この架け橋を渡りたくば――｜リアクション

この架け橋を渡りたくば――

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「俺は、一体……」
　小萩の言葉がトドメになったのか、自称ルシフェルは地に膝をつき、そして倒れる。
　似たような輩が騒ぎ、冷静に瑕疵を指摘されたせいで自分を客観視させられてしまったのだ。正気を取り戻した彼がこれまでの所業によって、あまりの羞恥に気絶してしまうのも無理はない。
「……ところで、なんで皆さんうずくまってるんです？　小萩かわいいですけど、さすがに土下座して崇めろとまでは言ってませんよ？」
「ああ、死屍累々って感じだな……」
　自称ルシフェルが気絶してろっこんの影響が消え去っても、やはり彼の痛い発言で出た被害者たちはそのままだ。直接対峙して影響を受けてしまった者もいれば、遠くからでも聞こえたり見えたりして影響を受けてしまった者もいる。焦土、とも形容しえる様相であった。消耗戦の後はいつも虚しく、そして不毛なものである。
　後悔先に立たずとは古人の言う通りである。各々が自称ルシフェルを見て「ああはなるまい」と心に誓う今。しかし、後悔『後に絶たず』というのもまた事実だ。
「まあ、過去を恥じることができる程度には俺たちも成長してるってことだろう」
　だからせめて前向きに捉えよう。修はそう言って、橋の上の魔法陣を見た。
　冬も終わりそうな、けれどまだ冷たい風が皆の火照った頬を緩やかに撫でるのだった。

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