みんなで楽しいひなまつり！｜リアクション

みんなで楽しいひなまつり！

　修達と流し雛をしようと社務所に来た夏朝。流し雛を受け取った夏朝は修達にこう言ったのだ。
「願い事書いてから、川付近で合流しよう！」
　修達が承諾してくれたので、夏朝は社務所の前で一旦修達と別れる。夏朝は１人、社務所横の物陰に来た。

　夏朝は決めていたのだ。お願い事は、１人で書こうと。自分の願い事はちょっと特殊でもあったし……１人分の願い事なのか実は２人分なのかもよく分からなかったのだ。
　夏朝は社務所で貰った薄桃色の人型の紙をじっと見つめる。そして小さな文字で願い事を書き始めた。

『僕と、別人格の夏夜ちゃんが
　其々を保ちながら・心身ともに分離して
　２人並んで、皆と共に、フツウの日々を過ごしたい』

　紙が半分以上埋まった。けれども夏朝はまだ真剣な顔で書き続ける。

『分離が無理か、フツウや世界を壊さないと叶えられないなら諦めて
　高校卒業までに人格統合を目指したい』

　最後の文字を書き終え、夏朝はふうと息をついた。
（……夏夜ちゃん、お願い事、これでいいよね？）
　夏朝は心の中に問い掛けるが、返事はない。それでも夏朝は１人うんと頷くと、紙を丁寧に仕舞った。
　さあ、猫又川に行って友人達と合流しなくては。そう思い歩き出した夏朝は、お願い事を書く人々の中にまほろの姿を見つけ、声をかけたのだった。

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「夏朝ちゃんも流し雛をするの？」
　まほろの問い掛けに夏朝はコクンと頷いた。
「うん。これから猫又川に流しに行こうと思って。遠野さんも書いたなら一緒にどうかな？　八神君達もいるよ」
「わぁ……楽しそうだね。一緒に行くよ」
　まほろが嬉しそうに微笑む。２人は並んで仲良く歩き出した。