- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
雪に松明、夜空に花火、宇奈月温泉雪祭り
■三夜 智蔵の場合
今頃嫁さんは部屋の中からのーんびりこいつを眺めてる頃だろうか。
三夜 智蔵はポケットに手をつっこんで、賑やかな夜の町を歩いていた。
「雪像コンテストかー。見事なもんだ」
と言っても札幌雪祭りほどすごいものはない。みんな頑張って作ったんだなあと思うような、微笑ましい雪だるまの進化体が並んでいるのだ。
俺だったらどんな雪像つくるかなあ、などと町を駅側へと歩いて行く。
こうなったのも自業自得。
具体的にはお食事処で白エビの唐揚げを一人で注文して一人で食べきったからなのだが、なーにもあそこまで怒らなくてもよくないかい。
「晩飯前まではなんなに機嫌良かったのになあ」
今は部屋から追い出されてぶらついているところである。
ホテルのロビーでくつろいでも良かったが、どうもあそこはいつまでもいるような場所じゃあなさそうだ。
それにお腹もすいてきた。
軽く酒なんてひっかけて、男の一人飯としゃれ込むのも楽しそうだ……と思った時にはもう身体は外を歩いていたのだ。
温泉街というだけあって、食事処も少なくない。
カフェっぽい店や定食屋、焼肉屋なんてのもある。
けれどこういう気分の時は……。
「おっ、いいねえ」
酒瓶ぶら下げた狸の置物を見て、智蔵はこれだよこれとにやついた。
看板には河鹿と書いてあるが、読み方がよくわからない。
とはいえ隣に『釜飯、おでん』と書いてあるのだからもう入らない手は無かろう。
店内はこれぞといった具合の飯処。思いっきり普段着の店主がカウンターに置いているビール瓶に目をとめて、智蔵はまたもにやりとした。
それもずばり宇奈月麦酒（ウナヅキビール）。
名水黒部川の水と宇奈月産の麦を使ったビールである。
温泉街にやってきて地ビールとは、これまた乙な過ごし方だ。
店主が『なにすんの』ときわめてフワッとした聞き方をしてくるので、智蔵も瓶をさして『ビールと何か適当に頼むよ』と注文してカウンター席についた。
ほどなくして、豚のキムチ炒めとビールというこれまたぶん投げた感じのメニューを出してくるので、もう智蔵のテンションはうなぎ登りである。
分厚くむっちりとした、それでいて脂っこくない豚肉をキムチの味付けでつまみ、そしてビールをあおる。
もう何もかもが身体の中にしみこむ水がごとし。
こりゃあ飯もうまかろうとメニュー表を手に取ると、ふと奇妙なものが目にとまった。
富山名産と書かれたいくつかのメニューである。
ホタルイカの沖漬けや冷や奴はともかく……。
「なあ、このコンブ巻きかまぼこってのはなんだ」
とりあえずくれと注文して、まず目にとまったのがぐるぐると渦を巻いたかまぼこである。
これは富山あるあるなのだが、この地方のかまぼこにかまぼこ板はない。その代わりぐるぐるとロールした作りになっているのだ。
で、気になるのはその周りにぐるっと巻かれた昆布である。
どうやら微妙に粘りけを持っていて、納豆のように発酵しているらしい。
味わいはなかなか独特で、『ああ昆布……ああめっちゃ昆布だなあ』という気分でもにゅもにゅやる食いもんである。
だがその直後に流し込むビールの爽快感たるや。
宇奈月ダムの開放がごとしである。
口の中がさっぱりともったりで延々に波打っていく。
気づけば時間はとっぷりと過ぎ去り、ビールの瓶も空になった。
勘定を済ませて店を出る。
北陸の寒さがしみこんで、思わず手をこすりつけた。
そんな彼の前を、松明を持った人々が通り過ぎていく。
炎に照らされた雪と町。そして自分。
見上げてみると、思ったよりも空は広かった。
展望台やら屋上やらで花火を見ようと思ったが、こんな場所から見る花火はきっと心に響くだろう。
「そろそろ、戻ってみるかな」
謝って、ここへ来て、一緒に花火を見てみよう。
もし見るなら嫁と一緒がいい。
ビールもそれだけじゃあつまらないようなもんで。
ああ、花火がもうじき上がる。
今頃嫁さんは部屋の中からのーんびりこいつを眺めてる頃だろうか。
三夜 智蔵はポケットに手をつっこんで、賑やかな夜の町を歩いていた。
「雪像コンテストかー。見事なもんだ」
と言っても札幌雪祭りほどすごいものはない。みんな頑張って作ったんだなあと思うような、微笑ましい雪だるまの進化体が並んでいるのだ。
俺だったらどんな雪像つくるかなあ、などと町を駅側へと歩いて行く。
こうなったのも自業自得。
具体的にはお食事処で白エビの唐揚げを一人で注文して一人で食べきったからなのだが、なーにもあそこまで怒らなくてもよくないかい。
「晩飯前まではなんなに機嫌良かったのになあ」
今は部屋から追い出されてぶらついているところである。
ホテルのロビーでくつろいでも良かったが、どうもあそこはいつまでもいるような場所じゃあなさそうだ。
それにお腹もすいてきた。
軽く酒なんてひっかけて、男の一人飯としゃれ込むのも楽しそうだ……と思った時にはもう身体は外を歩いていたのだ。
温泉街というだけあって、食事処も少なくない。
カフェっぽい店や定食屋、焼肉屋なんてのもある。
けれどこういう気分の時は……。
「おっ、いいねえ」
酒瓶ぶら下げた狸の置物を見て、智蔵はこれだよこれとにやついた。
看板には河鹿と書いてあるが、読み方がよくわからない。
とはいえ隣に『釜飯、おでん』と書いてあるのだからもう入らない手は無かろう。
店内はこれぞといった具合の飯処。思いっきり普段着の店主がカウンターに置いているビール瓶に目をとめて、智蔵はまたもにやりとした。
それもずばり宇奈月麦酒（ウナヅキビール）。
名水黒部川の水と宇奈月産の麦を使ったビールである。
温泉街にやってきて地ビールとは、これまた乙な過ごし方だ。
店主が『なにすんの』ときわめてフワッとした聞き方をしてくるので、智蔵も瓶をさして『ビールと何か適当に頼むよ』と注文してカウンター席についた。
ほどなくして、豚のキムチ炒めとビールというこれまたぶん投げた感じのメニューを出してくるので、もう智蔵のテンションはうなぎ登りである。
分厚くむっちりとした、それでいて脂っこくない豚肉をキムチの味付けでつまみ、そしてビールをあおる。
もう何もかもが身体の中にしみこむ水がごとし。
こりゃあ飯もうまかろうとメニュー表を手に取ると、ふと奇妙なものが目にとまった。
富山名産と書かれたいくつかのメニューである。
ホタルイカの沖漬けや冷や奴はともかく……。
「なあ、このコンブ巻きかまぼこってのはなんだ」
とりあえずくれと注文して、まず目にとまったのがぐるぐると渦を巻いたかまぼこである。
これは富山あるあるなのだが、この地方のかまぼこにかまぼこ板はない。その代わりぐるぐるとロールした作りになっているのだ。
で、気になるのはその周りにぐるっと巻かれた昆布である。
どうやら微妙に粘りけを持っていて、納豆のように発酵しているらしい。
味わいはなかなか独特で、『ああ昆布……ああめっちゃ昆布だなあ』という気分でもにゅもにゅやる食いもんである。
だがその直後に流し込むビールの爽快感たるや。
宇奈月ダムの開放がごとしである。
口の中がさっぱりともったりで延々に波打っていく。
気づけば時間はとっぷりと過ぎ去り、ビールの瓶も空になった。
勘定を済ませて店を出る。
北陸の寒さがしみこんで、思わず手をこすりつけた。
そんな彼の前を、松明を持った人々が通り過ぎていく。
炎に照らされた雪と町。そして自分。
見上げてみると、思ったよりも空は広かった。
展望台やら屋上やらで花火を見ようと思ったが、こんな場所から見る花火はきっと心に響くだろう。
「そろそろ、戻ってみるかな」
謝って、ここへ来て、一緒に花火を見てみよう。
もし見るなら嫁と一緒がいい。
ビールもそれだけじゃあつまらないようなもんで。
ああ、花火がもうじき上がる。
あとがき
担当マスター：
青空綿飴
ファンレターはマスターページから！
お帰りなさいませ、青空綿飴でございます。
お気づきやもしれませんが、今回お届けしたホテルやお祭りは実在の旅館やお祭りをモデルとしております。そう、冬の花火も美味しい氷見牛も実在します。
今リアル時空では１２月ですが、イベントはどうやら２月のはじめごろだそうで。
実際に出かけてみて、キャラクターたちに心を重ねてみるのもよろしいかもしれません。
（誰に頼まれたわけでもないダイレクトなマーケティングでございました）
そして寒空をゆく皆様の心を暖め、明日の活力となりますことを願っております。
それではお客様。
またのお越しを心よりお待ち申し上げます。
お気づきやもしれませんが、今回お届けしたホテルやお祭りは実在の旅館やお祭りをモデルとしております。そう、冬の花火も美味しい氷見牛も実在します。
今リアル時空では１２月ですが、イベントはどうやら２月のはじめごろだそうで。
実際に出かけてみて、キャラクターたちに心を重ねてみるのもよろしいかもしれません。
（誰に頼まれたわけでもないダイレクトなマーケティングでございました）
そして寒空をゆく皆様の心を暖め、明日の活力となりますことを願っております。
それではお客様。
またのお越しを心よりお待ち申し上げます。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2016年12月01日
- 参加申し込みの期限
-
- 2016年12月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2016年12月08日 11時00分
