みんなで楽しいひなまつり！｜リアクション

みんなで楽しいひなまつり！

　修達の前に現れた夏朝は、大変可愛らしい格好をしていた。

　猫や肉球をあしらった薄い橙色の打ち掛け風自作上着をふわりと羽織り。いつも一緒の仲良し猫パペットハルくんは、やはり夏朝が上手に作った金色の長柄銚子をくわえている。
　まるで雛飾りからぴょんと飛び降りた三人官女が、現代の女子高生になったようであった。

「うわぁあああ～～！　恵御納さん、可愛いのです！」
　夏朝の姿を見て、美咲紀は両手を握り目を輝かせた。その手放しの賛辞に夏朝の頬がぽっと赤くなる。あおいも、
「素敵だね～！　自分で作ったの？　すごーい！」
と夏朝を前に興味津々だ。夏朝は照れながら口を開いた。
「桃の花を見たかったから、散歩も兼ねて神社に来てみたんだ。そういえば、みんなは甘酒とか貰ったの？」
「貰いましたよ～。あっちで配っていたのです」
「私も桃の花貰おうと思ってたから、夏朝ちゃん貰ってなかったら一緒に行かない？」
「うんうん、それがいいのです！　私はひなあられをおかわりなのです！」
　夏朝を囲んで美咲紀やあおいが口々に言う。その楽しそうな姿を見ながら修は思っていた。
（これこそまるで三人官女だな。いや、俺にとってはあおいは……）
　修の頭に綺麗な十二単を着て微笑んでるあおいの姿がほわりと浮かぶ。修は照れながら独りコホンと咳払いをし、３人に向かって言った。
「なあ、振る舞いを貰ったら、雛を流してみないか？　社務所で確か受け付けていたはずだ」

　修の言葉に３人が笑顔で振り向き、頷いた。