【第１０ゲーム】

※サイコロの結果はこちら



親猫：苑下 ちか（バニーガール）
「こーんなちっこい時からブサイクなんて、お前もかわいそうになー。人生お先真っ暗で絶望的ってやつだなー」
　なんて、ヨエコさんは相手が小学生だろーとなんだろーと、とにかく口汚いのは変わらないわけですけれど。
「まーそのために猫様ゲームがあるわけだ！　諦めることはないぞーチビブサ、まだ間に合う！　あたしがお前を待ち受けてる底なしの泥沼みたいなド底辺人生から、上半身くらいはどーにかひっぱり上げてやろ……」
「ねーちゃん分かっとらんなー。どろだんご道てなー、むっちゃ奥深いねんで？」
「えっ、だんご？」
　もっとも、小さなちかがそんなことを気にするそぶりは、ちっともありません。超！　がつくほどポジティブシンキングな彼女には、細かいことをいちいち取り繕っている暇も、つまらない罵倒を真に受けて立ち止まっている暇だって、ひとっつもありはしないのです！
　おかげでバニーガール姿だってほらこのとおり、すっかり板についています。
「どろだんご、きれーきれー丸めよったらめっさぴっかぴかになるねんで？　もーつるっつるのぴっかぴかやで、って誰がハゲの話しとんねんー」
「お、おー。誰もそんな話はしてないんだけどなー……やばいなー、こいつも話聞かないタイプだ、これは難物だぞー。後光差す美少女なあたしが上手ーく導いてやらないと、チビブサの人生がとんでもないことになってしまうー……こりゃー責任重大だ！」
　そう……たとえるなら彼女は、一度掘ったら戻れない、スーパーパワフルなドリルのよう！
　ちょっぴりゴーインなまとめ方かもしれませんけれど、ちかちゃんってば要するに、そんな女の子なのです。

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親猫：苑下 ちか（バニーガール）の命令

『これチョコ団子残さんとたべ』

子猫Ａ：花厳 望春「さっき泥団子とか言ってなかった？　命令ならどっちにしろ食べるしかないけどね！」
子猫Ｂ：三宅 葉月（全裸手ぬぐい）「……食べられる土、というのもあるらしいけど……」



「Σっていうか三宅さんまだその恰好なの！？　ちょっとほら目の毒だから、服くらい着て欲しいんだけど……！」
「猫様が許すならね」
　ヨエコさんは両手で大きく、バッテンを作りました。
　それはさておき本日の望春くんは素敵に無敵であるからして、葉月の全裸手ぬぐいにも心揺らぐことなく、それこそ泥団子のひとつやふたつ頑張れば食べてしまえるかもしれませんけれど。どうも、そういうわけではないようです。
「いやいや心配せんでええでー、これチョコや。チョコ団子。ほんまやで？」
　ケンケン笑うちか嬢の余計なひと言には一抹の不安もありつつ、テーブルへころころ、ころん！　と並べられた茶褐色の球体たちを葉月も覗き込み、
「……本当にチョコみたいね。美味しそうだわ……これを食べればいいのかしら」
「あ、分かった！　中に何か入ってるんだね？」
　望春が言うと、ちかはますますもって、にーんまり。
「当たりや。フォーチューンなんとか、てあるやろ？　あんなのや。おみくじ入っとるし、楽しみしときー」
　まあ、それだけやないんやけどな。ぽつりと漏れた言葉には気付かず、さっそくチョコ団子を手に取る子猫たちに、ちかはいひひひ、といたずらっ子な笑みを浮かべます。

望春「何が入ってるんだろう？　ものすごく辛いのとか、そういうのなら匂いで分かりそうなものだけど」
葉月（全裸手ぬぐい）「それは無理ね……きちんとチョコでコーティングされてる。まぁ、食べてみれば分かるわ。食べましょう」
望春「三宅さん食べる気満々だね！　もしかして、結構こういうの強い？　意外とゲテモノ食いとか？」
葉月（全裸手ぬぐい）「……嫌いじゃないかも、ね。こういうの」



【猫様ダイス！】19

○チョコ団子の中身

１：たこやき用たこ
２：わかめ増量中
３：ワサビ特盛
４：唐辛子特盛
５：セミのぬけがら

６：石。

望春：５　葉月：４



「じゃ、いただきまーす！」
　望春はさっそくまんまるのチョコ団子をひとつ手に取り、ひょいっと口の中へ。ぱくり、もぐもぐ。ぱりぱり、もしゃもしゃ。
「……ん！　程よい甘さで美味いな。やるなぁ苑下さん…………もしゃもしゃ？」
　えもいわれぬミョーな食感、少なくともチョコのそれではない違和感を感じて、望春が思わずんぺっとチョコ団子に隠されていた何かを確認してみますと、そこには、

「……セミだこれーーー！？」

　夏の間に確保しておいた、セミのぬけがらさんがこんにちは！　バッチリとご対面してしまいました。
「な、おもろいやろ？」
「おもろいっていうかきもちわるい！　で・も」
　ぱりぱりもぐもぐもしゃもしゃ！
「うん。チョコ団子美味い！　こんなのも、猫様ゲームならではのハプニングってことで、楽しいかもね！」
　望春はセミさんごと平らげてしまいました。繰り返しますけれど、本日の彼は、無敵！　でありまして、活セミならともかくぬけがらごときでは、微塵も彼の意思を砕くことはできないのです……まぁセミのぬけがらって、食材にしちゃったり漢方薬の材料にしちゃったりなんて地域もあるようですし、食べても大丈夫どころかきっと栄養があったりするんでしょう。ううっ。
　一方、
「～～～～～～っ、！！　ッ！！　！！！！！！」
「……三宅さん、それ、泣いてるの？　笑ってるの？　苦しんでるの？」
　葉月のチョコ団子の中身は、特盛唐辛子！　真っ赤な粉末がこれでもかとチョコに練り込まれていて、葉月の味覚をぶち壊さんばかりの勢いで口内を暴れ狂っております。
　もちろん彼女も女の子、激烈な辛みに翻弄される醜態などというものを誰かにさらすのはご免被りたいわけでして、ソファに顔を突っ伏して埋め、両足を盛大にばたばたとやって苦しみに耐えています……クール系な彼女のそんな様子はちょっぴり新鮮で、いわゆるひとつのギャップ萌えというやつでありましょう。何か可愛い……あっいや、この全裸手ぬぐいでのバックショットはちょっと、結構危ない！　マズイかも！
　と思ってたら、どこかの気配りさんがさりげなく、さっ、とアブないところをもう一枚の『ＢＵＳＡＮＥＫＯ』特製タオルという名の手ぬぐいで隠してくれたので、ひとまず事なきを得ました。余計アレな感じになった気もしますけれど。



葉月（全裸手ぬぐい）「………………っふぅ。美味しかったわ。なかなかの出来ね、チョコ団子」
望春「食べ終わったらもうケロッとしてる！！　強いなぁ……あ、おみくじ入ってたんだよな、開けてみようか」
葉月（全裸手ぬぐい）「ええ、ひょうね。……そうね（口の中が痛いわ……）」



【猫様ダイス！】20

○チョコ団子おみくじ

１：健康　元気やでー
２：恋愛　待ち人来たるでー
３：金運　がっぽりやでー
４：仕事　バッチリやでー
５：学業　１００てんやでー
６：出産　産まれるでー

望春：６　葉月：２



葉月（全裸手ぬぐい）「……ふうん？　待ち人、ね……別に期待はしていないけれど。まぁ、悪い気はしないわね」
望春「Σ産まれるの！？　誰が産むの！？　俺そんな相手いないんだけど……！！」
ヨエコ「なんだー、そんなもん。お前が産めばいいだろー？」
望春「あっそうかーなるほどー、って産まないよ！！　男だよ！！」
ちか（バニーガール）「そーかー？　にーちゃんなら産めそやん、かいらし顔しとるし」
葉月（全裸手ぬぐい）「……ちょっと頑張れば、産めそうかもね？」
ヨエコ「おーがんばれよー！　お前みたいなブスにも、ようやく春が来たんだなー……めでたいことだー、こいつは赤飯でも炊いて祝ってやらないとなー！」
望春「いい加減怒るよ俺？」



　中身にはひと波乱ありましたものの、ともかく無事にチョコ団子をひとつずつ完食した、子猫のおふたり。
「まぁチョコ部分は美味かったよ、セミはともかく。あれはたぶんね、うん、チョコ団子には合わないかな。うん」
「ええ、美味しかったわ。全然辛くなんてなかったわね、とっても甘かったわ……本当よ？」
　と、ちかへぺこり、ごちそうさまを言ったところで。
「おいおいおーい！　何を終わった気でいるんだーこの消しカスどもー？」
　猫様がバカにしたように、言うのです。
「これだから、甘ちゃんどもは困るっつーんだ。お前たち、命令を見てなかったのかー？　『残さんとたべ』、だぞー？　ほれ、残りも全部お前たちで食えなー」
「かいらし小学生のてづくりチョコや、ぎょーさんくうてなー。バレンタイン過ぎてもたけどまけといて、ほんでホワイトデーのお返しわすれなや？」
「「…………………………全部？」」
　テーブルの上には、ちか特製チョコ団子がこれでもかところころ、どっさり！



【猫様ダイス！】21

○チョコ団子完食！　受けたダメージ

１：よゆう
２：うっ……まだ大丈夫
３：ううっ……なんとか耐えた
４：真っ青脂汗で逆流寸前
５：リバース

６：死を乗り越えてパワーアップ

望春：６　葉月：５

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花厳 望春と三宅 葉月は、
苑下 ちかの命令『チョコ団子たべ』
を達成しました。


望春「うっ、うううっ……死ぬかと思った、けどっ！　苦難を乗り越えたことで、新たな力が湧いてくるみたいだ……これが、猫様ゲーム！！　これが生まれ変わった、俺……！！」
葉月（全裸）「…………！！！！！！（口を押えてトイレへ駆け込んだ。はらり、ひらり……後には彼女のぬくもりと香りを宿した、手ぬぐいだけが残されていた）」