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水没と忘却のヒュムノス
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●私の喜び、私の魂
気が付けば
神嶋 征一郎
は、愛用のヴァイオリンケースを手に聖堂の前に立ち尽くしていた。過去の思い出は幾つもある、けれど彼は『今』の演奏を超える為に一歩を踏み出したいと言う気持ちの方が強い。
――異彩の天才、などと呼ばれたりもしたが。その才能を開花させた切欠は、周囲の歪んだ感情や自身の孤独が元だった。けれど今の自分だから得たと思うから、征一郎はそれを否定しない。
(でも、それを失えば今の自分の音楽を失いそうで怖い)
彼は変化を恐れ、だからだろうか――この水中世界が不思議と心安らぐのは。周囲との触れ合いと、それを悪くないと思う自分、確実に変わっていく自分。
(居心地の良い場所や他人との会話が楽しいなんて感情、自分の音楽には必要ない筈)
――なのに、認めるのが怖い。認めてしまったら――。其処まで思いを巡らせた征一郎は、不意に聖堂に現れた見慣れた姿にそっと息を呑んだ。
(結城……?)
微かな動揺を覚えたのは、普段の明るい表情に翳りが見えたから。彼女――
結城 日和
は柔らかに波打つ髪を揺らし、懐かしくも哀しそうな様子で遠くを見つめる。其処に映し出されたのは、彼女の過去――苦しみも知らず、まだ無邪気に音楽と触れ合えた頃の光景だった。
(お父さんやお母さんが、穏やかに笑ってくれるのを見て私は音楽を始めた)
――その根底にあったのは、喜び。こんな風に好きな人を笑顔にしてくれる音楽に日和は感謝をし、練習にも自然と熱がこもった。賞をとればとるほど父は喜んだし、それに応えるように彼女もレッスンを重ねた。
(……けれど、私はいつしか賞をとることが出来なくなった)
さんざんな順位に父は嘆き、呆れ、落胆して。ある日彼は日和に向かってこう言った。
『こんな順位が続くようなら、ヴァイオリンなんてもう止めてしまいなさい』
――そう言われた時の絶望は、今も覚えている。自分の中の音楽は、誰かを笑顔にする素敵なものだったはずなのに、と。
(音楽大好き! って言い聞かせた部分もある。でも)
寝子島に来て、自分にとって音楽が本当に本当に大好きで、大事なモノだって理解した。そう、演奏をして音楽を聞いて――それはみんなと、あの人のとなりで――。
「……結城」
呆然とした表情で佇む彼女に向けて、征一郎は静かに呼びかける。他人が必要ないとか孤独が必要だとか、取捨選択しないと上に行けないならば、それは間違いで――自分の音楽は一人で成り立っていないと、征一郎は気付いたから。
「……神嶋君」
自分の名前を呼んでくれたのは、ずっと隣で音楽と向き合ってくれていた人。揺れる日和の瞳の中で、彼が――征一郎が真っ直ぐに此方を見つめている。
「寝子祭で言った事を思い出せ」
反対されて止めるくらいならやめろ、でもお前はそうじゃないだろと彼は言って。それが嬉しかったし、すっと来た。彼の音楽への気持ちは、今を越えられない程度のものなんかじゃないと、たぶん――ううん、絶対違うのだと分かった。
(己の好きな音楽を貫け、自分に跳ね返る――逃げるな)
いつしかふたりは、記憶の森を抜けて互いに向き合っていた。其々の手に握られたヴァイオリンを構え、ふんわりと日和が微笑む。
「私は音楽が大好き! 神嶋君も音楽が好き! これでいいじゃない?」
――だから一緒に過去を乗り越えよう。だから一緒に奏でよう。紡がれるのはグリーンスリーブス、それは征一郎の姉が最初に演奏した曲であり、彼の音楽の始まりの曲でもあった。
(僕の夢は、自分の演奏で人を笑顔にすること。立ち止まれない、自分にはこれしかないから)
その決意は苦しくて、しかし音は伸び伸びと踊るように聖堂を満たしていく。結城、と其処で征一郎は、共に曲を奏でる日和の姿を見た。自分よりも拙い筈なのに彼女の音は温かくて、征一郎の心に不思議な気持ちが溢れ出す。
(嗚呼、やっぱり僕もヴァイオリンが好きだ)
――それはまるで、狂想と魅惑の音の中に揺らめく、蒼の炎と光の蕾。弦を奏でる度に会話が生まれ、音色を通して互いの想いが伝わってくる。
知らず征一郎の頬を涙が伝った。こんな自分が受け入れられたような気がしたから。
(結城には弱みばかり見せてる気がする)
名残惜しくも演奏が終わった後、今日の事は誰にも言うなと征一郎は念を押した。ただ、そっと微笑と共に、密かな囁きを交えながら。
「……有難う」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
柚烏
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年10月20日
参加申し込みの期限
2016年10月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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