スターエアーバトルロワイヤル｜リアクション

スターエアーバトルロワイヤル

【Round.6】

　エノコロ岬の風は吹き荒れ続けている。
「行くよ、ユイ！」
『へいへい。今日の時雨は人使いが荒いなっ！』
　雨咲時雨は吹き荒れる風に髪が乱れることも気にせずに、自身のロッコン――リバース・マンの力を使い続けている。
　目標は不法投棄された様々な金属製のゴミ。
　それらを重力の方向を操作して、目の前の戦うべき相手――壬生由貴奈と、そのロッコン――スクラップヴェインにぶつけていく。
「ああ、もう……。めんどいなぁ～」
　由貴奈は、その一つ一つの金属を、スクラップヴェインの能力でいなし、かわしていく。
「……やりますね。けれど、逃げているだけじゃ僕には勝てませんよ！」
　由貴奈の曲芸のような回避運動を、時雨は楽しそうに眺めている。
　戦いにとらわれた彼は、いつもとは違った狂気に満ちた笑みを見せて、さらに次の金属へと力の触手を伸ばしていく。
『おお、怖……。まあ、やれというならやるしかないが、なっ！』
　リバース・マンも、それに逆らいはしない。いや、逆らえないのだろうか。それは本人に訊いてみなくてはわからない。
　さておき、そんな執拗な追撃に、由貴奈はだんだんと苛々していた。
（最初は、ほとぼりが冷めるまで逃げ回っていればいっかなぁ～なんて思ってたけど……）
　やがて、由貴奈は逃げていた足を不意に止めて、
「……うん。うちも、堪忍袋の緒が切れたよぉ……」
　眠たげな瞳の奥に静かな怒りの火を灯して、反撃に躍り出た。
　これまでに回避してきた金属片をスクラップヴェインの能力で操作――リバース・マン目掛けて投げつけていく！
『……おっと。どうやら敵さんもやるになったみたいだ……。で、どうする……って、ん？』
　と、そこでリバースマンは気づいた。時雨と由貴奈の方に、新たな三つの人影がやってきていることに。

　　＊　＊　＊

　新田亮と龍目豪は正々堂々と戦いを楽しんでいた。
「行け！　ガーネット・フォース！」
　亮が深紅の肉体を持つロッコンに命じれば、ガーネット・フォースは正しくその指示通りに動いて拳を振りかぶる。
「応戦だ！　一発屋！」
『おうよ！』
　それに豪が反応して、ロッコンに指示を飛ばせば、それに従って海賊姿の一発屋も同じく拳を振りかぶる。
　そして、ぶつかる拳と拳。
「……っ！」
「……っ！」
　鋼のような肉体と肉体がかちあえば、お互いにダメージはさけられない。
　そして、ロッコンが受けたダメージはそのままそのロッコン使いにフィードバックされる。
　拳が痛む。だが、それ以上に血が滾る。
　二人は岬を縦横無尽に駆けまわりながら、拳と拳で語り合い続けていた。
　そして、それを少し遠巻きに追いながら、椎井莉鳥も傍観を続けている。
「……で、あなたは戦わないわけ？」
　じとっとした目で莉鳥は問うが、エレットリチアは答えない。
　姿を現したということは、戦う意思はあるのだろう。
　だが、前回と同様に、虎視眈々とチャンスを覗い、自分から無駄に動くことはしたくないようだ。
　と、そこで三人は、いつのまにかやってきたその場所に、自分達以外のロッコン使いがいることに気づく。
「ふふ……。また戦うべき敵が増えましたね……」
　雨崎時雨は不敵に笑う。
「あーもー……。だから、うちは殴り合いは専門外って言ってるのにぃ～」
　うんざりとした口調で、壬生由貴奈が頭を振る。
　そのとき、エレットリチアが動いた。
　このときを待っていたかとでも言うように、ぬるりと身体を滑らせるようにしてリバース・マンの頭を掴む。電撃。
『ぐあああああっ……！？』
「う、ぐっ……」
　不意をつかれたリバース・マンが電撃によって消滅し、そのダメージによって時雨も倒れた。
「あー……。きみ、なかなかヒドいことするねぇ～。で、うちを見逃してくれる気はないんだよねぇ？」
「……悪いわね。エレットリチアはすでにあなたを敵とみなしているみたい」
　由貴奈の言葉に莉鳥が答え、次の瞬間にはスクラップヴェインを目掛けてエレットリチアが動いている。

　こうして、戦いはまさしく終わりなきバトルロワイヤルの様相を呈していくのだった――。

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