない。本人にその自覚は無いままで。
気付けばスケッチブックには1枚、また1枚とクロッキー画が増えていった。
石が積まれて作られた、いつからあるか分からない道祖伸のようなモノ、コンクリートすらも破って花弁開かせた逞しい野花、せせらぎの音を追いかけるように鉛筆走らせ、気付けば川に沿って歩いていた。
葉月にとって、絵を描く事に集中するのは呼吸するのと同じくらいに容易い。
たとえ視線はスケッチブックに落とされたままでも、僅かな視界に捉えられた風景から脳が、足が、障害物を避けるように自動で補正され転ぶことは無い。
その代わり知らない場所に踏み込んでも、暫くの間その情報は脳に届けられることがなかったわけだが。
つまり数時間後、見事に迷子と化していたのであった。
「……」
ふと顔を上げ、見知らぬ木々に囲まれている状況をまるで他人事のように一瞥する。
寝子島のどこかという確信はある。ならば別段慌てる事はないだろう。
早々に思考が終着されれば、アンティークドールのような横顔から、端正な表情が崩されることは無かった。
動揺しても仕方がないことだと諦めか悟りか、もうずっとそうしてきたから、彼女自身にもそれは分からない。
ただただ淡々と、新たに飛び込んできた緑を表現すべく再び色鉛筆を動かすのみ。
決して表情が変わる事は無いが、彩り添えられたスケッチブックからは彼女の代わりに感情があふれ出すかのよう、まるで楽しむように次々と線と色が足されていった。
「……誰かいる……」
見知らぬ景色に流されるままに足を進めていると、この日初めて口から音が紡がれた。
翡翠の瞳に映るは、数十メートル先にまだ小さく見える後ろ姿。
木漏れ日受け止めるその髪は、薄茶のような金色のような不思議な色を揺らめかせ、その持ち主はどうやら大木を見上げている様子だった。
自然とスケッチブックに追加される。
しばし大木を見つめていた青年らしき人物がようやく動き姿を消すと、当然のように葉月の足はその大木へと向かっていた ――。
◇ ◇ ◇
葉月が迷い込む数時間前。ここ九夜山。そう実は九夜山。
八神 修
はデジカメを片手に展望台を目指していた。
早朝のランニング時、ふと気付けば山に緑の色づきが戻り始めたように見え、生まれ来る春を形として捉える良い機会だろうかと思い至って。
以前なら、ランニングを終えたその足でこのような山登りは思いつくことが無かったかもしれない。
息を切らす前に休憩を入れれば、まだまだ疲労を感じない己の体に日頃の鍛錬の成果を見て取れて、そっと微笑んだ。
大分登ってきただろうか、と幾度目かの休憩中に視線を空から遠くの緑へと移したその時、風に揺らめいた葉の奥に一瞬色が吐出されたように見えた。
それは桃色。春を告げる代表色。
風がやむとすぐに見えなくなってしまったが、気のせいで無いと思いたい。
デジカメの光学ズームを素早く起動させ、見えた方角や位置を確認する。
(確かめたいな。あれが今年最初の春の産声なら、なおさら……)
目標物と探求心が交われば、エネルギーとなっていつも以上の体力が生まれる。
展望台から脇にそれた森の小道へと踏み出し、黙々と脳裏にチラつく先程の樹を目指した。
心は急いても脳は冷静に、足元には注意していた……つもりだった。
ズボリッ
「!?」
視覚が安全と捉えていた落ち葉の上に足を乗せた途端、予想外に積もった枯れ葉は山の悪戯心だったかのように、見事に修の足を、体を、滑らせた。
咄嗟に受け身を取りながらどうにか穏便に着地すると、すぐに元居た道へ登れそうな場所を探し始める。
「……やれやれ」
肩をすくめた修が一旦足を止めた。迷った、と潔い判断が下された。
「ここは未だに圏外が有るからな……、やっぱりか」
腕時計で時間を確認しながら、それとは違う用途としての携帯の電波に目をやれば、案の定の電波無しマークを見てすぐに次の対策へ移る。
1人で山に入る以上、最低限の準備や元来の知識をすぐ思い出せるようにしておく事は、修にとって自然なことである。
影から太陽の位置を把握し、時計の文字盤を使い方角を算出。次第に脳内地図が出来上がっていく。
(尾根伝いに下を目指すのが良いのだが、尾根が分からない場合はどうしたものか)
もう一度辺りを見渡し、先程居た休憩場所と滑り落ちてきた距離をおおよそ照らし合わせて、ふぅと考察の波から息をついた。
まぁ深刻ではない。
最終的にそう導き出されれば、潜っていた探求心が再び湧き上がるのを感じた。
「……君たちも、春の気配を感じ取ったのか?」
気付けば木陰から小鹿が、枝の上にリスが、修へと視線を向けてきていた。
厳しい冬を乗り越えてお腹が空いた頃なのかもしれない、そんなふうに察すると静かに鞄を下ろしてその中からメロンパンを一つ、なるべく音を立てないように袋から取り出す。
空腹の鼻を刺激したのか、本来警戒心の強い小鹿が動いた。
手前に放ってやれば怖がる様子も見せず、鼻先で確認した後食べ始めるのを見て『シャッターチャンスなんだろうけれど……』と一瞬逡巡。
結果、僅かな音でも怯えさせないよう小鹿やリスが姿を消すまで動くのをやめた。
歩き出せば木漏れ日に照らし出された森の風景や、見たことのない草花が目につき、シャッターチャンスに事欠くことは無かった。
どれくらい歩いただろうか。
時計と日の傾きを気にした時、ずっと木々に囲まれていた景色が開けた。
正確には、他より明らかに樹齢を重ねた大木、それを称えるように木々たちが空間を作り出している。
「君に会うためにずいぶんと手間が掛かったよ」
小さく苦笑いを浮かべ、それでも嬉しそうに修はその大木へと近づいていく。
見上げれば、脳裏にずっと記憶されていた桃色がすぐに見つけられた。
まだ蕾だったりうっすら綻んだ程度の、しかしそれがたわわに枝から身を起こしていれば桃色が強調されて。
―― ……彼女にも見せてやりたい。
春の色がとても良く似合う笑顔が、当たり前のように浮かんだ。
満開の時に一緒に来ても良いけれど、大きな存在感を持ちながらも人知れず健気に春の準備をしている姿も、進級を間近に控えた自分たちのようで温かい気持ちになれるのではないかと。
カシャリ。
シャッターの音が静かに響いた。せめて、思い出を共有できるように形に残す。
また来るよ。……今度は一緒に。
約束か願いか、そう心の中で呟いてから少し名残惜しそうに踵を返す後ろ姿を、帰り道に迷わないよう示すかのように、木々の葉が同じ方向へ揺れるのだった。
◇ ◇ ◇
―― とても大きな木。
修が去った後、
三宅 葉月
は大木からやや距離をおいたところで立ち止まる。
相変わらずドールの表情は美しいままだが、その手元はもう一心不乱に目の前の大木を、春の間もなくの訪れを、映し出すことに集中していた。
今、誰かが通りがかったらきっとこんな印象を受けるだろう。
『高貴な森の精が、アンニュイさと気まぐれを伴って絵を描いていた』と。
なお、迷子の森の精が夕暮れに照らし出された頃、たまたま訪れた九夜山周辺を熟知した一般ピープルな人に
驚かれながら帰路を案内されていた葉月の姿があったとか……。
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担当ゲームマスター
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月03日
参加申し込みの期限
2017年02月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年02月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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