ねこじまクラフト｜リアクション

ねこじまクラフト

●木を殴る喜びよ、砂漠を走る楽しさよ
「あー、あれか。もしかしてこの世界。ネコクラかな」
　エスカルゴ・臼居は豚さんや鶏さんの行き交う平原の真ん中で、ぽりぽりと頬をかいた。
　ブロック状に整った土やネコ型の太陽からして間違いない。
「となると、まずは仮拠点作らないと。夜になったら恐いから、ほんと！」
　事態に早速順応するエスカルゴである。
　まずは木を殴る儀式からかなと近くの森へ行こうとした、その時。
「エスカルゴ」
　後ろからぐいぐいとつつかれた。振り返るとトワ・E・ライトフェロゥ。
「おートワ氏ー。来てたのか。一緒に遊ぶ？」
「ここ、知ってるデス？」
「ネコクラ、聞いたことないかな」
　とか言いながら必死こいて木の幹を殴りつけるエスカルゴを、この人なにしてるんだろうという目で見るトワ。
「とりま崖の辺りに穴ぐら式の拠点作るんだ」
「ほー」
　なんか手慣れてるらしいので、放って置いてもよさそうだ。
「トワは探険するマス！　森の中をピクニックするデス！」
「探索かー。ほいほい、気をつけてなー」
　サクサクとピッケルを作り始めるエスカルゴを背に、トワはさっそく探険を始めた。
　ブロック状の土を歩き、ブロック状の森を抜けていく。
　木の葉っぱをざかざかやったら落ちてきたリンゴをキャッチして、トワはぱっと表情を明るくした。
　どこかに村や町があるかもしれない。見つけたら教えてあげよう。
「それにしても、この森は暗いデス」
　背後でシューという音がした。

　岩肌むき出しの山をピッケルでがしがしと掘り、適当なスペースを確保したら明かりと扉をつけてひとまずの家とする。
　途中で斧をつかって殴り殺しまくってきたヒツジからブロック状の羊毛を手に入れたので、木材とクラフトしてベッドを二つ。軽く離して部屋の両端に設置した。
「さて、仮拠点はこんなもんでいいか。そのうち豪邸とかつくって引きこもりたいなー。あ、そうだ。トワ氏がなんか拾ってくるかも。チェストつくっとこ」
　木材で箱をこしらえてベッドの間あたりに置いてみれば、なかなか見栄えのよい拠点になった。
　思い切り岩に囲まれているのも、考えようによっては風情がある。
「トワ氏が来るまでは何しよう。木をきりつつリンゴと種を集めるか。自給自足がネコクラの基本だしな」
　軽くベテランめいたプレイをみせるエスカルゴであった。

　次の日の朝。
「ひ、ひどいめにあうマシタ……」
　土をぼこっと開いて、トワが地面に這い出てきた。
　なんかそこら中に骨っぽい何かが転がっている。
　その周りには、建設中の家……もとい一方だけ設置された木材ブロックの壁がある。
　家を建てていたらなんかホネホネ生物がめっちゃ寄ってきたので、急いで穴掘って埋まったのである。
　窒息しないか心配ではあったが、どうやらこのゲームは土に埋まっても平気なようだ。
　とりあえず。ここまでの流れを整理してみる。
　リンゴをとって歩いていたらなんかシュードンッみたいな音とともに最初の場所に戻されていた。
　まずは安全な家の確保が大事っぽいので木を殴りつけて木材を手に入れ、なんとか家っぽいものを作り始めたのが今である。
　ぽこぽこ木材を置いていき、ついでに天井もつけ、明かりも設置する。
　お家の完成である。
　完成であるが。
「と、とうふ……？」
　なんか穴の空いたお豆腐みたくなった。犬小屋だってもうちょっとお家っぽいはずだ。
「気を取り直して、今日は洞窟の探検をするマス！　途中で見つけた洞窟に行ってみるマス！」
　再びのシューッドンが待っているのは言うまでも無い。

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