スターエアーバトルロワイヤル｜リアクション

スターエアーバトルロワイヤル

【Round.5】

　その頃、スピナー・オブ・ジェラシーの猛威から逃れるべく、渥美ニナは全速力で岬を走っていた。
「あの猛烈な嵐に正面から立ち向かうのは得策ではありません。ここは皆さんで協力して、待ち伏せして一気に畳み掛ける方針で行きましょう！」
　ニナの冷静な判断に、そこに集った一同に否やはなかった。
「待ち伏せをするなら、逃げ場は少ない方がいいと思いますわ。灯台の方はいかがでしょう？」
「いいと思うでがんす。たとえ追い詰められても、一人や二人ならおいらのろっこんで崖から飛べるでがんすし」
　上下左右と雨崎荒太郎がそう提案し、一行は進路を灯台へ。
「じゃあ、オレはろっこんでさっきの人か、そのロッコンを和ませてみようかねぇ」
　曖浜瑠樹はふわふわと後ろを飛ぶマティエと相談しながら、自分なりにできることを考える。
『いいかも知れませんね。でも、りゅーき、注意してください。私の能力は、まずあなた自身がろっこんを発動させて、その波動を私が感知しないと発言できませんから』
　などと、相談していると、海の方から強い風に乗って、砂や空き缶や、ときにはバイクの部品までが飛んで来る。
「みなさん！　下がっていてください！　ここは私とイクリプス・チェインズが！」
　ニナが颯爽と前に踊り出ると、イクリプス・チェインズの鎖を使ってバイクの部品を空中で掴み、遠くの空へと投げ返す。
「おいら達もやるでがんす！　ファントム・フェザース！」
『あいよ！　いくよ、俺のフェザース達！』
　荒太郎も自身のロッコンを使って、これに応戦。
　光る鳥達が風を起こして嵐を軽減し、マッチョガイなフェザーズが拳で「オラオラオラ！」と飛んで来たあれやそれを叩き落す。
「みなさん、さすがですわ！　よーし、私も……！」
　と、左右もサイド・トゥ・サイドに命じるが、およそ戦闘向きではない彼女のロッコンではニナや荒太郎ほどの活躍ではできない。
「ぐすん……。私も「オラオラオラ！」ってやってみたかったですわ……」
「大丈夫。オレたちはオレたちにできることをやればいいんだよぉ～」
『そうです！　私も「オラオラオラ！」とか無理ですし！』
　ちょっと涙目の左右を、瑠樹とマティエが揃って慰めた。確かに、リコーダー入れが「オラオラオラ！」とバイクを破壊する姿はちょっとカオスである。少し見てみたい気もするが。
　そんなこんなで、彼らは協力しつつ、なんとかスピナー・オブ・ジェラシーを封殺すべく動いていく。
　そんな彼らの姿を、

「にしししっ！　どうやら何か企んでいるようだねぇ！　だが、あっしは遠くから高見の見物を決め込ませてもらうとするよぃ！」

　骨削瓢は余裕の表情で、あくまで娯楽映画を眺めているような気分で、ぼんやりと眺め続けているのだった。