ねこじまクラフト｜リアクション

ねこじまクラフト

●ふたりのねこじまクラフト
「マジかー、ネコクラの世界に入れるとはなー。こりゃ、クラフト生活満喫するしかないっしょ！」
「スローライフだね！　お金出さなくてもご飯をお腹いっぱい食べられる、スローライフ！」
「そういうものだっけ？」
　水守流と本居陽毬は大食いチャレンジの店から帰る途中にさらっとネコクラの世界に迷い込んでいた。
「水守君、最初は何すればいいの？　お肉焼く？」
「実績すっ飛ばしたなあ……まずは木材からだ。序盤は作業効率バリバリ上げていくぞ」
「おーっ！」
　陽毬は拳を突き上げつつ、頭のなかでこんな風に思った。
　面倒そうなことは水守君にパスしちゃお☆

　というわけで、陽毬の役目は食料調達である。
　この世界、お腹がすくと動けなくなっちゃうらしいので序盤の食糧確保は急務なのだ。
　そうでなくてもご飯抜きの生活なんて考えられない。とてもこまる。
　というわけで。
　流に作って貰った木の剣を手に、陽毬は狩猟民族と化した。
　豚さんや牛さん、鶏さんなんかを見つけ次第がしがし叩いてお肉に変換していく。
　ある程度お肉を集めたら小麦の種をふりふりして鶏を誘導しつつお家の横に作った柵へと閉じ込めるのだ。
「ふふふ、これで毎日焼き鳥が食べ放題に……はふう」
　鉄板の上でじゅうじゅう音を立てるチキンステーキを想像して、陽毬は至福の顔になった。

　一方その頃流は、そこそこ確保してきた木材ブロックで建設を始めていた。
「このブロック積み上げるトコが楽しいんだよなーこのゲーム。まずは部屋割りだよな」
　まず思いついたのは伝統と安定の豆腐建築。
　一部屋にベッドを並べて小窓の一つでも作るシンプルな家だ。
　いや、食友とかいてマブダチの流と陽毬ではあるが、男女を同室にするのはまずい。
「なー、まずいよなー。女子とどーしつはなー」
　声に出した言葉がなんか棒読みっぽい。
　なんでかって、本当に心配なのは男女のどうこうじゃなく食料の減り具合だからだ。
　陽毬と食料を共有すると、自分のご飯がさらっと無くなっている危険があるのだ。
　そんなのしんじゃう。
「よーし、理解のある俺は男女別々のワンルームマンションをめざすぞー」
　自らの建築センスに活を入れる流であった。

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