スターエアーバトルロワイヤル｜リアクション

スターエアーバトルロワイヤル

【Round.1】

　エノコロ岬には、スターエアーが吹き荒れている。

「……うーん……なんだか妙にうずうずしたりもするけれど……殴り合いとか、うちのガラじゃないんだよねぇ……」

　しかし、壬生由貴奈はその風には流されず、とりあえずこの状況をしのぐために行動することにした。
『さあ、お嬢ちゃん。早くこのバイクに……』
　と、海原茂のロッコン、カミナリ・サマーが由貴奈に言ったときだった。
「ん……？　なんかスターエアーとは別の風が吹いて来たのを感じるよぉ……？」
　由貴奈の足下をひゅっと風が駆け抜けたその直後、カミナリ・サマーと茂を小さな竜巻のようなものが包み込んだ。
「くっ……。これもロッコンの仕業か……！？」
『……かっ、身体が持ち上げられて、サマァアアアアアアアアーーー！？』
　次の瞬間には、竜巻によってバイクごと持ち上げられたカミナリ・サマーと茂が沖まで風に飛ばされて大きな水飛沫をあげた。
　そのロッコンに、由貴奈は見覚えがあった。
「あー、そういえば、きみ、前も大暴れしていたよねぇ……」
　そのブレなさに呆れ半分、感心半分の心持ちで由貴奈は嵐のごとくやってきた闖入者に視線を投げかけた。

　　＊　＊　＊

　骨削瓢のロッコン、スピナー・オブ・ジェラシーも吹き荒れていた。

「えっひゃっひゃっ！　スターエアーだか、コメディだか知らないがぁ、あっしはもともとこういうタチさぁ！」
　狂気に満ちた笑い声を上げて、瓢が両手を天に掲げる。
　すると、それに応じるように彼のロッコンが死霊のような呻き声をあげて嵐を巻き起こす。
　台風に頭と手を生やしたようなその姿はさながら持ち主の狂気を体現しているようでもあった。
「あっしのロッコンは今日もご機嫌だよぉ！　次に相手をしてくれるのはおたくかい？」
　にひぃと邪悪な笑みをたたえて、瓢は由貴奈の方を振り返る。
「……う～ん。悪いんだけど、今回のうちの作戦は逃げるが勝ちって感じかなぁ～」
　言うが早いか、由貴奈は瓢に背を向けて駆け出す。
「おっと待ちなよぉ！　あっしの話はまだ終わってないよぃ！」
　その背中を瓢が追いかける。
　すると、それに呼応するようにゴキゲンな彼のロッコンもその手を由貴奈に伸ばそうとする。
　だが――。
「――お待ちなさい」
「……あぁ？」
　そこに、狂気に満ちた瓢の声とは対照的な涼やかな声が由貴奈を追う瓢の前に立ちはだかった。

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