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【卒業生を送る会】寝子晴れっ、跳躍っ、新たな一歩でにゃーっ！
●プロローグ ～卒業式を送る会を終えて
春の足音が近づいてきていた。
ここ、寝子島にも、寝子島高校にも。
講堂での「卒業生を送る会」を終えると、実行委員たちは急ぎ足で体育館に移動した。
まるでミツバチのような忙しさだ。
体育館の中は色とりどりのリボンやお花紙で作った花飾りが飾られている。
壁際に設えられた長テーブルの上には、寝子島のお店などからケータリングしてもらったパーティ料理や飲み物が並べられてゆく。『究極のカレーを求める会』からの熱い要望で用意されたカレーの大鍋もある。
一口かき揚を提供してくれた大衆食堂『うみねこ』の親父・魚戸 ケンゾウと、卒業だからと桜のスイーツを提供してくれた『somnium（ソムニウム）』の主人・木原 高明も、それぞれ持ってきた料理を並べている。
「どもー☆ 米屋『美咲』の『ネコヒカリを使った一口おにぎり』です☆」
志波 武道が大皿を運んできた。パーティの事を話したら、下宿先の米屋のご夫婦が、様々な具材の入った一口おにぎりを作ってくれたのである。
「木原さん、魚戸さん、今日はよろしくお願いしまっす」
「おう。そんな端に置くな。うちのかき揚の隣がいいぞ」と、気風のいいケンゾウが手招きする。
それを聞き、高明も、かき揚とスイーツの間にスペースを作ってくれた。
「美味しそうなおにぎりだ。ここに置いて」
「ありがとうございます。さて、料理の取り皿や飲み物足りない所はないかな？ ばりばり動くよー」
力拳を作って振り返ると、委員長を務めたロベルト・エメリヤノフと、ブレーン役の早坂 恩がいた。
「ここまで長かったね……無事終わった……よかった！ 本当に……！」
ロベルトはくしゃりと破顔する。
「お疲れさま」
「うん。ようやくすこし肩の荷が下りたよ……委員長としての仕事は残ってるけど、ちょっとずつオフモードにしていいよね？」
頷く恩。
「いいと思うわ。ずっと忙しくしてきたものね。この後夜祭では実行委員のみんなも楽しめればと思うんだけど……もうちょっと忙しいかしらね」
天之川 麗仁や、楢木 春彦、新田 亮らが、それはお茶、それはジュースと指示しあいながら、並べたグラスに飲み物を注いでいる。
優木 遥斗は照明係として照明器具のチェック中で、呉井 陽太はダンスタイムのために、吹奏楽部や 軽音楽部のメンバーと打ち合わせをしたり、楽譜や譜面台を運んだりと生演奏の準備に余念がない。
送る会の記事をまとめる予定のマリベル・ロイスは、協力を申し出てくれた結梨亜・カールシュテインにカメラの使い方を伝授している。
「あ、まゆせんせーい！」
送る会の担当顧問（といっても主に見守る係な）相原 まゆ先生を見つけ、結梨亜は手を振って呼び止めた。
「パーティの撮影なんですが！ 実行委員以外の人は基本パーティーを楽しんでもらうスタンスで行こうかってマリベルさんと話してたんですがどうでしょう、まゆ先生？」
「マリベルちゃんは取材で結梨亜ちゃんはお手伝い？ 楽しみにしてるわ。撮影に関しては……そうねえ、パーティの様子を撮影したい人もいると思うから撮影自体は誰でもやっていいと思うけど、マリベルちゃんがまとめようとしている卒業生を送る会についての新聞に使う写真に関してはあなたたちに任せる、という形でどうかしら」
「はいっ」
マリベルも結梨亜も気を引き締める。
雰囲気の良いジャズの曲が流れ始めた。袖にいる鴻上 彰尋が流したのであろう。送る会に引き続き放送関係の手伝いをしている彰尋の、趣味の良い選曲である。
音楽に合わせて、三年生がぞろぞろと体育館に入ってきた。
みな、飾り付けや料理に目が釘付けだ。
卒業生や在校生、招待された街の人などが集まったのを見計らうと、遥斗は会場の照明を消した。
壇上にスポットライトが当たる。
淡い緋色の髪を靡かせ、ひとりの少女が危なっかし気に走ってくる。実行委員の橘 明里だ。
と、次の瞬間。
「ぴ、ぴぎゃー！」
壇上に上がろうとした明里は、がしゃがしゃどーんと見事にひっくり返った。
あかりん大丈夫かーと温かい笑いが広がる。明里は起き上がると、照れ臭そうに頭を掻いた。
「ちひひー、またしっぱいしちゃったなの」
かわいいぞー！ さすが天使！
飛ぶ声援は猫鳴館の仲間だろうか。
ぱんぱんとスカートの埃を払い、気を取り直した明里は、前を向いてマイクを握る。
今日はパーティのもりあげ役を頑張ろうと決めたのだ。こんなことでくじけてはいられない。
だって明里は実行委員だから！
「みなさーん、卒業生を送る会お疲れ様でしたなの！ このあとはパーティですなの！ 美味しいお料理もいっぱいあるから楽しんでくださいなのー！」
わあっと歓声と拍手が起こる。
明里は満足そうに一礼した。
壇上から降りようとしたところでまたぴぎゃーっとコケたのは、お約束である。
春の足音が近づいてきていた。
ここ、寝子島にも、寝子島高校にも。
講堂での「卒業生を送る会」を終えると、実行委員たちは急ぎ足で体育館に移動した。
まるでミツバチのような忙しさだ。
体育館の中は色とりどりのリボンやお花紙で作った花飾りが飾られている。
壁際に設えられた長テーブルの上には、寝子島のお店などからケータリングしてもらったパーティ料理や飲み物が並べられてゆく。『究極のカレーを求める会』からの熱い要望で用意されたカレーの大鍋もある。
一口かき揚を提供してくれた大衆食堂『うみねこ』の親父・魚戸 ケンゾウと、卒業だからと桜のスイーツを提供してくれた『somnium（ソムニウム）』の主人・木原 高明も、それぞれ持ってきた料理を並べている。
「どもー☆ 米屋『美咲』の『ネコヒカリを使った一口おにぎり』です☆」
志波 武道が大皿を運んできた。パーティの事を話したら、下宿先の米屋のご夫婦が、様々な具材の入った一口おにぎりを作ってくれたのである。
「木原さん、魚戸さん、今日はよろしくお願いしまっす」
「おう。そんな端に置くな。うちのかき揚の隣がいいぞ」と、気風のいいケンゾウが手招きする。
それを聞き、高明も、かき揚とスイーツの間にスペースを作ってくれた。
「美味しそうなおにぎりだ。ここに置いて」
「ありがとうございます。さて、料理の取り皿や飲み物足りない所はないかな？ ばりばり動くよー」
力拳を作って振り返ると、委員長を務めたロベルト・エメリヤノフと、ブレーン役の早坂 恩がいた。
「ここまで長かったね……無事終わった……よかった！ 本当に……！」
ロベルトはくしゃりと破顔する。
「お疲れさま」
「うん。ようやくすこし肩の荷が下りたよ……委員長としての仕事は残ってるけど、ちょっとずつオフモードにしていいよね？」
頷く恩。
「いいと思うわ。ずっと忙しくしてきたものね。この後夜祭では実行委員のみんなも楽しめればと思うんだけど……もうちょっと忙しいかしらね」
天之川 麗仁や、楢木 春彦、新田 亮らが、それはお茶、それはジュースと指示しあいながら、並べたグラスに飲み物を注いでいる。
優木 遥斗は照明係として照明器具のチェック中で、呉井 陽太はダンスタイムのために、吹奏楽部や 軽音楽部のメンバーと打ち合わせをしたり、楽譜や譜面台を運んだりと生演奏の準備に余念がない。
送る会の記事をまとめる予定のマリベル・ロイスは、協力を申し出てくれた結梨亜・カールシュテインにカメラの使い方を伝授している。
「あ、まゆせんせーい！」
送る会の担当顧問（といっても主に見守る係な）相原 まゆ先生を見つけ、結梨亜は手を振って呼び止めた。
「パーティの撮影なんですが！ 実行委員以外の人は基本パーティーを楽しんでもらうスタンスで行こうかってマリベルさんと話してたんですがどうでしょう、まゆ先生？」
「マリベルちゃんは取材で結梨亜ちゃんはお手伝い？ 楽しみにしてるわ。撮影に関しては……そうねえ、パーティの様子を撮影したい人もいると思うから撮影自体は誰でもやっていいと思うけど、マリベルちゃんがまとめようとしている卒業生を送る会についての新聞に使う写真に関してはあなたたちに任せる、という形でどうかしら」
「はいっ」
マリベルも結梨亜も気を引き締める。
雰囲気の良いジャズの曲が流れ始めた。袖にいる鴻上 彰尋が流したのであろう。送る会に引き続き放送関係の手伝いをしている彰尋の、趣味の良い選曲である。
音楽に合わせて、三年生がぞろぞろと体育館に入ってきた。
みな、飾り付けや料理に目が釘付けだ。
卒業生や在校生、招待された街の人などが集まったのを見計らうと、遥斗は会場の照明を消した。
壇上にスポットライトが当たる。
淡い緋色の髪を靡かせ、ひとりの少女が危なっかし気に走ってくる。実行委員の橘 明里だ。
と、次の瞬間。
「ぴ、ぴぎゃー！」
壇上に上がろうとした明里は、がしゃがしゃどーんと見事にひっくり返った。
あかりん大丈夫かーと温かい笑いが広がる。明里は起き上がると、照れ臭そうに頭を掻いた。
「ちひひー、またしっぱいしちゃったなの」
かわいいぞー！ さすが天使！
飛ぶ声援は猫鳴館の仲間だろうか。
ぱんぱんとスカートの埃を払い、気を取り直した明里は、前を向いてマイクを握る。
今日はパーティのもりあげ役を頑張ろうと決めたのだ。こんなことでくじけてはいられない。
だって明里は実行委員だから！
「みなさーん、卒業生を送る会お疲れ様でしたなの！ このあとはパーティですなの！ 美味しいお料理もいっぱいあるから楽しんでくださいなのー！」
わあっと歓声と拍手が起こる。
明里は満足そうに一礼した。
壇上から降りようとしたところでまたぴぎゃーっとコケたのは、お約束である。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年11月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2016年11月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年11月12日 11時00分
