小学生の年度末｜リアクション

小学生の年度末

○テストを終えて

　先生の声と共に、二日目のテストは終了した。
「終わったぁー！　何とか乗り切ったよぉ！」
　声をあげて伸びをする瑠樹。
　その声にこちらを見た桃井かんなと目が合った。
　バカみたい、と言いたげな表情だが、瑠樹は気にせずにっこり笑う。
（皆はどうだったのかなぁ？）
　何となく気になって、聞いてみた。
「テスト、どうだったぁ？」
「えっ？　別に、普通だよ」
　ちょっと戸惑いの色を見せたが、クールな返事を返すかんな。
「どうなることかと思ったけど、勉強会してよかった！」
　近くにいたあんずも言う。
「あんたは？」
　かんなの問いに、
「オレはー……ちょっと勉強足りなかった気がするねぇ。次は頑張るよぉ！」
　のんびり答える瑠樹。
「次？　もう４年生だけどね」
　とかんなが突っ込む。
「そういえば……もうじき進級かぁ。寝子小ってクラス替えあるんだっけ？」
　瑠樹の頭に浮かんだ疑問に、
「えっ？　そういえば去年はクラス替えあったね」
　あんずが答えた。
「皆と別のクラスになるかもしれないのは……寂しいねぇ」
　瑠樹が寝子島に引越してきてから１年になる。
「３年２組になって、楽しかったーって思ってるよぉ。来年も、同じクラスになれたら嬉しいねぇ！」

「はい、帰りの会を始めますよー」
　先生が帰りの会の開始を告げ、会話はそこで終わった。　

「それじゃ、また明日なぁー！」
　帰りの会が終わると、瑠樹は皆に手を振り元気に下校する。
（……ホワイトデーのお返しも、そろそろ用意しようっと！）
　かんなからもらったチョコのことを思い出し、テストのことを忘れてふわふわした気分になる瑠樹だった。
　

　テストを終えて帰宅したスフィアは、ランドセルを置くと引き出しからレターセットを取り出した。
　机に向かい、手紙を書き始める。
　隣にはもちろんウサギのぬいぐるみのヘイヤがいる。
『パパ、ママ。きょうは学校でテストがありました。昔パパとママのいたけんきゅうじょで受けたテストと違って日本語で問題を読まなければいけなかったけど』
　少し考える。結果のことは書こうか。
（漢字は読めたと思うけど……返ってくるまで結果はわからないし）
　もし思ったより悪かったら、パパとママをがっかりさせてしまう、そんなのは嫌だ。
（……テストの手ごたえは書かずにおこう）
　結局スフィアはこう続けた。
『ウサギのぬいぐるみと一緒にお勉強して頑張りました。結果はまだわからないけど、頑張れたと思います』
　そして、思いを込めて最後の一行を書く。
『早く二人に会いたいです。スフィアより』