みんなで楽しいひなまつり！｜リアクション

みんなで楽しいひなまつり！

　美咲紀がトワと別れた頃、同じ寝子島神社境内で八神修は七夜あおいとバッタリ出会っていた。

「あ、修君だ～。修君もお祭り来たの？」
　あおいが手を振りながら修の方に歩いてくる。修は持っていたカメラをちょっと掲げながら言った。
「俺はこれさ。お祭りの風景を撮ろうと思って。あおいも撮っていいかい？」
「勿論だよ。へへ、ピース！」
　笑いながらあおいがポーズを取る。その笑顔をパシャリと撮ると、修はファインダーから顔を上げた。
「そういえば今日は甘酒やひなあられの振る舞いがあるらしいぞ」
「あ、それ聞いたよ～。実は貰いにここまで来たんだ」
　あおいはペロリと舌を出す。修は笑いながら言った。
「参道を上がった入り口辺りで配ってるらしい。一緒に行こうか」

　２人は配布所まで来ると、仲良く甘酒とひなあられの振る舞いを受けた。
「甘酒温まるな……。なんだかポカポカしてきたよ」
　ほうっと息を吐きながら、修が言う。横であおいはひなあられを食べ、ん～っと目を細めた。
「久しぶりに食べると美味しいよね、ひなあられ！」
　その様子に微笑みながら修が言った。
「確かに美味しいよな。これを使ったスイーツも良さそうだ」
　え？　とあおいが聞き返す。修はマシュマロとひなあられを使って電子レンジで作る簡単なキャンディ風スイーツがある事を教えてやった。
「わー、簡単なのに美味しそうだね！　作りたいけど、出来るかなぁ」
「大丈夫だよ。なんなら俺も一緒に今度作ろうか？」
「いいの？　良かった、修君いてくれれば安心だね～」
　そんな風に２人で仲良く話していると、元気な声がした。
「おや、シュー君達ではないですか！」
　修達が振り向いた先に、美咲紀が元気に手を振っていた。

「シュー君とあおいちゃんはいつも仲が良いですねー」
　２人の傍に来ると、美咲紀はにこにこと言った。
「私は新聞部の取材で来たのです。ぜひお祭りに来た２人って感じで撮らせて下さいな♪」
　カメラを片手にウインクする美咲紀に、修はあおいの方を見て言った。
「俺はいいけど……あおいどうする？」
「私も構わないよー」
「それは良かったです！　さあ、並んで並んで！」
　美咲紀が勇んで修達に言う。パシャリ。境内で仲良く並ぶ２人の姿が美咲紀のカメラに収められた。

　どうやら美咲紀も甘酒とひなあられの振る舞いをしっかり受けたらしい。そして彼女はじゃん！　と小さな桃の枝を２人に見せた。
「あの後ろで桃の花の振る舞いもしてましたよ～」
「わ～、綺麗！　私もお部屋に飾ろうと思ってたんだ。後で貰いに行こうっと」
　目を輝かせてあおいが言う。花を挟んでキャッキャ盛り上がる女の子達を修が優しく見守っていると、そこにひょいと顔を覗かせた人物がいた。

「八神君、七夜さん、椿さん……こんにちは。ひなまつり……楽しんでる？」
「お、恵御納じゃないか」
　修が声をかける。３人の前で、恵御納夏朝がほわりと微笑んでいた。